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スマホの支払い忘れてた。支払い延滞で傷つく「あなたの信用」が引き起こすこと

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お金のリテラシー養成講座

撮影:今村拓馬

いまや生活インフラとしてすっかり定着した感のあるスマホ。ついつい使いすぎて利用料がかさんでしまうことに頭を悩ませている人も多いのでは? でもスマホの利用料支払いをめぐっては、意外に知られていない落とし穴も……。

今日からスタートする連載「元日銀マンが教える お金のリテラシー養成講座」では、元日銀マン・エコノミストの鈴木卓実さんが、身近な話題を入り口にして、意外に知らないお金の話や経済・金融の仕組みを解説。第1回のテーマは「スマホの支払い忘れ」です。

分割払いという名の“借金”

「銀行口座の残高不足に気づかなくて、支払いできなかった」「振込用紙が届いていたけど、ついつい面倒で支払うのを先延ばしにしてしまった」……。

あなたにもこんな経験があるかもしれません。スマホの支払いを催促するメールが来てはじめて、支払いを延滞していることに気づいた、ということもあるでしょう。

こんなとき、ついつい「通話・回線の利用停止になる前に払えばいいや」と考えてしまいがちですが、延滞の記録は残ります。特に、スマホを分割払いで購入した場合は、延滞しないよう注意が必要です。

分割払いとは「購入代金の後払い」。つまり、支払い切るまでは購入代金を携帯会社に立て替えてもらっているようなものなのです。分割払いで購入するというのは、返さなければいけない「借金」を背負うことと変わりありません。

分割払いで商品を売ることを割賦販売と言います。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの割賦販売を行っている会社や、銀行、クレジットカード会社、消費者ローン会社などは指定信用情報機関である株式会社シー・アイ・シー(CIC:Credit Information Center)を通じて、延滞履歴などの信用情報をやりとりしています。

延滞というのは“借金”の支払いが遅れた状態なので、延滞を繰り返す人や延滞期間が長い人は、「信用できない人」ということになってしまうのです。

とはいえ、「無理をしてスマホを一括払いで買ったせいで、その月は食費を削らなければならなくなった」というのはつらい話です。分割払いを利用することで、使えるお金を均すことができるのですから、メリットもある“借金”であることは事実です。

「延滞」の裏ではこんなことが起きている

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あなたが支払いを済ませていない代金は、誰かが立て替えていることを忘れてはいけない。(写真はイメージです)

撮影:今村拓馬

では、スマホの支払いに延滞が多かったり、延滞期間が長かったりした場合はどんなことが起こるのでしょうか?

まず、次回の機種変更の際に、スマホの分割払いが認められなくなるかもしれません。これは同じ携帯電話会社の場合だけでなく、例えば、NTTドコモからKDDIに切り替えた場合にも起こり得ます。NTTドコモでの延滞情報がCICに登録されているので、分割払いの申し込みがあると、別会社のKDDIでもCICに信用情報を照会して、延滞履歴などの情報を確認できるからです。

スマホを分割払いで購入する場合の流れ

(出所)CICホームページの図を元に編集部作成。

以前、携帯電話会社の方に「審査に落ちて、店舗の窓口で逆ギレする人がいるんです」という話を伺ったことがあります。こちらは客なんだ、わざわざ時間をつくって店に足を運んだのにという思いがあるのでしょうし、恥をかかされたという気持ちもあるのかもしれません。しかし、信用できない人とは取引しないというのは商売の鉄則。これもやむを得ません。

携帯電話会社の方からは、何回延滞したらアウトなのかといった審査の基準まではさすがに教えてはもらえませんでした。CICにはいわゆるブラックリストはなく、客観的な情報だけが登録されていて、その情報を基に各社が総合的に判断しているそうです。

延滞の回数だけではなく、延滞期間にも注意が必要です。もしもあなたがなかなか支払いを行わない場合、CICの異動情報には「約定返済日より61日以上または3カ月以上支払が延滞している」といったように記録されます。「異動情報」とは聞き慣れない言葉ですよね。これは要するに、正常な債権から不良債権に異動した、というような意味です。

不良債権が発生すると、会社は引当金を積むなどコストがかかりますし、不良債権を発生させた人となると、一気に信用がなくなります。長期の海外出張など、万が一の「うっかり」にすぐ対応できないような状況は特に要注意。支払いが滞らないよう気をつけたいものです。

1つの「うっかり」が招くドミノ連鎖

クレジットカード

スマホから始まった小さなほころびが、やがて思わぬ結果を生むことも…。

Shutterstock

スマホの延滞で信用に傷がつくと、スマホの分割払いだけではなく、クレジットカードや自動車ローンなどの審査にも影響が生じる可能性があります。

クレジットカードで買い物した額が銀行口座から引き落とされるまでは、カード会社が立て替えていることになります。カード会社としては、「借金」を踏み倒さないだけでなく、延滞せずに返してくれる人としか取引したくありません(そもそも、延滞は踏み倒しの前兆です)。

自動車を一括払いで購入できる人は少なく、たいていは分割払いでしょう。自動車ローンが組めないと、車を買うのは難しくなります。

ここまではCICを中心に、支払いを延滞した場合にどんなことが起きうるかを見てきましたが、CICのような情報機関は他にもあり、お互いに信用情報をやりとりしています。

一例を挙げると、株式会社日本信用情報機構(JICC)は貸金業者系の信用情報機関。全国銀行個人信用情報センターは一般社団法人全国銀行協会が運営していて、日本銀行や政策投資銀行などの例外を除けば、文字通り、全国の銀行が協会に加盟しています。

信用情報の交流イメージ

(出所)CICホームページの図を元に編集部作成。

自分の延滞履歴などを知りたい方は、CICに問い合わせることができます。手数料がかかりますが、店舗窓口や郵送での開示だけではなく、インターネットでの開示にも対応しています。CICのホームページには、信用情報の解説や加盟企業など詳しい情報があり、どこかで支払いを延滞してしまうと、影響範囲は想像以上に広くなる可能性があることがわかります。

キャリアチェンジで足元をすくわれないために

近年は、現金決済よりもクレジットカードや交通系ICカード、QRコード決済を使う機会が増えています。こうした決済は便利なのですが、つい口座残高を気にせずに使ってしまう方もいるかもしれません。普段は大丈夫でも、「転職で給与の振り込み口座が変わったのに、引き落とし口座をそのままにしていたために、あっという間に残高が減ってしまった」ということもあるでしょう。

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ますます便利になるキャッシュレス決済。だが引き落とし口座の残高不足にはくれぐれも気をつけたい。

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公共料金の支払いも、クレジットカード払いや口座振替の延滞があれば、信用情報機関に登録されます。カード会社や銀行といった金融機関を介さず、振込用紙での支払いにしていれば、延滞しても信用情報機関に登録されることはありません。

とはいえ、振込用紙での支払いはつい忘れがちです。電気の場合、会社により多少の違いはありますが、支払期限日から1カ月経たずに電気を止められることがあるようです(電気を止められる前に送電停止のお知らせが来ます)。思いのほか早く止まるので、延滞を軽く考えない方がいいでしょう。

先の読みにくい時代、キャリアチェンジのタイミングも思わぬところでやってきます。ローンを組んで資格の勉強をしようとしたのに肝心のローン審査に落ちたり、独立開業を機に事業用の設備をリースで調達しようとしたら断られたりと、思わぬ余波を受けるおそれも……。

「スマホの支払いを忘れたせいで身動きがとれなくなった」なんてことにならないように、支払いにはくれぐれも注意して、金融面である程度の自由度を確保しておきたいものです。

※本連載の第2回は、12月16日(月)の更新を予定しています。

(デザイン・星野美緒、編集・常盤亜由子)


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