職場みやげに一番お金を使うのは30代、使わないのは50代!?
撮影:西山里緒
休み明けや出張明け、いつも悩まされる「職場みやげ」……。その常識にも実は、世代格差があるのを知っていますか?
「それプラザで売ってたわ」
数時間悩んだものの上司にディスられた悲劇のおみやげ「ハニーバターアーモンド」。
出典:Amazon
2019年9月末。遅めの夏休みをもらって韓国にきていた20代の筆者はひとり、おみやげコーナーの前で悩んでいた。
職場おみやげ、どうしよう?
韓国海苔やトッポギスナックといった、韓国の伝統的なおみやげでは、手をつけられない恐れがあるし、逆に韓国なのにチョコレートというのも「センスがない」と言われそうではばかられる。
悩んだ末につかんだのは「ハニーバターアーモンド」のパックだ。メインのショッピングストリートでおいしそうに並んでいたからという理由もあるが、そこそこおしゃれで異国っぽく、食べづらそうでもない。数時間考えた末の渾身のチョイスだった。
自信満々で帰国し、出社した私に、上司が無邪気に放った一言がこれだ。
「あーそれ、先週プラザで売ってたの見たよー。うちの奥さんが買ってた」
別の40代の先輩は見た瞬間「え、小分けの袋に入ってないの?」と眉をひそめた。悩みに悩んだあの時間はなんだったのか ── 。あっけに取られた筆者は、その場でハニーバターアーモンドを“爆食い”した。
50代はみやげにケチだった!
「職場お土産にかける金額」の年代別データ。
出典:大和ネクスト銀行
そもそも、職場みやげに関しては、部下世代(20代〜30代)は上の世代と比べて不利な立場に立たされているというデータもある。
大和ネクスト銀行が2019年9月にビジネスパーソン722人を対象に実施した調査では、職場のおみやげに使う平均額で、最も低かったのは50代(1945円)、逆に最も高いのは30代 (3140円) との調査も出ている。20代をみても2594円と、30代に次いで多い数字だ。
都内の大手出版社で働く30代のハルカさんはこんな話をしてくれた。ハルカさんの社内では、30代が中心の業務委託に対し、50代の正社員におみやげを“献上”することが常態化していたというのだ。
正社員と業務委託には、見えない“格差”が存在する。ハルカさんの出版社の場合、正社員は年収が1000万円を超えていることがほとんど。ハルカさんを含めた業務委託は、同じ机で仕事をしているにも関わらず、給料は正社員の半分程度だ。
理不尽に感じたハルカさんは、50代の正社員上司に、なぜ部下ばかりがみやげを買わなければならないのか理由を聞いてみたところ、上司はさらりとこう言ってのけたという。
「だって、私が買ってくるとプレッシャーになっちゃうでしょ?」
「なぜ給料の低い私たちが上司に忖度して、おみやげを買わないといけないの?これじゃまるで『年貢』だよ」。ハルカさんはそうボヤく。
変わりゆくみやげマナー
「赤福」は職場みやげとしてアリ?ナシ?
撮影:西山里緒
前出の大和ネクスト銀行が発表したアンケートによると、「職場にはみやげを買わない」とする人も24%と多い。実際、職場みやげの考え方も、世代によって変わってきているようだ。
筆者の職場の複数の40代に聞くと、かつての日本企業においては、休みをもらうことは「職場に迷惑をかける」こととされていたという。
休み明けのおみやげは「休みの間、代わりに仕事をしてもらって申し訳ない」という意思表示の意味もあったという。
2019年は働き方改革法の成立に伴い、社員による年5日間の有給休暇の取得が企業に義務化され、働き方の見直しや“休み方改革”が叫ばれる昨今。職場みやげにも「忖度(そんたく)」や「申し訳なさの現れ」ではない、新しい意味づけが必要ではないだろうか。
個人的にまずは「個包装原理主義者」の先輩に以下の言葉をぶつけることから、意識改革を図っていきたい。
「サステナビリティって知らないんですか? ムダな個包装は環境に悪いんです。個包装を気にしている人なんて、私の周りにはいないですよ」
(文・西山里緒)