五輪マラソン東京開催にIOCは改めてNO。札幌開催費用は「検討して対応」

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意見を交わす小池百合子都知事(右)とIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長。

撮影:横山耕太郎

2020年7月に開幕する東京五輪で、マラソンと競歩の開催地をめぐり混乱が続いている。

東京五輪の招致時から決定されていた東京での開催について、10月中旬になって国際オリンピック委員会(IOC)が、札幌での開催を提案したことに、都が反発。10月25日にはIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長が都庁を訪ねて小池百合子都知事に理解を求め、会談した。

会談の冒頭で小池都知事は「都民もマラソンを楽しみにして準備してきた。東京で開催する気持ちに変わりはない」とコーツ委員長を牽制したが、コーツ委員長は札幌開催を主張。代わりにマラソンのメダル授与式を東京で開催することなどを提案した。

その後の対談は非公開で行われたが、コーツ委員長は会談後の取材に対し、東京での開催はあるかを問われ「ノー」と断言。札幌への移転案を改めて、強調した。

ドーハの世界陸上が影響

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会談後に取材に応じる小池都知事。

IOCは10月16日、マラソンと競歩の会場について、札幌に変更する案を発表。カタールのドーハで10月6日に閉幕した陸上世界選手権で、棄権者が相次いたことを考慮したという。

25日の対談冒頭でコーツ委員長は、「ドーハでの事態にショックを受けている。39人のアスリートが医療行為を受けた」と小池知事に説明。IOCがまとめた資料によると、ドーハで開かれた世界陸上の女子マラソンでは、68人中ゴールできたのは40人で、優勝者の記録は個人のベストタイムよりも15分遅かった。

マラソンの開始時間は午前6時を予定していたが、札幌開催案を受けて都は、IOCに「開催時間を早める検討はしたのか」と確認していた。コーツ委員長は、「午前5時半よりも早い開催は難しい」とし、日の出前にはヘリコプターから撮影が難しいことなどを理由に挙げた。

札幌に関しては、毎年8月にマラソン大会を開いていることや、8月の気温が東京に比べて平均3~4度低いとして、「東京と比較して札幌がいい」と主張した。

また男女マラソンのメダル授与式を東京で開催することを提案したほか、札幌での開催費用については「検討して対応する」とした。東京都への歩み寄りを見せた格好だ。

コーツ会長「すでに意思決定されている」

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会談後、取材に応じるIOCのコーツ氏。

対談を終えた両者は別々に記者の質問に答えた。小池都知事は、「最終的には調整委員会で話そうということになった。ついこの間までIOCから(東京開催について)お墨付きをもらっていた」と話したが、一方のコーツ委員長は、「すでに意思決定されている」と言い切った。

マラソンと競歩の開催地をめぐっては、10月30日から11月1日に開催されるIOC調整委員会で、IOCや五輪組織委員会、各競技の国際競技団体が集まり協議するという。

(文、撮影・横山耕太郎)

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