歩き方、心拍数、お尻…顔認証以外にも研究が進む識別技術

Watrixの社員が、北京のオフィスで歩行認識ソフトウェアのデモを行っている。

Watrixの社員が、北京のオフィスで歩行認識ソフトウェアのデモを行っている。

AP

  • 顔認識は、企業や政府機関が追跡や監視に利用するケースが急増し、今年話題となったが、AIを利用した監視技術はこれだけではない。
  • 新しい技術の中には、心拍や歩行、さらには皮膚の細胞や汗によって残された微生物の痕跡を検出することによって、人間を認識し、人の位置を追跡することができるものもある。
  • 研究者たちが考案したアイディアは、電波を使って感情を検知する装置や、尻で検知するソフトを搭載した生体認証カーシートなど、広範囲にわたる。
  • これらの技術の中には、学術研究でしか利用されていないものもあるが、アメリカや中国などの軍事大国によってすでに利用されているものもある。

人々の動きを追跡しようとする企業や政府機関の試みは、技術の進歩によってますます容易になってきている。

顔の認識と分析は、監視ツールとして普及している。このテクノロジーは、今年の夏に世界中の空港で認証のためのツールとして導入され、また、犯罪容疑者を追跡するために警察で広く使用されている。

プライバシー擁護の活動家や議員たちは顔認識に反対している。この技術は、カリフォルニア州全域で法の執行を目的とした使用が禁止されており、マサチューセッツ州でも同様の法案が検討されている。一方、アーティストや研究者たちは、人間の顔を検出するアルゴリズムを妨害するよう設計された衣服の開発を始めている。

しかし、顔認識以外にも、人間を識別し追跡する方法が登場している。これらの方法も人工知能(AI)を利用しており、レーザーからWiFiネットワークまでさまざまな機器を使って人間の存在を検知する。

テクノロジーが利用するバイオメトリクスの範囲が広いため、規制は困難だ。一方で、新しい監視技術の一部は、アメリカや中国などの軍事大国ですでに採用されつつある。

ここでは、人間を検出してその位置を追跡できる新しい技術の概要を紹介する。

歩行認識は、歩幅を検出することによって人を識別するもので、このソフトウェアはすでに中国政府によって人々を監視するために使用されている

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AP

歩行認識は、歩幅や腕の角度などの歩行時の動きを分析する。中国の警察が試験運用しているソフトウェアを開発した中国の企業Watrix社は、その精度は94%だと主張している。

アメリカ国防総省は、スマートフォンの動きに基づいて歩行を識別する歩行認識技術の試験運用を開始した

アメリカ国防総省は、スマートフォンの動きに基づいて歩行を識別する歩行認識技術の試験運用を開始した

Timur Emek / Stringer / Getty Images

ワシントン・ポストによると、アメリカ国防総省は、歩行パターンに基づいてスマートフォンが歩行者を識別できるようにするソフトウェアをテストしているという。この技術は、政府機関の職員がスマートフォンを盗まれた場合、即座にスマートフォンの使用を停止させるのに利用できる。

研究者たちは、床に設置されたセンサーで歩行者を識別する、歩行者認識技術も開発している。

研究者たちは、床に設置されたセンサーで歩行者を識別する、歩行者認識技術も開発している。

Spencer Platt/Getty Images

マンチェスター大学の研究者たちが開発したソフトウェアは、床のセンサーが集めたデータだけで、カメラなどの視覚的な助けを借りずに、歩き方のリズムに基づいて特定の人物を識別できる。



アメリカ国防総省は、200メートル離れた場所から心拍数で人を識別できるレーザーを導入した

アメリカ国防総省は、200メートル離れた場所から心拍数で人を識別できるレーザーを導入した

Yiorgos Karahalis/Reuters

MITテクノロジー・レビューによると、Jetsonと呼ばれるこの装置は、レーザー振動計を用いて、人の心拍によって発生する体表の変化を検出するという。レーザーは衣服の上からも機能し、心拍数をデータベースと照合して個人を特定することができる。



研究者たちは、アマゾンのEchoやグーグルのNestのような家庭用WiFiデバイスをモーション・センサーに変える技術を開発した

研究者たちは、アマゾンのEchoやグーグルのNestのような家庭用WiFiデバイスをモーション・センサーに変える技術を開発した

Amazon

Et Tu Alexa?」と題された論文の中で、シカゴ大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者らは、ハッカーは家庭でWiFiデバイスを簡単に使用し、WiFi干渉に基づいて人が動き回っているのを検知できると書いている。この発見は、WiFiが特定の建造物内に物理的に人がいるかどうかを検知する監視ツールとして利用できることを意味する。しかし、この技術では、人間の違いや、人間と大型動物を区別することはできない。

マサチューセッツ工科大学の研究者は、WiFi信号を心拍検出や人工知能と組み合わせることで、人間の感情を遠隔から把握できる可能性を示唆している

マサチューセッツ工科大学の研究者は、WiFi信号を心拍検出や人工知能と組み合わせることで、人間の感情を遠隔から把握できる可能性を示唆している

Casezy Idea/Shutterstock

この技術はまだほとんど理論上のものだが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、ワイヤレスセンサーを使ってユーザーの動きや心拍数を計測し、それに応じて感情の状態を推測できる人工知能のコンセプトを開発した

人が排出する毎時3600万個の微生物細胞で追跡が可能になる

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Wikimedia Commons

Wiredによると、人間が排出する微生物(体内や体表に存在する細菌など)を手がかりに人を追跡できる可能性があるという。2015年の研究では、微生物細胞は特定の個人を80%の信頼度で同定できることがわかった。


科学者たちは、尻で認識可能な生体認識カーシートの試作品まで開発した

科学者たちは、尻で認識可能な生体認識カーシートの試作品まで開発した

Matthew DeBord/BI

Wiredによると、東京の産業技術総合研究所のエンジニアたちが開発したのは、ユーザーを尻と背中の形と体重で認識するシートだという。この技術は車の盗難を防ぐことを目的としているが、まだ市場には出ていない。これは人工知能が人物の特定に利用できるバイオメトリクス・データの範囲がとても幅広いことを示している。

[原文:Facial recognition is on the rise, but artificial intelligence is already being trained to recognize humans in new ways — including gait detection and heartbeat sensors

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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