ドコモ、契約数の4分の1占める「FOMA」終了のカウントダウン開始。2019年度業績好調を背景に

NTTドコモ 2019年度上期の業績

NTTドコモは2019年度上期の業績を発表した。

撮影:小林優多郎

NTTドコモは10月29日、2019年度第2四半期の決算説明会を開催し、上期(4〜9月)の業績を発表した。

営業収益は2兆3300億円と前年度同期比で2.5%減、営業利益は5403億円と同11.5%減、第1四半期に続いて減収減益となった。

吉澤和弘氏

NTTドコモ社長の吉澤和弘氏。

主な原因は、同社が法改正に先駆けて6月から導入した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」による通信料金の低廉化と、端末購入補助の施策「月々サポート」を廃止したことによる端末購入の鈍化によるものだ。

新料金プラン導入による減益は以前から織り込み済みであり、NTTドコモ社長の吉澤和弘氏は今回の説明会で「年間の業績目標に向けて順調に推移」と振り返った。

上方修正の理由は「思ったよりスマホが売れている」

ドコモ 上方修正

NTTドコモは年間業績予想の上方修正を行う。

NTTドコモは今回の決算で、2019年度の業績予想の上方修正を行った。営業収益の予想を4兆5800億円から4兆6400億円と600億円増やす。

この理由について同社は、端末の売れ行き好調やスマートフォンへの移行が想定より進んでいるからと説明している。

従来まで行っていた端末購入に紐付く通信料金への割り引きを廃止したことで、高価な端末は売れにくくなっている。にもかかわらず、端末の売れ行きが上方修正の理由となるのはどういうことか。

発表会の吉澤氏

中価格帯の新製品である「Galaxy A20」を持つ吉澤氏(2019年10月12日撮影)。

説明会で同社取締役常務執行役員で財務部長を務める廣門治氏は「当初は(端末の売り上げが前年度同期比で)10%ほど減ると予想していたが、上期は1%ほどにとどまった」と話している。要するに、同社が予想していたより「消費者はNTTドコモのスマートフォンを買っている」ということだ。

主な要因は、ここ数年にわたる同社の端末ラインナップの変化にある。それ以前は、高価で高性能な端末の販売がメインとなっていたが、2017年に登場した“格安SIM潰し”とも呼ばれる「docomo with」(現在、新規契約の受付は終了)以降、中〜低価格帯の端末を拡充させており、「スマートフォンは最低限の機能が使えればいい」というようなユーザーのニーズにも応えているからだ。

3G通信「FOMA」終了は2026年3月31日

FOMA終了

FOMAおよびiモードは、2026年3月31日でサービス終了となる。

しかし、営業収益以外の数値については「据え置き」と手堅い姿勢を崩していない。端末が思ったより売れているとはいえ、「販売平均価格は下がっている」(廣門氏)上に、3G通信「FOMA」のサービス終了がカウントダウン状態に入ったからだ。

NTTドコモは、今回の決算と同時にFOMAおよびネットワークサービス「iモード」の終了時期を2026年3月31日と発表した。

FOMAの契約数は年々減少しているものの、2019年度第2四半期(7〜9月)時点では約2066万1000件となっており、同社の携帯電話サービス契約数全体の約26%ほどの量を占めている

ドコモ マイグレーションの強化

新しい割引キャンペーンを行い、3Gから4Gへのマイグレーション(移行)を促進させる。

この数字には、携帯電話端末(ハンドセット)以外のモジュールの契約も含まれており、それらの数を除くと、FOMAのハンドセットの契約数は1415万4000件ほど。NTTドコモは2026年3月末までに、これらのユーザーを4Gの「ギガホ」「ギガライト」、さらにその先、2020年春開始を予定している5Gへと移行させなければならない。

そのため、60歳以上のユーザーの通話料金を割り引く「おしゃべり割60」や、フィーチャーフォンおよび3G(FOMA)端末からの乗り換えを促進する「はじめてスマホ購入サポート」も新たに発表。収入は上げつつも、各種キャンペーンで3Gユーザーの巻き取りも強化していく方針だ。

(文、撮影・小林優多郎)

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