Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO。
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中国人ソフトウェア・エンジニアの尹伊(イン・イー)氏がFacebookを解雇された話題が、中国最大のメッセージアプリWeChat(微信)を通じて拡散され、大きな議論を呼んでいる。
ブルームバーグによると、尹氏はFacebookのオフィスから飛び降り自殺した同僚の追悼式に参加した日、メールで警告を受けたという。
自殺した同僚は、中国人の陳秦(チェン・チン)氏。9月19日(現地時間)に米カリフォルニア州メンロパークにあるFacebook本社オフィスの4階の窓から飛び降りた。
400人が参列した追悼式の後、尹氏は社内ミーティングの席に呼び出され、同僚の死について公言しないよう命じられた。Facebook側はプライバシーの問題をその理由として挙げたという。
尹氏はその後「最後通告」を受け、10月7日には解雇された。彼はその後WeChatに、「判断力の欠如」が解雇の理由だったと投稿。受け取った最後通告には、Facebookの就業規則に違反したとの言及は一切なかったことも明らかにしている(前出のブルームバーグ記事)。
Facebookの広報担当はBusiness Insiderの取材に対し、次のように回答した。
「尹氏が抗議活動に参加したり、陳氏の自殺について公の場で発言したことを理由に、当社が尹氏を解雇した事実はない。Facebookはすべての従業員が互いに敬意をもって接することを願っている。センシティブな問題に向き合う時には、特にそうあるべきだ。当社は社員が安全かつ快適に働ける環境を確保するためなら、迷いなくあらゆる手段を講じる」
Facebookの企業文化は「カルト」との声も
Facebook本社のある米カリフォルニア州メンロパーク。
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尹氏がWeChatに投稿した後、中国のQ&Aサイト「Zhihu(知乎)」では、尹氏の解雇に関するスレッドが160万回以上閲覧された。
また、尹氏は10月初旬にビジネス特化型SNSのLinkedInでも、Facebookの対応について書いていた。その投稿には「いいね!」が7000超、800以上のコメントがついた。
以下に尹氏の投稿を翻訳したものを引用しておく。
「心配してくれてありがとう。(陳君の自殺について)抗議デモに参加し、直談判して、会社に真実を明らかにするよう求めた。僕は大丈夫。会社からの圧力はちょっと強くなったけどね。書面で最後通告を受けたよ。しまっておこうと思ったけど、寝室の壁に貼っておこうかな。[アップデート]正式に解雇された。自由を取り戻したんだ」
尹氏の投稿内容は、Facebookの企業文化に関する別の調査報道とも合致する。
米CNBCは2019年1月、Facebook関係者に取材を重ね、同社にはピラミッド的な権力関係が根づいており、反対意見を言えない労働環境にあることを明らかにしている。
同社の元従業員は番組のなかでこう語っていた。
「クソみたいな扱いを受けた時でも、会社を愛しているかのように振る舞わなくちゃならない。いつも最高の環境で働いてる、って顔をしてなくちゃいけないんだ」
CNBCは同番組で、複数の元従業員がFacebookの企業文化について「カルト的」と表現したとレポートしている。
(翻訳・編集:川村力)