「相手の貯金額を知らない」共働き夫婦、ケンカの原因トップはお金

夫婦

共働きだと、それぞれが自分の口座に振り込まれる給料。そのお金はどこまでが自分のもの?

撮影:今村拓馬

稼いだお金は夫婦のものか、自分のものか——?

専業主婦家庭ではお財布を一つにする「合算性」が75%と主流なのに対し、共働き夫婦では、自分のお金と家庭に入れるお金を別々にする「分担制」が5割以上を占めていることが、夫婦の家計管理アプリを提供するOsidori(オシドリ)による「夫婦の家計調査」で明らかになった。

調査では「ダブルインカム(共働き)夫婦は自分が働いて得た自分のお金は自由にしたいと考える傾向があるのでは」と指摘している。また、けんかの原因でもっとも多いのは専業・共働き共に「お金について」だった。

何組かの共働き夫婦に話を聞くと「相手の貯金額を知らない」「結婚前のお金は相手のもの」といった現代の夫婦のお金のリアルが見えてきた。

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子どもが寝た後の「酒税」を共同貯金へ

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配偶者の貯金額、あなたは知っていますか?

Taiyou Nomachi/GettyImages

「お互いの貯金額は知らないです。結婚前からのお金もありますし。私が出費の多い月は、ちゃんと貯金できてんの?と釘を刺されますが。ふふーん、とはぐらかしてます」

IT企業で働くマリエさん(33)はシステム制作会社で働く夫と、小学校1年生の娘の3人家族。3年前にローンで一軒家を購入し、都内で暮らしている。

夫がローンや光熱費など毎月固定費を払い、マリエさんが子どもの洋服や持ち物、食材、日用品など日々かかる費用を負担する「分担制」をとっている。

「貯金額を明かさないことに特に理由はないんです。会社員として働きながら業務委託で別の仕事も受けたりと、今はわりと生活に余裕があるので、目くじら立てる必要がないのかも」

共通の口座も特に作らず、個別に資産は管理している。

あえて「共通の口座」があるとすれば、「子どもが寝た後に私が晩酌、夫がおやつを食べたりするときに、1回500円で貯金箱に入れています。我が家で『酒税』と読んでいるのですが(笑)」(マリエさん)。

ここから家族旅行の費用を捻出するぐらいは、溜まっている。

面倒になると「じゃあもっと稼げよ」

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年収に比例して、家事や育児を分担する暗黙の了解は珍しくない。

撮影:今村拓馬

大手広告代理店に勤める夫(39)と中学生、小学校高学年の兄弟を育てるユリコさん(43)は、フリーランスのマーケッターとして働く。

ユリコさんの家庭でも、夫はローンや光熱費といった固定費を支払い、ユリコさんが家電や家のメンテナンスなどの大型の臨時出費、家族旅行、子どもの塾費用、食費や雑費を負担してきた「分担型」。貯金は各々で、

「夫は年収が高いのでそれなりに貯金があると思いますが、金額は知りません」(ユリコさん)

ただ、大企業とベンチャーを経て、ユリコさんが今年の春からフリーランスとして働き始めたことで、家計にもある変化が訪れた。結婚して15年近いが「初めて夫の月収を私の月収が上回りました。もちろん継続的に稼ぎ続けられるかは別なのですが」(ユリコさん)。

帰りの遅い夫はこれまで、全く家事育児をしてこなかった。

ユリコさんは「自分の収入が増えた分、家計の負担を増やす代わりに、夫にもっと家のことをやって欲しい」と考えている。しかし問題は、家計や家事の分担について話し合おうとすると口論になってしまうことだという。

「夫は面倒になると、だったらお前ももっと稼げよと、心無いことを言うので。私も言い返してしまうんです」

お小遣い制は過去のもの?増えつつある分担型夫婦

電卓

働いて得たお金は、やっぱり自分のもの?ある程度は自由にしたい。

GettyImages

夫婦のお金の管理・貯金アプリを提供するオシドリが、共働きと専業主婦家庭の双方を含む25〜39歳の夫婦817人に聞いたところ、家計の管理タイプでは、専業主婦世帯の75%が合算制を採用しているのに対し、共働き世帯では分担制(53%)と合算制(47%)は拮抗している。

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家計の管理タイプ

オシドリの調査を元にBusiness Insider Japan作成

1990年代半ばに、共働き世帯は専業主婦世帯を逆転し、2018年には全世帯数の3分の2が共働きに。日本の夫婦では、徐々に分担制が増えていると言えそうだ。

調査では、「ダブルインカムは自分が働いて得た自分のお金は自由にしたいと考える傾向があり、自由度の少ないお小遣い制は受け入れにくいのでは」と指摘。

共働き家庭における負担金額の決め方は、

  • 「収入割合に合うように」が4割超でもっとも多い
  • 「夫婦で半分ずつ」は18%で続いた

調査では「公平感」を重視する傾向を指摘している。

一方、専業主婦世帯では、

  • 「夫婦の収入割合とは関係なく、夫の負担額が多い」との回答が53%でもっとも多かった
  • 「収入割合に合うように」が4割近くで続いた

働き手が多く支払っている実態が伺われた。

お金の話、3人に1人は「できていない」

2019年に話題になった「老後資金2000万円必要」との金融庁の報告書に関しては、世帯年収1000万円を境に「不安」の様子が変わった。

世帯年収1000万円未満では86%もの人が「不安に感じる」と回答。一方、1000万円以上と世帯年収が高くなると「不安に感じる」人の割合は52%で、一気に低くなる。調査では「金銭的な余裕が不安感と相関していると考えられる」と指摘している。

しかし、夫婦でお金の話ができているか?との質問については専業主婦家庭、共働き家庭共に3人に1人が「あまりできていない」「できていない」と答えている。

夫婦という家庭の共同経営者

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共闘関係になってみると、お金についての話し合いは変わったという。

撮影:今村拓馬

ヨウスケさん(32)夫妻は今年、夫婦で会社を立ち上げた。「共同経営者」として仕事の面でもプライベートでもパートナーとなったため、毎月の収入や生活費も合算制のパターンだ。

会社の収益から報酬がそれぞれの口座に振り込まれる。それとは別に光熱費や住居費といったインフラ支出や生活にかかるお金を確保し、それは妻が一括管理している。

「共同経営者となったことで、どうやって世帯収入を増やしていくかを話し合う共闘関係になり、(家計をめぐる)関係はより良好になったと思います」

そう、ヨウスケさんは話す。会社同様に家計も「経営」と捉えることで、経済感覚が研ぎ澄まされたという。家計やお金についても前向きに話せているパターンと言えそうだ。

それでも、貯金は「お互い知らない」派だ。

「個別資産はそれぞれが管理していて貯蓄額はなんとなくしか知りません。うちは妻の方が社会人歴も長く、圧倒的に貯金は多い。それは妻の努力の賜物(たまもの)なので、自由に使ってもらいたいな、というのがありますね」(ヨウスケさん)

けんかの原因でもっとも多い「お金」

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撮影:今村拓馬

アンケート調査を実施したオシドリ共同創業者の中山知則さんは、「お互いの貯金や資産を知らない夫婦は多いです。相手に資産があると思っていたのに実はないことなどが不安という声もあり、Osidoriアプリでは共同貯金できる仕組みを入れています」という。

アプリのOsidoriは、日本で2400万人超の共働き夫婦をターゲットにした家計簿・貯金アプリ。夫婦で共有するページとは別に、自分のページをもつことができ、こちらはプライバシーが担保される。

ちなみに、オシドリの調査ではけんかの原因で最も多いのは、専業主婦世帯、共働き世帯共に「お金について」(共働き世帯45%、専業主婦世帯41%)だった。いずれの世帯でも「家事」「育児」がこれに続いている。

オシドリ「夫婦の家計調査」:2019年9月に25〜39歳の既婚または婚約済みの女性、817人に家計についてインターネット調査した。共働きと専業主婦世帯の割合はほぼ半分ずつ。

(文・滝川麻衣子、写真は全てイメージです)

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