理論で説明できない成長の速さ…新たな「モンスター銀河」が見つかる

初期宇宙での巨大銀河の想像図。厚い塵の雲にほとんどの光が隠され、銀河はぼんやりとしたまとまりのない姿となっている。現在見られる銀河とはかけ離れた姿だ。

初期宇宙での巨大銀河の想像図。厚い塵の雲にほとんどの光が隠され、銀河はぼんやりとしたまとまりのない姿となっている。現在見られる銀河とはかけ離れた姿だ。

James Josephides/Christina Williams/Ivo Labbe

  • 天文学者チームは、初期宇宙で形成された、目に見えない「モンスター銀河」を偶然発見した。
  • 彼らは、銀河内の新しい星の形成によって熱せられた塵雲の暖かい輝きを検出することによってそれを発見した。
  • 初期宇宙において、銀河は理論モデルを覆すほどの速さで巨大化し、成熟していた。その仕組みを解明するヒントが、今回の発見で得られるかもしれない。
  • NASAが打ち上げを予定しているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、研究者は新たな銀河をより詳細に研究できるようになるだろう。

天文学者チームは、初期宇宙で形成された、目に見えない「モンスター銀河」を偶然発見した。

チリにある66台の望遠鏡で構成されたアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)で観測をしていた研究者が、宇宙にかすかな光が現れたのをとらえた。

この光は、その銀河の内部で形成される星によって塵の粒子が熱せられたものだと彼らは考えた。この塵によって星自体の光など、さまざまな波長がブロックされていて、新たに発見された銀河は、 ある意味ほぼ見ることができない(だがアルマ望遠鏡はミリ波・サブミリ波と呼ばれる電波で観測するため、今回の発見につながった)。

「この発見は、氷山の一角に過ぎないのだろうか。もしかしたら、まったく新たなタイプの銀河が発見されるかもしれない」と、新たな論文の共同執筆者であるケイト・ウィテカー(Kate Whitaker)氏は、プレスリリースで述べた。その論文は10月22日に『アストロフィジカルジャーナル』に掲載され、今回の発見について明らかにされた。

観測によると、この銀河は地球から125億光年ほどの距離にある。つまり、研究者が観測しているのは125億年前に発せられた光ということだ。その頃の宇宙はまだ生まれたばかりで、ほんの10億年ほどしか経っていなかった。この銀河を観測することで、初期宇宙でいかに素早く、巨大な銀河が成熟していったのか、ヒントが得られるかもしれない。

初期宇宙の銀河

以下の動画は生まれて間もない銀河の姿を想像したもの。形成されたばかりの無数の星が、その周辺を取り巻くガスや塵の雲を照らしている。

この銀河の存在に最初に気が付いたのは、論文の筆頭著者であるアリゾナ大学の博士研究員、クリスティーナ・ウィリアムズ(Christina Williams)氏だ。

「とても神秘的だった」と同氏はプレスリリースで述べた。

「この光は、これまで知られているどの銀河ともまったく関連がないように見える。この銀河が他のどんな波長でも感知できないと分かったとき、大変興奮した。ものすごく遠くにあり、塵の雲で隠されていることを意味するからだ」

銀河の謎を解くヒントに

ぶつかりそうな2つの渦巻き銀河。

ぶつかりそうな2つの渦巻き銀河。

Gemini Image Gallery

謎の多い新たな銀河は、我々の銀河系(天の川銀河)と同程度の数の星があるようだが、より活発で、天の川銀河の100倍の速さで星形成が行われている。

天文学者たちは巨大で成熟した銀河が、宇宙の歴史の初期には出現していたことを知っている。宇宙の誕生からおよそ10億年が経過した頃だ(天文学者は「現時点の年齢の10%」という言い方を好む)。これらの銀河はどこからともなく現れたようで、最も優れた理論的モデルが予測するよりもはるかに速くガスを成長させて星を生み出し、銀河を形成した。

今までこのプロセスが観測されたことはなかった。NASAのハッブル宇宙望遠鏡が初期宇宙の小さな銀河をとらえたことがあるが、今回発見された銀河のように初期段階でこれほど巨大になった銀河はひとつもなかった。

工場のように次々と星を作り出す巨大で活発な銀河を観測することで、天文学者は理論モデルに何が欠けていたのか、解明できる可能性がある。

「今回発見したモンスター銀河には、まさにその欠けていた部分を補う要素がそろっている」とウィリアムズ氏は述べた。

同氏のチームは、新たな望遠鏡によってこの銀河や類似の銀河についてより詳細に明らかになることを期待している。現在の望遠鏡では、銀河の観測や類似の銀河の発見は困難だ。それらは目に見えず、塵の雲に覆われ、かすかな光しか発していないからだ。

「今は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によってこれらが観測されることを心待ちにしている」とウィリアムズ氏は述べた。

JWSTは2021年3月30日に打ち上げが予定されている。

JWSTの検査の様子。メリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターで。

JWSTの検査の様子。メリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターで。

NASA/Chris Gunn

JWSTはすでに完成し、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)のカリフォルニア工場で、長期にわたるテストが行われている。

最初の恒星と銀河がどのように形成されたのか、惑星はどのようにして生まれたのか、そして宇宙のどこかに生命が存在するのかといったことを明らかにするために、JWSTは宇宙の歴史のすべての段階について調査を行う。幅約6.5メートル、折り畳み式のベリリウム製の主鏡を備えたJWSTによって、我々に届く極めてかすかな信号もとらえられるようになり、はるか彼方にある銀河を詳細に観測できるようになるだろう。

「JWSTは塵の雲を通して観測ができるため、これらの銀河がどれだけ巨大なのか、またどれだけ早く成長しているのか分かるようになる。そして、理論モデルでうまく説明できなかった理由が明らかになるだろう」とウィリアムズ氏は述べた。

[原文:Astronomers accidentally discovered an invisible 'monster galaxy' from the beginning of the universe

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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