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- H&MのCEO、カール・ヨハン・パーソン(Karl-Johan Persson)氏は10月27日(現地時間)、消費者に持続可能性を考えるよう求めるのは「社会的な」脅威だとブルームバーグのインタビューで語った。
- 消費者に「何かすることをやめろ、消費するな、飛行機を利用するな」と訴えるデモは、「環境への影響を小さくするかもしれないが、恐ろしい社会的帰結を招くだろう」とパーソン氏は憂慮していると言う。
- 消費者の環境に対する意識が高まり、売り上げが低下する中、H&Mでは近年、持続可能性への取り組みを強化している。
"持続可能な消費"というトレンドが、ファッション業界の変化に拍車をかけている。そして、ファッション大手H&Mのトップは、こうした変化を「社会的な」脅威と見ている。
H&Mの創業者の孫でCEOのカール・ヨハン・パーソン氏は、消費者に「何かすることをやめろ、消費するな、飛行機を利用するな」と訴えるデモを憂慮していると、ブルームバーグに語った。
「確かに、環境への影響を小さくするかもしれないが、恐ろしい社会的帰結を招くだろう」とパーソン氏は言う。
ファッション業界は近年、その製造・流通を通じて世界の温室効果ガスの10%を排出しているだけでなく、水質汚染や繊維くず、質の低い労働条件といった社会的負担を生んでいることで批判されてきた。
パーソン氏は、「気候変動の問題は非常に重要だ」として、「これは大きな脅威であり、政治家、企業、個人…… 我々は皆、真剣に向かい合う必要がある」と言う。
「だが同時に、貧困の撲滅も同じくらい重要な目標だ」と同氏は続けた。
コス(COS)やウィークデイ(Weekday)、H&M ホーム、アーケット(Arket)といったブランドも所有しているH&Mは、ファストファッションがもたらす負の影響を減らし、テキスタイルのイノベーションや服のリサイクル・プログラムといった取り組みを進めようとする最も積極的な企業の1つだ。
パーソン氏は、ファッション小売業者はもっと持続可能性を追求すべきだが、売り上げも伸ばし続けなければならないと語る。
「環境への影響は減らさなければならない」
「同時に、我々は雇用を生み出し続け、より充実した医療や経済成長とともに訪れる全てのことを手に入れなければならない」
パーソン氏はもともと、環境イノベーションや再生可能エネルギーの開発、H&Mが行った工場へのソーラーパネルの導入や柑橘類の皮といった慣例にとらわれない持続可能な繊維の利用といった改良に関心があったと話している。
ヴォーグ・ビジネス(Vogue Business)によると、H&Mが最初に構造改革に着手したのは2018年初め、売り上げと利益が低下し、43億ドル(約4700億円)相当の服が売れ残ったときだ。それまで同社は20年近くにわたって成功を謳歌し、世界で2番目に大きな衣料品会社へとのぼりつめた。
(翻訳、編集:山口佳美)