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電動車椅子ベンチャーのWHILL、JAL等と共同で羽田空港内で初の「有人」自動運転実証。2020年の実用化に向け着々

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JAL、日本空港ビルデング、WHILLの3社でおこなう実証で使う「WHILL自動運転モデル」のイメージ。背面の荷物カゴ部分にはスーツケースもおさまるような設計になっている。

出典:WHILL

日本航空(JAL)、羽田空港の運営会社である日本空港ビルデング、電動モビリティベンチャーのWHILLは10月17日、羽田空港内のJAL国内線の一部搭乗口まで、電動モビリティ「WHILL自動運転モデル」を移動に使う有人実証を開始することを明らかにした。

実証期間は2019年11月2日、3日の2日間。セキュリティーゲート通過直後から搭乗口3〜9番までが対象。JALグループ便の搭乗者で車椅子利用を希望する乗客が条件だ。WHILLとして、一般客を乗せた有人での自動運転実証は世界初だ。

WHILL杉江社長の語る「2020年度のビジネス化に向け着実な一歩」

WHILLの杉江理代表

WHILLの杉江理代表。

撮影:伊藤有、撮影協力:Shibuya Open Innovation Lab(SOIL)

実証に先立って、WHILLの杉江理代表がBusiness Insider Japanの単独取材にこたえた。

羽田空港での実証は、車椅子型の電動モビリティWHILLのMaaS事業(Mobility As A Sevice、2018年に計画発表)の実用化に向けた一環。車両には、既存車両の「Model C」をベースに、2019年に発表したWHILL自動運転モデル数台を使う。

杉江氏によると、今回の実証では、搭乗口までの「往路」の移動操作を利用者(乗客)が行い、搭乗口からセキュリティーゲートの貸し出し地点までの「復路」を、自動運転で帰還するフローで設計している。

羽田空港内を無人の電動車椅子が走り回る、というのは、なかなかインパクトのある実証だ。しかも、ビーコンの設置などの「建物側への加工」は基本的に何もしていないという。

具体的にどういう技術で空間認識を実現しているのか?

杉江氏によると、現段階で詳細は語れないとしつつも、事前に用意した構内のデジタルマップデータを使っていると説明する。前方のステレオカメラ、後方のLIDAR(レーザーレーダー)などを使って「自己位置推定」(自身が構内のどの位置にいるかの推定)をリアルタイム処理しながら、スタート地点に帰還する仕組みだという。

デジタルマップ上に存在しない人の往来や障害物については、2019年時点で実働デモンストレーションしていた「障害物検知機能」を使って、停車して障害物を避けるなどの仕組みを引き続き取り入れている。

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羽田空港内での利用イメージ。

出典:WHILL

杉江氏は、WHILLのMaaS事業が最初のターゲットに定める大型空港での車椅子移動サービスの市場規模を「市場規模数百億〜数千億円規模の“ニッチ市場”※」(杉江氏)だと言う。現状、この市場を自動運転分野で狙うライバルはいない、という認識だ。

※世界の大型空港では旅客の約1%が車椅子を利用するというWHILL独自試算から算出

現状の人力による車椅子サービス事業は、先進国を中心に広がる少子高齢化の流れのなかで、空港や関連会社への「負担増」としてのしかかる。このコストを、自動運転の電動モビリティで解決し、サブスクリプション(月額課金)でビジネス化するというのが、空港向けMaaS事業におけるWHILLの狙いだ。

2020年度の実用化に向け、羽田空港ではトータルで2回の実証を予定。

ドバイのアブダビ空港、アメリカのダラス空港、アムステルダムのスキポール空港、カナダのウィニペグ空港での実証を予定している。

これまで、2018年のMaaS事業発表、2019年前半の特定施設内での実証と、ステップを進め、今回の羽田での実証につながった。

「技術的には、すでに実用化が見えてきている。CES2019(世界最大級のテクノロジー展示会の)や大手町(2019年のオフィスビル敷地内での実証)の時点からは、ステレオカメラの認識精度などの向上、自動運転ソフトそのものを現場オペレーションに最適化するような改善を加え、さらに完成度を高めた」(杉江氏)

と、杉江氏は実用化に向けて強い自信を見せる。

実用化目処の2020年といえば、東京五輪での実用化への期待が高まる。しかし、WHILLとしては五輪期間は必要以上に意識せず、あくまで「2020年度中の実用化」を粛々と進めていくという考えだ。

(文、写真・伊藤有)

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