妊活を振り返ると、半数以上の男性が後悔を感じていることがわかった(写真はイメージです)。
Shutterstock/Anirut Thailand
「もっと早く子どもができるように努力しておけばよかった」「乏精子だと気がつくまでに時間がかかってしまった」—— 。
子どもを授かった(妊娠中を含む)男性のうち、妊活に後悔を感じている男性が6割に上ることが、リクルートライフスタイルが運営する、スマホでできる精子セルフチェック「Seem」が行った調査で分かった。
不妊の検査や治療を経験したカップルが5.5組に1組に上り、不妊治療大国と言われる日本だが、男性側の妊活参加が遅れている実態が浮き彫りになった。
調査:2019年9月10 日~12日、リクルートライフスタイルが、過去3年以内に子どもを授かり(妊娠中を含む)、妊活に取り組んだ全国の25歳~49歳を対象にインターネット調査を実施。1444人が回答した。
「1年以上かかった」3人に1人超える
4割近くが実際に子供を授かるまでに「1年以上かかった」と回答。
出典:リクルートライフスタイル
日本では妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交をしているにもかかわらず、1年間妊娠をしないと不妊としている(出典:日本産婦人科学会「不妊症」)。
調査によると、妊娠を目的に避妊をやめてから妊娠が分かるまでに「1年以上かかった」人は37%で、3人に1人を超える割合だった。また「想定した期間内に子どもを授かれなった」人は46%で、そのうち想定より1年以上かかった人は16%、想定より2年以上かかった人は8%いた。
いざ妊活スタートで男性側に目立つ遅れ
妊活への主体的な参加が遅れている男性は約3人に1人。
出典:リクルートライフスタイル
男性が妊活を主体的に取り組み始めた時期については、「パートナーが先に取り組んでいた」と答えた人が35%に上り、約3人に1人が妊活への参加が女性よりも遅れていたことが分かった。パートナーが妊活を始めてから、男性が妊活を始めるまでの期間では「1年以上あと」が7%だった。
今回の調査では「男性側に原因があった場合、男性の行動が遅れることで貴重な時間を無駄にしていたケースも少なくない」と指摘している。
もっと早い時期に始めていれば……
妊活に取り組んだ男性の6割が「後悔あり」。
出典:リクルートライフスタイル
「妊活を振り返り、後悔していることはありますか」という質問には、60%が「後悔がある」と回答している。後悔している内容では「もっと早い時期から、パートナーと妊活に取り組んでおけばよかった」が6割超で最も多く、「自分が主体的になっておけばよかった」が30%、「自分ができること・取り組めることを実施しておけばよかった」が約3割と続いた。
調査では「実際に取り組まなかったが、取り組んでおけばよかったこと」も聞いている。
上位には「健康的な生活をする」「ストレスを溜めないようにする」「精子に悪いとされる生活習慣を控える」など、もっと健康に気遣うべきだったとの回答が上がったが、続いて「郵送や自宅で精子を調べる」などキットを使ってみればよかったとの声も上位にきた。
ゴムさえつければいいからの意識改革を
妊活には男性側も知識を得ることが大切だ(写真はイメージです)。
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WHOの調査では、不妊の原因の48%は男性に問題があるとされている。しかし今回調査から明らかなように、女性に比べて、男性の妊活に対する知識や意識は遅れを取っている。
Twitterで1万人がダウンロードしたという「夫の不妊治療バイブル」の発案者で、不妊治療支援を目的としたヘルスアンドライツの代表取締役を務める吉川雄司さんは、男性の妊活への知識不足を指摘している。
「特に男性は性のリテラシーが低い。男性は妊娠・出産にまつわる性の話に対して、女性がコントロールしているんだから、知らなくてもいい、(セックスの時に)ゴムさえつければいいみたいな感覚が少なからずある。女性の領域なので、触れてはいけないぐらいに思っていることもある」
ただし男性の不妊治療については、厚生労働省が2019年度から、精巣または精巣上体から精子を採取するための手術を行った場合の補助を、上限15万円から30万円に拡大。男性不妊治療の支援体制を充実させつつある。
従来、不妊治療領域は「女性の問題」との意識が根強くあるが、近年、20〜30代の男性を中心に、子育てへの関心の高い人も増えている。妊活時点から、男性も主体的に関わることが必要なのは言うまでもない。
(文・横山耕太郎)