アマゾン受け取り近所のお店でを常識に、宅配のLCC目指す次世代型物流とは?

工藤社長

「モノと人をつなげることでハッピーにしたい」と語る工藤社長。

撮影:横山耕太郎

お店の空きスペースを利用して観光客らの荷物を預かるシェアリグサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を運営するecbo (エクボ)が、アマゾンと業務提携し、アマゾンの商品を指定したお店で受け取れるサービスが注目を集めている。エクボの工藤慎一社長は、「荷物を受け取ることで人と人がつながるサービスにしたい」と話している。

エクボは2017年1月に「エクボクローク」を立ち上げた。2019年9月からは、同サービスで荷物を預けられる店舗で、宅配物も受け取れるサービス「エクボピックアップ」を開始。今回はアマゾンと業務連携し、アマゾンで注文した商品を、エクボピックアップ加盟店の一部で受け取ることができるようになった。

まずは渋谷エリアからはじめ、今年中には100店舗以上で受け取れるようになるという。

ダイレクトな宅配は「非効率」

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宅配便の個数は年々増加している。

出典:国土交通省「平成30年度宅配便等取扱個数の調査」

なぜ、宅配物の受け取りに目をつけたのか?

「宅配物は今後も増え続け、ドライバーも高齢化していく。現在のように一軒一軒に荷物を配るダイレクトな宅配は非効率です。炎天下で一つひとつ荷物を配るのは、物流の負担が大きすぎる」

国土交通省の集計「宅配便等取扱個数の調査」によると、トラックでの宅配便の取り扱い個数は2014年度には35億7000万個だったが、2018年度には約7億個増加し、42億6100万個になり増加傾向が続いている。

「モノと人とのタッチポイントを作ることで、人を幸せにしたい」という工藤さんは、3年前の創業時から、荷物を「預ける」ことだけでなく「受け取ること」も視野に入れていた。

荷物を預けるエクボクローク事業が、47都道府県の1000店舗以上でサービスを展開するまでに成長したこのタイミングで、アマゾンとの業務提携を決めた。

時代は「LCC宅配」?

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宅配便の量は増え続け、宅配業者への負担の増加が問題視されている。

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「持続可能な『LCC(格安航空)的な宅配』が必要になっている。ダイレクトな宅配は過剰サービスで、航空機で言えば『ビジネスクラス』のサービスになっていく」と、工藤さんは分析する。

現状の物流のままでは、増え続ける宅配物に対応するのが難しい。そこで、近くの店舗まで荷物を受け取りに行くような、低コストの物流が効率的だと指摘。将来的には、コンビニ以上の店舗数で荷物を受け取れるよう、サービスを拡大するのが一つの目標だという。

人と人との接点を大切に

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工藤社長は「新しいコミュニケーションが生まれることに期待している」と話す。

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荷物受け取りサービスでは、これまで行ったことのない店舗と、人とをつなげられる点にも可能性を感じている。

「例えば近くの飲食店を受け取り場所に選べば、これまで全く接点のなかった人がお店に行くことになる。荷物を受け取れば、その店のカクテルが1杯無料になるサービスとかも面白いですね」

「経済合理性だけを考えれば、無人の宅配ロッカーを置くべきかもしれないけど、人はコミュニケーションの動物。人と人の接点を大切に考えていきたい」

自分宛ての荷物を受け取りに、近所にあるお店に初めて行ってみる。新しい受け取りの形を想像すると、ちょっとわくわくする。

(文・横山耕太郎)

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