医療制度のせい? アメリカの医師や看護師は、約半数が「燃え尽きている」

頭を抱える医療関係者

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  • 全米医学アカデミーの最新レポートによると、アメリカでは医師および看護師の35~54%がバーンアウト(燃え尽き症候群)に苦しんでいる。
  • 手に負えないほどの仕事量や適切でないテクノロジー、サポートの欠如などがその原因だ。
  • 2019年に入って、アメリカでは臨床で働く医師や看護師のバーンアウトが限界に達している。医師のバーンアウトは史上最悪で、看護師は今年の夏、4つの州でストライキを決行した。

あなたを診てくれる医師がバーンアウトに苦しんでいる可能性は、これまでになく高そうだ。

全米医学アカデミーの最新レポートによると、アメリカでは医師および看護師の35~54%がバーンアウトの症状を抱えている。

原因としては、手に負えないほどの仕事量、適切でないテクノロジー、社会的サポートの欠如などが挙げられるという。この321ページに及ぶレポートには、臨床で働く医師や看護師のバーンアウトに関する科学的な研究のレビューも含まれている。

レポートの筆者たちは、こうした人々のバーンアウトは個人の問題ではなく、組織の問題だと指摘する。これには、旧態依然としたテクノロジーや働き過ぎの医学生、学生が金利の高い学生ローンに手を出さざるを得なくなるような高額な学費、病院内での同僚同士のサポートの仕組みの欠如などが含まれる。

2019年に入って、アメリカでは臨床で働く医師や看護師のバーンアウトの問題は限界に達している。医師のバーンアウトは史上最悪で、初期診療を担う医師の79%が職場関連のストレスに苦しんでいると報告している。看護師は今年の夏、4つの州で看護師1人あたりが担当する患者の数の改善などを求めるストライキを決行した

看護師たちは自らのバーンアウトの原因として、一度に担当しなければならない患者が多すぎることを挙げている。オーストラリアの研究によると、看護師が一度に見なければならない患者が4人以下だと、命を救うことができ、再入院率の低下にもつながるという。アメリカで現在、一度に見る患者数を規制しているのは、カリフォルニア州のみだ。

米国医師会(AMA)のバーバラ・マクネニー(Barbara McAneny)元会長は、「仕事によって引き起こされる医師のバーンアウトの症状や介護疲れを減らす包括的な戦略を続けるには、医療制度に経済的な問題がある」とし、「エネルギーにあふれ積極的かつ強靭な医師は、国の医療目標を達成する上で必要不可欠だ」と、Business Insiderの取材に答えた。

職場でのバーンアウトはアメリカ全体の問題に

仕事関連のバーンアウトは、アメリカのあらゆる業界で増加している。ある調査では、労働者の半数以上が自らの仕事がメンタルヘルスに負の影響を与えていると回答している。世界保健機関(WHO) は、バーンアウトを「症候群」と定義し、初めて医学的にこれを認めた

仕事でうつになるリスクは、多くの医師や看護師同様、いわゆる"9時から5時まで"でない仕事に従事している人の間で特に高い。事実、エクセター大学のある研究では、イレギュラーな時間帯に働いているまたは夜勤に従事している人がうつを抱えている可能性は、33%高いことが分かっている。

うつや仕事関連のバーンアウトは、恐ろしい結果をもたらしかねない。カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、看護師は一般人に比べて自殺のリスクが高いという。

全米看護師連盟とそのカリフォルニア支部の看護実習の責任者で、自らも看護師であるジェラルド・ブローガン(Gerard Brogan)氏は、多くの問題は医療現場で働いている人の助けにならない病院または医療当局による決定から生じていると言う。例えば、アルゴリズムに基づく患者の治療は、それぞれの患者にとって何がベストか分かっているであろう医師や看護師から自律を奪う。

「医師、看護師、その他全ての医療のプロたちは、自分を魅力的に見せるために仕事をしているわけではない」と、ブローガン氏はBusiness Insiderに語った。

「彼らはコミュニティーのことを考え、コミュニティーの財産になろうと医学、看護のプロになった人々だ。その信念は、利益を目的とした医療制度と同じではない。それは違う」

[原文:Half of all US nurses and doctors are burned out — and they say the healthcare system is to blame

(翻訳、編集:山口佳美)

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