ターミネーター:ニューフェイト
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- 「ターミネーター:ニューフェイト」のティム・ミラー監督は、映画製作の舞台裏について、ビジネス・インサイダーに打ち明けた。
- ミラー監督によると、R指定の映画として公開するかどうかは、編集段階まで決められなかったという。
- 同監督はまた、ある時点で、この映画をPG-13指定とR指定で同時に公開することについて話し合ったという。
- 彼とシリーズ生みの親であるジェームズ・キャメロンが同意しなかったタイムトラベル要素について触れた。
ティム・ミラーは自身の会社ブラースタジオ(Blur Studio)で2010年の「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」や2011年の「ドラゴン・タトゥーの女」などの視覚効果で成功を収め、2016年の「デッドプール」で初監督を務めた。
「デッドプール」は最近「ジョーカー」に破られるまで、R指定(17歳未満は保護者の同伴が必要)映画の興行収入記録を持っていた。続編の「デッドプール2」は方向性の違いを理由にメガホンを取らなかった。
「ターミネーター:ニューフェイト」(原題:Terminator: Dark Fate)はターミネーター・シリーズの正統な続編として作られた。物語はシリーズの3、4、5を無視して「ターミネーター2」(原題:Terminator 2: Judgement Day)の後から始まる。
今回は、絶望の新しい未来と新しいターミネーターが登場するが、リンダ・ハミルトンもサラ・コナーとして復帰し、このシリーズを作り出したジェームズ・キャメロンもプロデューサーとして戻ってきた。
ミラー監督は、Business Insider に対し、R指定とPG-13(13歳未満の鑑賞は保護者の管理が必要)の同時リリースを検討したことや、キャメロンとタイムトラベルの要素について議論したことなど、この映画の舞台裏について語ってくれた。
(以下はインタビューを抜粋、編集したもの)
BI: 何十年も続いている「ターミネーター」シリーズはいい評価を得ている。そのことはあなたに何か影響した?
ティム・ミラー(Tim Miller):いろんな評価があるが、私には励みになった。そして多くの人がシリーズ物に疲れていて、しかもシリーズ6作目なのに、物語的には第3作ということにうんざりしている人がいるのも知っている。
BI:あなたがこのプロジェクトに加わった時、T2の後から物語が始まることは決まっていた?
ミラー:私が参加したときにはジム(ジェームズ・キャメロン)が戻ってくるのかも決まっていなかった。多くの権利の問題があり、誰がどのような権利を持っているのか、混乱していて、まったくの白紙のようなものだった。(映画製作会社のスカイダンスのCEO)デヴィッド・エリソン(David Ellison)からシリーズの再構築を依頼され、私は、2つのことが非常に重要だと言った。ジムが戻ってきて、「T2」からストーリーを続けるということだ。
ティム・ミラー
Richard Shotwell/AP
BI: 撮影しているときはPG-13かR指定かが決まっていなかったのは本当?両方でリリースすることが議論されたという話もある。
ミラー:その通り。少し問題はあるが全体としてはいいことだ。その理由はPG-13とR指定の予算の違いだ。
BI:興行収入の予測も変わってくる。
ミラー:まったく。そのため、編集段階までR指定にすることを決めなかった。つまり、予算などPG-13として製作するすべてのメリットを得てからRに切り替えた。
BI:撮影中、基本的にR指定映画として作っていた?そうでない場合は、ポストで微調整するつもりだったのか。ミラー:別テイクを使うつもりだった。5つのテイクを撮ったら、4つには「F--k」などの禁止用語が入っていても、あとの1つには入っていないものだ。同時に両方リリースすることも話し合った。BI:最終的には、R指定にすると決まった。
ミラー:傲慢に聞こえるかもしれないが、間接的に少し責任があると感じている。 「デッドプール」がR指定で成功し、それで「LOGAN/ローガン」がR指定で作られることになり、PG-13のウルヴァリン映画よりも多くの収益を得た。 しかも元々「ターミネーター」のDNAはR指定であり、変更するとなるとファンは不満に思うだろう。
BI:傲慢だと思う必要はない。あなたが「私は『デッドプール』をR指定にしたけど、何か?」といえば済む話だ。
ミラー:どこかで使いたいセリフだね(笑)。実際にはR指定で予算を正当化するために、成功した2人の監督がいると説得した。1人は監督して、もう1人はR指定の人気シリーズを作ったといえば。
BI:タイムトラベルの要素が入ると難しくなる?
ミラー:基本的に混乱しやすい要素だから、下手をすると本当に混乱させてしまう。観客はタイムトラベルについての長い説明は聞きたくないだろうから、会話を多くした。
(L-R)「ターミネーター:ニューフェイト」のマッケンジー・デイビス(左)とナタリア・レイエス。
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BI:舞台裏のことを聞かせてほしい。タイムトラベルに関して議論はあった?
ミラー:シンプルにすることで、みんながうまくいっていると思っていた。ちなみに脚本段階ではリンダ(・ハミルトン)は戻ってくることに同意していなかったが、ジムが電話で説得したんだ。
ジムとの最大の議論は、いくつかの時点で、誰かが未来から来るのは初めてだということについてだった。ダニ(ターミネーターが狙っている人物、ナタリア・レイエスが演じている)の振る舞いは自然か?彼女に起こっていることはすべて初めてのことか?そして、それは本当に決定されたものなのか。グレース(マッケンジー・デイビスが演じる、ダニを守るために未来から来た兵士)が知っていることを追加しても、うまくいかないこともあった。これが初めてのことだったら、未来のダニはそのすべてを知らない。
BI:それは、タイムトラベルがとても面倒だということだ。
ミラー:しかし、我々はそれがとても重要だと考えた。例えば、なぜ彼らは「ターミネーター」と呼ぶのかと、いくつかのレビューで指摘されている。ダニはサラがターミネーターと呼ぶから、そう呼ぶ。グレースは彼らをターミネーターと呼ぶ。なぜならダニがそう呼んだから。このサイクルは理にかなっている。
BI:「デッドプール2」の経験とこの映画を作ることで映画製作者として成長した?
ミラー:それは答えるのが難しい。正直に言って「デッドプール」を作る前と違うとは感じない。あの時はとても幸運だった。私は視覚効果でキャリアを積んでいるが、実写撮影で私が気に入っているのは、スタッフとの関係を作り出す強烈な体験だ。多くの人々は、我々がセットでよい時間を過ごしているので、最高の映画になったと言っている。私は指揮命令系統の中で上に立つ人々といくつかの戦いをしたが、下の人は決して争っていない。これまでにないプロジェクトで最高の仕事ができた私は幸運な男だ。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)