アメリカの長者番付「フォーブス400」2019年版(右)は、最初に発表された1982年版(左)から大きく変わっている。
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- フォーブスは37年にわたり、アメリカで最も裕福な400人の年間ランキングを発表してきた。
- Business Insiderは、1982年に発表された最初のフォーブス400ランキングのコピーの一部を入手した。2019年版と比べると、資産の調査と評価、比較の方法には決定的な違いがある。
- 1982年版では、最も裕福なアメリカ人の保有資産額は「おそらく10億ドル(約1100億円)を超える」や「20億ドル(約2200億円)以上」といった、あいまいな言葉で表現されている。
- 今日では金額がより正確 —— 例えば、ジェフ・ベゾスは1140億ドル(約12兆4500億円)、ビル・ゲイツは1060億ドル(約11兆5800億円)だ。
- 1982年のランキングでは順位が付けられておらず、「5億ドル(約550億円)以上」といったカテゴリーで分けられていた。一方、現在では、1位(ベゾス)、2位(ゲイツ)……と明確にランク付けされている。
- 1982年版とは異なり、2019年のビリオネアたちは、チャリティーへの寄付額に基づく、社会貢献度でもランク付けされている。
フォーブスは37年にわたり、アメリカで最も裕福な400人の年間ランキングを発表してきた。
現在、フォーブス400の上位に君臨するのは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、ビル・ゲイツ(Bill Gates)、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)といった面々で、保有資産の総額は数千億ドルになる。
Business Insiderは、1982年に発表された最初のフォーブス400ランキングの一部を入手した。2019年版と比べると、資産の調査と評価、比較の方法などに決定的な違いがいくつかある。
最も歴然とした違いは、純資産の金額だ。現在アメリカで最も裕福な上位5人、ベゾス、ゲイツ、バフェット、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)、そしてラリー・エリソン(Larry Ellison)の保有資産の総額は4354億ドル(約47兆5700億円) で、これはアメリカのGDPの2%にも上る。対して、1982年のアメリカで最も裕福な上位5人の保有資産の総額は、約110億ドル(約1兆2000億円)だった。だが、これだけにとどまらない。
2019年版は正確なランキング、社会貢献度も含む
2019年版では、ビリオネアたちは純資産によって順位付けされている。また、年齢、生まれた州、収入源、そして影響力のある投資家であるかどうかという項目もある。5段階で評価される社会貢献度は、慈善活動への寄付の額に基づいている。
最も裕福なのはジェフ・ベゾスで、推定純資産は1140億ドル、社会貢献度は2。
2019年版フォーブス400のトップは、世界で最も裕福な人物、ジェフ・ベゾス。
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オンライン版で名前をクリックしてみると、ドロップダウン・ボックスが現れ、その人物のトピックスが表示される。ベゾスの場合、2点ある。
- 「1994年、シアトルのガレージから、eコマース大手のアマゾン(Amazon)を創業。現在もCEOを務め、株式の12%近くを保有している」
- 「25年連れ添った妻、マッケンジー(MacKenzie)と2019年7月に離婚、自身が保有するアマゾン株の4分の1を譲渡した」
「プロフィールをすべて見る」をクリックすると、より詳しい情報を確認することができる。
初年の1982年はあいまいなランキング、資産は比較的少なめ
1982年発表の最初のフォーブス400は、現在の物とはまったく違う。
例えば、1982年のフォーブス400で最も裕福だった人物は、現在ではランクインさえできない。1982年に最も裕福だったアメリカ人は、ダニエル・キース・ラドウィック(Daniel Keith Ludwig)で、推定純資産は20億ドル(約2200億円)。だが2019年版では、ランク入りには最低でも21億ドル(約2300億円)が必要だ。
現在でいうところの「詳細」欄のように、各人とも短い紹介文、年齢、所在地、収入源に加え、「50年前の背中の傷が今でも痛む」や「趣味:セーリング」というようなおまけの情報があることも。
最初のフォーブス400は1982年に発表され、最も裕福な人物の保有資産は20億ドルだった。
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だが現在と大きく異なるのは、1982年に載っている人物の資産は「おそらく10億ドルを超える」や「20億ドル以上」など、あいまいだったこと。2019年、金額はより正確になった。例えば、ベゾスの保有資産は1140億ドル、ゲイツは1060億ドルというように。とはいえ、これらもまだ推定ではある。また、2019年版では順位が付けられているのに対し、1982年の富豪たちには順位が付けられていなかった。
「純資産順になってはいたのだが、単に順位を明記していなかっただけ」とフォーブスの広報責任者、クリスティーナ・ベガ(Christina Vega)はBusiness Insideに語った。
「そしてさらに、『10億ドル以上』『5億ドル以上』といったセクションに分けられていた」
ベガはBusiness Insideに対し、年を重ねるに連れて方法論は進化し、改善されてきてはいるものの、「純資産額はいまだに、すべて推定」と語った。
フォーブス400ランキングは1982年以来進化を続けているが、当時からの常連が2人いる。フィリップ・アンシュッツ(Philip Anschutz)とウィリアム・ハーバート・ハント(William Herbert Hunt)だ。
1982年、アンシュッツはアメリカで7番目に裕福な人物で、推定純資産は「10億ドル以上」、収入源は石油、鉄道、通信、不動産、エンターテインメントなどの産業(2019年は資産115億ドルで41位)。ハントは10番目で、純資産は「10億ドルを超える」、収入源は石油産業だ(2019年は資産26億ドルで333位)。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)