Sansan創業者の寺田親弘氏。2019年3月撮影。
撮影:岡田清孝
名刺アプリのSansanが10月15日、2020年5月期の第1四半期決算を発表。Sansanにとっては6月19日の上場以来、初の四半期決算になる。
第1四半期の実績は、売上高31億円(前年同期比35.8%増)、営業利益2億4800万円(同252.8%増)、最終利益1億600万円(同98.5%増)。
出典:Sansan
第1四半期はまとまった広告宣伝は実施しない時期のため見た目の営業利益が出やすいという季節要因を差し引く必要はあるが、ビジネスの状況は堅調といえそうだ。
決算資料のなかで、いくつか注意しておくべきポイントがある。以下にまとめた。
1. Sansan事業、Eight事業などから特別損失の計上
出典:Sansan
決算にあわせて、Sansan事業600万円、Eight事業900万円、全社費用2100万円の特別損失の計上も公表している。
Sansan広報は、Business Insider Japanの取材に対し、おおまかな内訳について「一部のサービスにおいて、開発していた機能の提供をやめたり、サービスの開発を停止した関係。法人向け、個人向けのサービスの大元を閉じたものではありません」という趣旨の回答をしている。
2. 個人向け「Eight」事業が売り上げ179%増も、依然として赤字は続く
出典:Sansan
個人向けの名刺アプリ「Eight」事業は直近の四半期で売上高が2億5100万円(前年同期9000万円)と、伸長率が179%増となった。
このうち、EightのB2Bサービスの売り上げが419%増(1億7900万円)になったことが売上増の主因だとわかる。
Sansanによると、B2B事業の好調は
- Eight企業向けプレミアム
- Eightのフィード上で表示する広告「Eight Ads」
- Eightユーザー向けのダイレクトリクルーティング機能
- Eightのネットワークをもとにしたオフラインイベント機能Meets
といった事業の売り上げ増が関係しているという。
なお、前年同期で比較するとEight事業は営業損益の改善はしているものの、依然として第1四半期の赤字は続いている。
3. 売上高の通期見通しは138億、期初目標から変更なし
出典:Sansan
期初に公表した138億1600万円の通期売上高の見通しは現時点で変更なし。Sansanは、通期見通しの中で、2019年5月期は赤字9億4500万円だった最終損益を、2020年5月期では黒字化すると見込んでいる。
なお、Sansanの株価は、上場後7月後半に6140円前後の上場来高値をつけたが、その後下落に転じ、10月15日時点では4500円前後で取り引きされている。
(文・伊藤有)