「同盟は簡単」「第二次世界大戦で我々を助けなかった」トランプ大統領、クルド勢力を見捨てたとの批判に反論

トランプ大統領

アメリカのトランプ大統領(2019年10月9日)。

Jonathan Ernst/Reuters

  • アメリカのトランプ大統領は10月9日(現地時間)、クルド人部隊を見捨て、シリア北東部に駐留する米兵を撤退させた自身の決断を改めて擁護した。クルド人は第二次世界大戦でアメリカを助けなかったからだという。
  • アメリカが主導してきたISISとの戦いで、極めて重要な役割を果たしてきたクルド人部隊について、トランプ大統領は「彼らは第二次世界大戦で我々を助けなかった。ノルマンディーで我々を助けなかった」と発言した。
  • 報道陣にシリアからの撤退やクルド人部隊の扱いは、他の潜在的なアメリカの同盟国に対し、負のメッセージを与えたのではないかと尋ねられたトランプ大統領は、「同盟はものすごく簡単だ」と答えた。
  • トルコはこの数時間前、シリアのクルド人部隊に対する軍事オペレーションを開始した。

トランプ大統領は10月9日、クルド人部隊を見捨て、シリア北東部に駐留する米兵を撤退させた自身の決断を改めて擁護した。クルド人は第二次世界大戦でアメリカを助けなかったからだという。

この少し前には、空爆に続き、トルコの地上部隊が国境を越えてシリアへ侵攻したと報じられていた。

クルド人部隊について、トランプ大統領は「彼らは第二次世界大戦で我々を助けなかった。ノルマンディーで我々を助けなかった」と述べ、「それでも、我々はクルド人が好きだ」と付け加えた。

この発言の前、トランプ大統領はホワイトハウスがリリースした声明文の中で、トルコの軍事オペレーションを支持しない、「悪いアイデア」だと述べていた。だが、クルド人部隊には一切触れず、トルコの行動を阻止するための迅速な対応も示さなかった。

トランプ政権は10月6日、トルコの軍事行動の前に、シリア北東部に駐留する米兵を撤退させると突然発表した。

この動きは、共和党の有力議員やトランプ政権の元高官を含め、アメリカ国内でも広く批判された。多くの人々が、トランプ大統領はトルコにアメリカの重要な同盟相手を攻撃する道を開いたと感じたためだ。

クルド人を主体とするシリア民主軍(SDF)は、アメリカが主導するISISとの戦いの矢面に立ち、その過程で約1万1000人の戦闘員を失った。

トランプ政権の発表に先駆けて、クルド人部隊は最近、アメリカのトルコの攻撃は許さないとの保証の下、国境沿いの防衛陣地を解体していた。米兵の撤退というトランプ大統領の決断を、SDFは「背後から刺された」と表現し、アメリカに裏切られたとの思いを隠さなかった。

「同盟は簡単」

9日の"第二次世界大戦"発言の直後、報道陣にシリアからの撤退やクルド人部隊の扱いは、他の潜在的なアメリカの同盟国に対し、負のメッセージを与えたのではないかと尋ねられたトランプ大統領は、「同盟はものすごく簡単だ」と答えた。アメリカにとって、新たなパートナーシップを組むのは「難しいことではない」という。

そして、「我々の同盟国」は「我々に大いに付け込んできた」とも述べた。

だが、多くの政治家や政府の元高官は、トランプ政権のシリア撤退という決断が同盟国や未来のパートナーに送ったメッセージに懸念を示している。

中でも、ISISとの戦いでかつてトランプ大統領の特使を務めたブレット・マクガーク(Brett McGurk)氏は大統領に批判的だ。

マクガーク氏は7日、「ドナルド・トランプは米軍最高司令官ではない。彼は慎重に検討することも知識もなく、衝動的な決断をしている。何の支援もなく、兵士を危険な状況へ追いやっている。同盟相手に威張り散らしておきながら、敵対国に自身のはったりを見抜かれたり、相手からの強硬な電話に直面すると、同盟相手を見放す」とツイートした

同様に、トランプ大統領に近く、上院外交委員会のメンバーでもある共和党のリンゼー・グラム(Lindsey Graham)上院議員も7日、「クルド人を見捨てることで、我々はこれ以上ないほど危険なシグナルを送った —— アメリカは頼りにならない同盟相手で、中国やロシア、イラン、北朝鮮が危険な方法でそれを行動に示すのは時間の問題だ」とツイートした

グラム上院議員は9日、クルド人に対するオペレーションを考慮し、トルコに対し「厳しい制裁」を課すことで、民主党のクリス・バン・ホーレン(Chris Van Hollen)上院議員と党を超えた合意に達したと発表した。「政権はトルコに対して行動することを拒否したが、わたしは超党派の強い支持が得られると見ている」と、グラム上院議員はツイートした

別のツイートでは、「アメリカはもっと良い国のはずだ。大統領、トルコに対して立ち上がってください」ともつぶやいていた

トルコはNATO加盟国ではあるが、アメリカとの関係は複雑で、エルドアン大統領は"危険な独裁者"や"民主主義の敵"などと批判されてきた。

また、トルコの軍事オペレーションは治安の不在を招き、ISISの復活に道を開く危険もある。シリアのアサド政権やイラン、ロシアの利益にもなりかねない。クルド人部隊はISISの戦闘員、数千人の身柄を拘束していて、トルコ侵攻によって逃亡される可能性もある。トランプ大統領は9日、ISISの戦闘員が逃亡しても、彼らは「ヨーロッパに逃げるだろう」と述べた。

アメリカの多くの政治家は、トランプ大統領の決定のロジックや、それがアメリカの国家安全保障や戦略的利益にどうプラスになるのか、疑問を抱いている。

[原文:Trump defends abandoning the Kurds by saying they didn't help the US in WWII

(翻訳、編集:山口佳美)

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