2020年2月期上期決算を発表したセブン&アイ・ホールディングス。セブン-イレブンの堅調ぶりが目立った。
撮影:今村拓馬
2019年2月、東大阪市の加盟店オーナーが独自に時短営業を始めたことから、24時間営業をめぐって本部と一部オーナーの対立が続いているセブン-イレブン。
時流に乗った新サービスとなるはずだったスマホ決済「7pay(セブンペイ)」も、7月のローンチ直後に不正アクセス事件を受け、わずか3カ月で廃止に追い込まれた。
悪夢の季節が続いたセブン&アイ・ホールディングスだが、10月10日に発表された2019年2月期上期(3〜8月)の決算書を読む限り、その影響は限定的だった。
営業収益 3兆3313億円 (前期比)▲30億円[▲0.9%]
24時間問題や7pay問題の影響が大きいと予想された国内コンビニ事業は、前期比+18億円(+0.4%)で売上増。海外コンビニ事業も、前期比+67億円(+0.5%)と順調に伸ばした。
イトーヨーカ堂やそごうなどスーパー・百貨店事業は軒並み売上減。
営業利益 2051億円 (前期比)+55億円[+2.8%]
国内コンビニ事業は前期比+55億円(+4.4%)、海外コンビニ事業は+44億円(+12.1%)と、いずれも悪夢の影響を感じさせない好調ぶりだった。
なお、スーパー事業は前期比▲24億円、百貨店事業は同▲7億円、とりわけ百貨店は営業赤字。
7pay問題の悪影響が想定された金融関連事業は、▲12億円(▲4.4%)。クレジットカードのIC化コストを含んでこの数字なので、経営そのものを左右するほどの影響はなかったと言っていいだろう。
純利益 1106億円 (前期比)+92億円[+9.2%]
2020年2月期通期については、営業収益の予想を530億円引き下げたものの、利益予想は据え置いた。営業利益は前年比+4200億円(+2.0%)、純利益は前年比+2100億円(+3.4%)を見込んでいる。
ロイヤルティ減免で加盟店の利益を押し上げ
人手不足が深刻化し、加盟店オーナーたちは苦境に追い込まれている。
REUTERS/Toru Hanai
セブン&アイ・ホールディングスは上期決算と同時に、グループ戦略における事業構造改革を行う計画を明らかにした。
セブン-イレブンについては、加盟店オーナーから毎月徴収するロイヤルティ(同社はチャージと呼ぶ)を、2020年3月から引き下げる。現在は24時間営業の店舗のみ、ロイヤルティを2%プラス1%(2017年9月以降)合計3%減免する措置をとっている。
24時間営業を行う加盟店のロイヤルティ減免は以下の通り。
◯売上総利益(粗利益)が月額550万円超
→現行の減免措置に加え、3万5000円差し引く
◯売上総利益(粗利益)が月額550万円以下
→現行の減免措置はゼロにして、一律20万円減額
時短営業を行う加盟店にも、新たに減免措置を適用する。
◯売上総利益(粗利益)が月額550万円超
→1%減免、さらに1万5000円差し引く
◯売上総利益(粗利益)が月額550万円以下
→一律7万円減額
加盟店の利益は年間で平均50万円増える見込み。なお、ロイヤルティの減免によって本部の利益は約100億円減るが、不採算店約1000店舗の閉店などで埋め合わせるという。
スーパー・百貨店事業は閉店ラッシュ
百貨店事業の旗艦店のひとつ、池袋西武。一方、地方の店舗は閉鎖と減積が急速に進んでいる。
Shuttestock.com
スーパー事業のイトーヨーカ堂は、33店舗をグループ内外の企業と連携させたり、閉店を検討する。また、2022年度末までに(自然減も含めて)約1700名の人員削減を行う。
さらに、百貨店事業のそごう・西武については、2021年2月までかけて、閉店と売り場面積の削減を進める。
西武は、岡崎店(愛知)と大津店(滋賀)を閉鎖し、秋田店と福井店の面積を減らす。そごうは、西神店(兵庫)と徳島店、川口店(埼玉)を閉店させる。そごうと西武は全国に現在15店舗を展開しており、今回の措置で店舗数は3分の2まで減ることになる。また並行して、2022年度末までに(自然減を含めて)約1300名の人員削減を行う。
セブン&アイ・ホールディングスは、スーパー事業と百貨店事業で合わせて約3000人を減らすことになる。とはいえ、すでに両事業の営業利益は2019年2月期上期で約63億円まで落ち込んでおり、同約1740億円の営業利益を叩き出す国内外のコンビニ事業への偏重はもはや既定路線と言える。
(文・川村力)