「#MeToo」から2年…アメリカの職場では何が変わったのか

男性労働者の10人に3人が#MeToo運動を好ましくないと考えている。

男性労働者の10人に3人が#MeToo運動を好ましくないと考えている。

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  • シカゴ大学の研究機関とSAPが実施した新たな調査によると、アメリカの労働者の3人に1人は、#MeToo運動をきっかけにオフィスでの振る舞いを変えたことが明らかとなった。
  • 管理職の38%が、#MeToo運動後に従業員との接し方を変えた。だが10人中3人の男性は、#MeToo運動を好ましく思っていなかった。
  • 有色人種の労働者は、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)の実践がまだ進んでいないと考えていることも、調査で明らかとなった。

#MeToo運動は、アメリカ人の働き方を変えた。

アメリカのパートタイム及びフルタイムの労働者3人に1人が、#MeToo運動をきっかけにオフィスでの振る舞いを変えたことを新たな調査が明らかにした。この調査はシカゴ大学の研究機関Associated Press-NORC Center for Public Affairs Researchとソフトウェア会社のSAPが実施したもので、母集団としてのアメリカ人を代表するように抽出された1000人の労働者が調査対象となった。

調査によると過去1年の間、同僚と職場でのセクハラについて話し合ったことがある労働者は、全体の3分の1だった。#MeToo運動は、エンターテイメント業界、小売業、金融業など、アメリカのあらゆる産業に広がり、セクハラについて声高に訴えられた。

だが、この運動をよいことだと考えなかった労働者もいる。男性は10人中およそ3人が、この運動を好ましく思っていなかった。2019年初め、女性支援団体のリーン・イン(Lean In)が行った調査によると、管理職の男性の60%は、従業員の女性と2人だけで会議を行うことを恐れていることが明らかとなった。

#MeToo運動に対する労働者の反応は他にもある。

  • アメリカ人労働者の10人に4人は、#MeToo運動後に雇用主が職場でのハラスメントに対応するための新たなトレーニングを設けたと述べた。
  • 管理職の38%が、#MeToo運動後に従業員との接し方を変えた。
  • 従業員の53%は、最近のセクハラ訴訟への注目の高まりが、働く女性にポジティブな変化をもたらすと考えている。
  • 職場でセクハラを受けたことがあるという労働者の60%は、#MeToo運動を好ましく見ている。

調査では、人種的・民族的な多様性の推進についての設問もあった。それに対して多くの有色人種の労働者は、なかなか解決しない問題を列挙した。例えば、将来的に労働条件は改善されるかという設問では、黒人労働者のうち23%だけがよくなると回答した。

労働者の10人中およそ4人は、白人男性の従業員の方が、他の属性のグループに比べてより多くの利益を得ていると考えている。仕事のオファーを受ける前に、その企業のダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)のプログラムについて考慮するのは、黒人やヒスパニックの労働者では50%以上、白人の従業員は27%だった。

コンサルティング会社のマッキンゼーとリーンインも、新たなレポートを発表した。それによると、企業の経営幹部に占める白人女性の割合はある程度増加したものの、有色人種の女性の割合はわずか4%にとどまる。さらに職場での有色人種の女性は、白人女性が直面しないような問題を抱え、白人女性よりもハラスメントを受ける割合が高い。

[原文:The state of #MeToo: Here's where the movement stands 2 years after the explosive allegations that launched it

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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