ユニクロ・H&M・ZARAも参入「エコファッション」は大手ブランド最後の生きる道か

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ファッション業界が業績不振に苦しむ中、大手ファストファッションブランドは「エコ」「サステナブル(持続可能性)」といったキーワードに、その活路を見出している。なぜ?

フォーエバー21「撤退」の衝撃

10月31日、アメリカのファストファッション大手「FOREVER21(フォーエバー21)」が日本から完全に撤退した。アメリカ本国では9月29日、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請し、同社の苦境が明らかになった

最終日(10月31日)に実施された全品50円セールや、脱ぎ捨てられた服がぐちゃぐちゃに散らばる様子はSNSでも拡散され、日本に「ファストファッション時代の終えん」を印象付けた。

実際、この数年の間ファストファッションブランドの売り上げは、日本においても伸び悩んでいる。

日本におけるECアパレル・フットウェア市場規模(税抜き小売額ベース)、単位は10億円。

日本におけるECアパレル・フットウェア市場規模(税抜き小売額ベース)、単位は10億円。

出典:ユーロモニターインターナショナル

イギリスの調査会社、ユーロモニターインターナショナルが発表したデータによれば、大手ファストファッションブランド(GU・ZARA・H&M・フォーエバー21)の売り上げは、ここ数年横ばいが続いている。唯一、毎年6〜7%の成長率を維持しているのはユニクロのみだ。

#Metoo運動がきっかけ

グレタ・トゥンベリさん

16歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんが呼びかけたデモは10代を中心に世界中に広まった。

Drew Angerer / Getty Images

ジリジリと撤退戦を迫られているファストファッションブランドたち。その中で彼らが生き残りの道を見出しているのが「エコ/サステナブル(持続可能性)」のトレンドだ。

大量消費(ファストファッション)から、持続可能な消費(サステナブルファッション)へ」を意味するこのトレンドは特にこの1〜2年、欧米を中心に顕在化している。

ニューヨーク・タイムズ誌によれば「サステナブル」が高級ファッション業界で注目され始めたのは2009年頃。その後、大手ブランドに浸透しだしたのは、2018年に起きた#Metoo運動からだったという。

#Metoo運動を通じて、モデルの体型や労働環境にも注意を払うことが求められるようになった。このため、ファッション業界におけるエシカル(倫理性)の重要性が一気に高まった。

さらに2019年、10代を中心に広まった気候変動への対策を訴えるデモが拍車をかけた。スウェーデン人の環境活動家、グレタ・トゥンべリさんの呼びかけをきっかけとして広まったこのデモは、世界的なムーブメントとなり、「気候変動」は2019年の主要テーマのひとつとなった

H&Mは4680億円の売れ残り発表

H&M

他社に先駆けて環境への取り組みを強化してきたH&M。

Bryan Bedder / Getty Images

大手ファストファッションブランドとしていち早くエコへ取り組んできたのがH&Mだ。同社は2011年から環境に配慮したエコな素材で作られる「コンシャスコレクション」を発売。

2018年に発表した決算レポートで、H&Mは43億ドル(約4680億円)の売れ残り在庫が出ていると発表し、ファストファッション業界における売れ残り問題の議論を呼び起こした。

同じくファストファッション大手のZARA(ザラ)は2019年7月、すべての製品を2025年までにサステナブルな素材で製造するという目標を発表した。

印象的なのは、ZARAを運営するインディテックス(INDITEX)社のパブロ・イスラ(Pablo Isla)会長兼CEO自らが会見で「(ZARAは)いわゆるファストファッションの対極にある」存在だと強調したことだ。

「私たちは自社でパターンを起こし、自社工場を持っています。さらに原材料をローカルで調達し、ローカルな生産を行うことで(売れ残りの)在庫を減らしています。そして店での値引きはしません。別のモデルで戦っている(からファストファッションの定義には当てはまらない)」

大手としてブームを牽引してきたZARAの、ファストファッションからの“決別”宣言。それは、方向転換に失敗して転落の道をたどったフォーエバー21と同じ轍は踏まない、という決意表明のようにも取れる。

三陽商会はスペイン発ブランドと提携

ユニクロ

ユニクロは2020年までに店頭での使い捨てプラスチック包装を85%削減すると発表している。

Tomohiro Ohsumi / Getty Images

ファストファッションが苦戦を強いられている日本のファッション界にも「エコ/サステナブル」の波は少しずつやって来ている。その先頭を走るのは、業績好調のユニクロだ。

ユニクロはすでに2020年までに店頭での使い捨てプラスチック包装を85%削減すると発表しており、さらに商品においても、リサイクル・ダウンと、リサイクル・ポリエステルを活用した商品を2020年から発売するとしている。

10月の決算会見で、ファーストリテイリングの柳井正会長は「サステナブルであることは全てに優先する」と発言、改めてブランドにおけるサステナビリティの重要性を強調した。

ポール・スチュアートなどの海外高級ブランドの日本展開を手がける三陽商会は10月、スペインで2009年に創業したブランド「ECOALF(エコアルフ)」と提携した。

エコアルフのコンセプトは、再生素材・環境負荷の低い天然素材のみで作られた「100%サステナブル」 なブランドであること。 素材にはプラスチックボトルやフィッシングネットなど、海洋汚染の原因となっているごみも含まれている。売り上げは2016年から毎年倍倍で増えているといい、2019年12月期の売上高は2000万ユーロ(約25億円)を予想している。

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出典:エコアルフ

海外ブランドの日本展開でよくあるライセンス契約ではなく、新たに共同出資の形で株式会社を設立し、積極的にプロモーションを打っていくという。

「ZARA、ユニクロ、パタゴニアなど(サステナビリティに)力を入れなければならない、というブランドは多くあるが、エコアルフほど徹底しているところはない」と三陽商会の慎正宗執行役員は自信を見せる。すでに東京・渋谷に実店舗のオープンも決まっており、2020年度には20店舗を出店する見込みだという。

成長か持続可能性か……揺れるファッション界

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ファッション業界が生む温室効果ガス排出量は全世界の排出量の8%を超えているとのデータもある。気候変動に対する関心がこれまで以上に高まる中、ファッション業界が「サステナブル」にそのトレンドの軸足を移すのはある意味で“当然の帰結”なのかもしれない。

その一方で、ファストファッション業界の構造そのものは依然として、薄利多売を前提としたビジネスモデル。生産量を減らすための受注生産型のビジネス・修理を前提とした持続可能な考え方とは根本的に異なる点にも触れておく必要がある。

国連によって定められた、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するためには、“ファストファッション”そのものの大きな価値転換 ── 運営、調達、製造、流通といったすべての工程を含めた ── が必要であることは間違いなさそうだ。

(文・西山里緒)

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