シャオミ関連企業の「Roborock(ロボロック)」社が開発したロボット掃除機「Roborock S6」。10月18日から発売。
撮影:大塚淳史
ソフトバンクの関連会社で、販売代理業などを行うSB C&Sは、中国の大手スマホメーカー「小米科技(シャオミ)」関連3社のIoT家電(スマート家電)を取り扱いを開始する。
第1弾としてロボット掃除機「Roborock S6」を、家電量販店等で10月18日から発売(税込み7万4800円)。11月以降にはLED照明、扇風機、加湿器など順次発売する予定だ。SB C&Sの瀧進太郎・常務執行役員兼新規事業本部長によると、今後もシャオミ関連会社の製品を増やすことを検討しているという。
「Roborock S6」は、高精度のLDSレーザーセンサーを搭載。360度スキャンをしながら、室内を正確に把握し、掃除できる。レーザーセンサーを搭載しているため、暗い部屋でも問題なく部屋の構造を把握できる。
特筆すべきは掃き掃除と拭き掃除の両方が可能だということ。掃き掃除では2000paという強力な吸引力を発揮するが、静音性も備える。アプリを使って掃除エリアの指定もできる。
第1弾のロボット掃除機はルンバ対抗
「Roborock S6」は高精度のLDSレーザーセンサーで部屋の構造を把握する。アプリ上でマッピングされた部屋画像が表示され、特定エリアの掃除を指定できる。
撮影:大塚淳史
「Roborock S6」を開発したロボット掃除機メーカーのRoborock(ロボロック)社のチャン・ジンCEOは「S6は日本人の習慣にあっていると思う。AIのアルゴリズムはルンバより優れている。これは(既に発売した)海外でのレビューコメントで言われていること」と自信を見せた。同社のロボット掃除機シリーズはすでに世界40カ国で累計500万台以上、売れたという。
11月以降には、照明器具メーカーのYEELIGHT(イーライト)社のスマートLED電球や、LED光源をリボン状に配置したライトストリップ、家電メーカーのsmartmi(スマートミー)社の扇風機や加湿器などの発売を予定している。
11月以降に発売予定のYEELIGHT(イーライト)社のLED照明、smartmi(スマートミー)社の扇風機や加湿器など。
撮影:大塚淳史
一方で、気になるのが“本命”。
今回SB C&Sはシャオミ関連企業のスマート家電を取り扱うことになったが、シャオミの商品群でやはり大きな魅力を持つのが、スマートフォン「Xiaomi(シャオミ)」やスマートウオッチ「Mi Band(ミーバンド)」。これら“本命”の販売代理への期待もある。
シャオミのスマホは世界シェア4位(IDC調べ)、スマートウオッチは世界シェア1位(同)と世界的な人気商品で、スマートウオッチこそ他社経由で家電量販店で取り扱われ始めているが、スマホは日本では未だ発売されていない。
今後のスマホの取り扱いについて前出のSB C&Sの瀧氏は、「私の顔を見てもらえれば(苦笑い気味)。コメント自体、(メディアに)させて頂ける状態にはありません。ただし、顔にありますように、いろんな事を検討しているとご想像していただきたい」と含みを持たせた。
スタートアップが生き残りやすいシャオミのエコシステム
左から、ソフトバンクC&Sの瀧進太郎常務執行役員兼新規事業本部長、ロボロック社のチャン・ジンCEO、イーライトのエリック・ジャンCEO、スマートミーのスー・ジュンCEO。
撮影:大塚淳史
一方で今回の会見で度々出てきた言葉で、興味深かったのが「エコシステム」だ。一緒に登壇した3社は、シャオミのエコシステムによって成長できた、と話していた。
今回中国から来日して会見に参加した3社は、シャオミの企業向けプラットフォームである「Mi Ecosystem(ミーエコシステム、中国語名:小米生態鏈)」の一員。シャオミによるスタートアップ企業への投資・支援を目的としたシステムで、これまで270社が名を連ねる。この一員になれば、シャオミや関連企業が持つユーザーの声や技術情報が共有され、より良い製品を開発しやすくなる。そしてシャオミの持つ販売網を通じて、製品の宣伝や販売が可能になる、というものだ。
ロボロック社は2014年、イーライト社は2012年、スマートミー社は2014年の創業。ミーエコシステムを利用することで、世界で数百万台規模の販売を手がけるまで成長した。
スマートミーのスー・ジュンCEOは「シャオミのエコシステムは最高のプラットフォームだと思っている」と評価し、次の理由を上げた。
「1つ目の理由に、シャオミのチームは多くのスマート家電の専門家を抱えている。
2つ目は、シャオミはエコシステムの意味を理解していて、(エコシステム関連企業を)コントロールしようとはしない。コントロールではなくコラボレーション、共に一緒にやっていくという形です。
3つ目は、チームメンバー(参加企業)が多い。今200社以上が参加しているが、技術開発やリソースなど、ともに協力することによって、大幅に効率性を改善することができる」
今回、ソフトバンクC&Sを通じて日本で発売することになった中国3社はすでにグローバル展開を強めている。
撮影:大塚淳史
イーライトのエリック・ジャンCEOもミーエコシステムのメリットを上げる。
「新しい会社をを成功させるには良い商品を作ることと同時に、良い製品を作っていることを知ってもらうことが重要だが、スタートアップにとって、その2つを行うのは非常に難しい。
シャオミがのサポートで私たちが良い製品を作っていることを、多くの人に知ってもらえるので、うちは研究開発に集中できる」
「うちくらいの規模のスタートアップにとって、シャオミエコシステムに参加している方が生き残り率は高いのではないか」
シャオミの「Mi Ecosystem(ミーエコシステム)」の概念図。
撮影:大塚淳史
エコシステムの存在によって、3社とも研究開発に集中でき、さらに良い商品を生み出すという好循環を生んでいるようだ。
(文、写真・大塚淳史)