業務提携を発表したSBIホールディングスとZホールディングスの幹部陣。
撮影:川村力
ネット証券、ネット銀行などを傘下に抱えるSBIホールディングスは、Zホールディングス(10月1日にヤフーから商号変更)と、互いのグループ会社を通じて業務提携すると発表した。SBI側から「もともと親戚筋」(髙村正人SBI証券社長)のZホールディングスに声がけしたという。
業務提携分野は、以下の3本柱。
- 証券事業…… Yahoo!ファイナンス(アプリ・WEBサイト)を通じて、SBI証券での証券口座開設や売買取引を行えるようにする
- FX事業……ワイジェイFXのカバー取引先にSBIリクイディテイ・マーケットが加わることで、最良の取引価格を提供できるようになる。また、フロー(資金の流れ)管理の最適化を図る。
- 銀行事業……住信SBIネット銀行とジャパンネット銀行が協業する。
両社による業務提携の実感しやすい効果としては、
- 対面証券最大手の野村證券に肉薄する伸びを見せているSBI証券が、月間ユーザー数1500万(2019年8月時点)のYahoo!ファイナンスを通じて、口座開設の機会を拡大できる。
- 住信SBIネット銀行が地銀などとの協業で取り扱い額を急増させている住宅ローン「フラット35」を、ジャパンネット銀行を通じて販売できるようになることで(関係当局の許認可などが必要)、さらなる拡大を図ることができる。
の2点が挙げられる。
住信SBIネット銀行の住宅ローン事業の概況。
出典:SBIホールディングス 2020年3月期第1四半期決算説明会資料
とりわけ、長期固定金利住宅ローンであるフラット35は、超低金利時代が続くなかで金利が1%を切るなど、有利な条件を確保できる上、融資審査のハードルが低いとされていることもあり、ニーズが高まっている。
ジャパンネット銀行にとって、住信SBIネット銀行を通じてそうした魅力的な商品を取り扱うことができるようになるのは、大きなメリットになるとみられる。
(文:川村力)