Facebookのデジタルウォレットサービス 「カリブラ(Calibra)」 の最高経営責任者 (CEO) を務めるデービッド・マーカスは、2019年7月17日、米国下院金融サービス委員会の暗号通貨に関する公聴会に出席した。
AP Photo/Andrew Harnik
- フェイスブックは暗号通貨リブラを運営する非営利団体リブラ協会の正式メンバーを発表した。
- リブラはまだ通貨としては存在しないが、この発表はリブラに関する枠組みと管理が存在するこのアピールだ。
- しかし、Visaやマスターカード、Stripeなどの当初賛同していた企業が脱退したことによって、この発表はやや影が薄いものになった。
- フェイスブックはこの泥沼状態にも関わらず勇敢な態度で、リブラの責任者であるデービッド・マーカスは「活気づいている」と述べた。
フェイスブックは14日(現地時間)、同社を含む21社の企業・団体が参加して通貨の発行と管理を担当するリブラ協会を設立し、暗号通貨リブラ(Libra)の実用化に向けて大きな一歩を踏み出した。だが一方で、当初のパートナー企業のうち、7社が脱落している。
この設立はリブラがより正式でガバナンスを持つようになったことを意味しており、規制当局がこの通貨の信頼性について質問すれば、フェイスブックは反論できるだろう。また、シリコンバレーのソーシャルネットワークの巨人がリブラの唯一の顔ではなく、建前上は一つの参加企業としてテーブルにつくことになる。
リブラ協会には、フェイスブック、Spotify、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、リフト(Lyft)、ウーバー(Uber)など21の企業・団体がメンバーだ。メンバーは14日に憲章に署名し、運営評議会であるリブラ協会評議会の評議員を選出した。評議員には、フェイスブックのリブラのリーダーであるデービッド・マーカス(David Marcus)を含む5人が投票で選ばれた。
今回の発表はリブラへの信任決議となるはずだが、リブラ協会に参加すると見られていたメンバーの4分の1が脱落し、規制当局や議員がプロジェクトを綿密に調査しているなど、プロジェクトに対する否定的な報道が相次いでいる中で行われた。
当初、同協会には28人の会員がいたが、ここ数週間でVisa、マスターカード、Stripe、Booking Holdingsを含む7社がこの暗号通貨への支持を撤回した。
また、サービス開始は2020年末に予定されているが、必ずしもそれまでに準備が整うとは限らないようだ。
リブラ協会の副会長に指名されたダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)は、フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times)に対し、規制上の理由により発行が遅れるかもしれないと述べた。「適切なライセンスを得る必要があるが、それが間に合わない可能性もある」と彼は言った。
立ち上げを監督するフェイスブックのデービッド・マーカスは、勇敢に振る舞った。
「今日は、我々のリブラ協会の最初の日だ。素晴らしい日!」と彼はTwitterで述べた。
「さまざまな業界の代表者が一同に介して活気があった。我々は一体となって、誰もがデジタルマネーや金融サービスを簡便に利用できるようにし、コストを削減することを基本的な使命としている」
今日は我々のリブラ協会での最初の日、素晴らしい日だ!さまざまな業界からの代表者を目にすることは活気に満ちていた。利害関係者が一体となって、誰もがデジタルマネーや金融サービスを簡便に利用できるようにし、コストを削減することが基本的な使命だ
マーカスはVisa、マスターカードなどのパートナーの離脱の衝撃を抑えようとして、12日にこうツイートした。
「このニュースでリブラの運命を判断しないようにしてほしい。もちろん短期的には良いニュースではないが、ある意味、解放でもある。新しい情報を間もなく提供する。この規模の変革は困難なものだ」
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)