「献立決め」まで入れれば妻の家事負担は85%以上。夫婦格差はもっと深刻

家事をする女性

「料理」や「掃除」など名前がある家事ばかりではない。「名もなき家事」の存在に思いを馳せたことがあるだろうか。

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コピーライターの梅田悟司氏が9月に出版した「名もなき家事」に関する著書(『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』)がインターネット上で話題になっている。

料理、洗濯、掃除、買い物、子どもの世話などの「手を動かす家事」は、家事としてイメージしやすい。だが、家事には、冷蔵庫の中に残っていたものを思い出しながら今日の献立を考えて何を買い足すべきかを決めるなど、「料理」とも「買い物」とも呼ばれない「名もなき家事」も多くある。

梅田氏の著書は、そんな「名もなき家事」にコミカルな名前を与えてその存在に気付かせることで、夫婦の家事分担の見直しにつなげようとする面白い試みである。

調査に反映されにくい「献立決め」

ホームで電車を待つ女性

統計上の「家事・育児関連時間」には入っていないであろう、帰り道に「食事の献立を考える」という家事。

撮影:今村拓馬

夫婦における家事や育児の分担度合いを表す指標としては、総務省の「社会生活基本調査」による「家事・育児関連時間」がよく用いられる。2016年の同調査では、6歳未満の子のいる世帯で妻の1日当たり(週全体平均)の「家事・育児関連時間」が454分であるのに対し夫は83分に留まり、時間で測ると家事や育児の85%を妻が担っている計算だ。

同調査は、1日24時間を15分ごとに区切り、その15分ごとに、仕事、通勤・通学、家事、育児、休養・くつろぎ、などの選択肢の中から最もあてはまるものを回答者の主観で1つ選ぶ。この仕組みでは「名もなき家事」が含まれにくい。

例えば、通勤電車の中で献立を考えていた場合、おそらく回答者はその時間を「通勤・通学」とし

「家事」だとは記入しないだろう。実際には91.6%の世帯で妻が「食事の献立を考える」役割を担っている(※)が、その時間は必ずしも統計上の「家事・育児関連時間」には入っていないだろう。

(※)国立社会保障・人口問題研究所「2018 年社会保障・人口問題基本調査 第 6 回全国家庭動向調査 結果の概要」(2019 年 9 月13日公表)による

名もなき家事の実態把握を

「名もなき家事」も含めれば、妻が担っている家事や育児の割合は、統計上の85%よりももっと高いものと考えられる。

政府は、女性の社会での活躍のためには男性の家庭への参画も重要であるとして、男性の「家事・育児関連時間」に数値目標を定めている。目に見える家事や育児の分担ももちろん重要だが、「名もなき家事」も有形無形の負担となりうる。

個々の家庭も、政府においても「名もなき家事」も含めた家事や育児の分担状況を認識し、適切な分担のあり方を模索していくことが重要だろう。


是枝俊悟:大和総研研究員。1985年生まれ、2008年に早稲田大学政治経済学部卒、大和総研入社。証券税制を中心とした金融制度や税財政の調査・分析を担当。Business Insider Japanでは、ミレニアル世代を中心とした男女の働き方や子育てへの関わり方についてレポートする。主な著書に『NISA、DCから一括贈与まで 税制優遇商品の選び方・すすめ方』『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(共著)など。

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