ボルボが「自動車サブスク」に先手。「月額7万円で乗る」クルマは消費を変えるか?

ボルボの木村社長

ボルボ・カー・ジャパン社長の木村隆之氏。SMAVOはもちろん、カーシェアでの利用なども含めて、ボルボファンの拡大を狙う。

撮影:三ツ村崇志

自動車離れが叫ばれるなか、「クルマのサブスク」は消費者心理をどう変えていくだろうか?

11月5日、ボルボ・カー・ジャパンは新型セダンS60の発表会を開催。同時にS60の購入プランとして、ボルボ車のサブスクリプションサービス「SMAVO」の新販売プラン「SMAVO2/3(にいさん)」と「 SMAVO3/5(さんごう)」を発表した。

新型サブスクリプションプラン

ボルボのサブスクリプションサービスSMAVO(スマボ)の新プラン。スマボは「“スマ”ートに“ボ”ルボに乗れる」をコンセプトにしたリースプランの総称。

提供:ボルボ・カー・ジャパン

ボルボ・カー・ジャパンは、2017年1月からメーカーとしてはいち早くサブスクリプションサービス「SMAVO」をスタート。これまでに累計約4000件の契約があり、2019年1月ー9月実績では販売の約12%に達した。

販売実績

SMAVO、ブリッジSMAVO(最長1年契約の短いサブスクリプションサービス)を合わせて、2019年1月-9月の実績では約12%に達している。

撮影:三ツ村崇志

支払う料金は本当に「月額料金」だけなの?

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SMAVOでは、月額料金の中に自動車税、自動車取得税、自動車重量税といった各種税金はもちろん、自動車損害賠償責任保険料などが含まれる。この点は一般的なリース契約と同じだが、契約終了後に返却する中古車の価格保証(残価保証)されている点が特徴だ。

リース契約や残価設定型ローンと呼ばれる契約形態で車を購入した場合、契約時に見積もられた契約終了時の車の価値(残価)契約終了時に査定された車の価値(残価)が比較され、その差額分を追加で支払わなければならない場合がある。

SMAVOの場合、極端な破損や走行距離の超過がなければ残価が保証されるため、契約終了時に追加料金を支払う、いわゆる「残価リスク」の心配は少ない。

また、頭金の支払いや、ボーナス払いを設定する必要もなく(別途相談可能)、基本的にSMAVOの月額料金以上の料金は発生しない仕組みだ。

SMAVO新プランの残価設定

「SMAVO2/3」では残価保証は50%。「SMAVO3/5」では残価保証は30%。残価補償の割合を大幅に向上させた。木村社長は「こういったサブスクリプションサービスができるのは、新車・中古車市場が安定しているおかげです」と話す。

撮影:三ツ村崇志

今回、新たに2つのSMAVOプランを発表した。SMAVOの新プランは、まずは新型セダンS60に適用される。

月額費用は車種によってことなり、新型セダンS60 T4 Momentum(本体価格489万円)の場合、「SMAVO3/5」だと月額6万7100円(税別)。「SMAVO2/3」だと月額8万1800円(税別)だ。契約期間が長いほど月額料金は低く抑えられる。

それぞれ、以下のような特徴がある。

・「SMAVO2/3」

契約期間が3年。2年目以降に20万円の乗換精算金を支払うことで新車への乗り換えが可能。契約満了に伴う乗り換えでは乗換精算金はかからない。

・「SMAVO3/5」

契約期間が5年。3年目以降に使用者の好きなタイミングで新車への乗り換えが可能。車検のタイミングである3年目に乗り換える場合は「乗換精算金」が必要だが、車検後に乗り換える際には乗換精算金はかからない。乗換精算金は3年目にかかる車検料と同程度の20万円。

日本では新車購入から3年目の車検時に、車検を通すか、新車を買うかという選択に迫られる。

SMAVO3/5の場合、3年目に車検を通さずに新車に乗り換えても、車検を通した後の契約期間、急に発売された新車に乗り換えても、支払う金額は車検にかかる金額(乗換精算金)と同じ程度だ。つまりSMAVOの新プランは、日本の車検システムに最適化した、新車乗り換えを促す仕組みともいえる。

プロテクションサービス

SMAVOの新プランでは、タイヤやホイールといった各種備品の軽微な故障に対する修理メンテナンス料金、交通傷害保険、ドライビングレコーダーなども月額料金に含まれるようになった。

撮影:三ツ村崇志

狙うはボルボファンのサブスク移行。ユーザーファーストのプラン変更

ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長は新サブスクリプションサービスの狙いについて、次のように話す。

「今年になって、日本最大手が自動車のサブスクリプションサービスで大きく動きました。昔から自動車のサブスクリプションに取り組んできた企業として、改めてサービスを牽引していきたいというのが、新プランを発表した狙いの一つです。」

今回の新プランでは、過去約3年にわたるSMAVO利用者の傾向分析をもとに、顧客ニーズに最適化した変更がなされた。

木村氏によると、SMAVOの利用者はボルボのコアファン。2〜3年で刷新されるボルボ車の「最新鋭の安全性能」を求めて新車への乗り換えを希望する割合が非常に多かったという。実際、近年の自動車ユーザーの安全性に対する意識は非常に高まっている。

安全性への意識の高まり

木村氏は、近年の安全性に対する意識の高まりによって、国産車のユーザーが輸入ブランドであるボルボの購入を積極的に検討する状況に変わりつつあると認識しているという。

撮影:三ツ村崇志

「2年後、3年後も最新の安全なボルボに乗り換えたいというニーズが従来のSMAVOの契約車の中では一番多かったですから、まずはそのニーズにより応える。そうして契約を増やして行きたいと思っています。」(木村氏)

サブスクでボルボファンの拡大を狙う、ボルボの戦略

ボルボのS60

11月5日に発表されたS60 Polestar Engineered。

撮影:三ツ村崇志

SMAVOが始まってもうすぐ3年。SMAVOが開始直後の頃に契約したユーザーが乗り換え始める時期だ。返却された車体は、ボルボの中古車市場へと投下される。

木村社長はSMAVOサービスを含めたボルボの戦略について次のように話す。

「サブスクの契約が終了して戻ってきた車も含めて、ボルボの日本のオーナー数を増やしたいと思っています。2年、3年落ちのボルボの認定中古車には根強い人気があります。

実は、日本車から初めて輸入車を買う際には、中古車をご購入される方が多いんです。そして、一度日本車から輸入車に乗り換えると、ほとんど日本車に戻る方はいません。こういった入口をきちんと整備しておくことは非常に大事なことです。」

また、このサイクルがうまく回り始めると、車を販売するディーラー側の意識改革も進みそうだ。木村社長は「最初のSMAVOから3年経過して、優良な中古車が実際に中古車市場に返ってきはじめます。ディーラーがこの売り方の良さを認識できる時期にさしかかってきます」と今後の展開について期待を語る。

従来のボルボファンには、サブスクへの転換を勧めて最新の安全技術を搭載した新型ボルボを2年、3年という短いサイクルで次々と乗り替えてもらう。そして、その都度中古車市場に投下される優良な中古車でボルボファンの拡充を狙う。

また、木村社長はボルボの中古車を使ったサブスクリプションサービス「SELEKT SMAVO」のサービスの充実を今後の目標としてあげていた。より手を出しやすい価格でサブスクリプションサービスを提供することができれば、若者層はもちろん、新たなボルボファンの獲得につながるだろう。

実物のある製品を売っているからこそ、「使用後」の使われ方をうまく設計することで、全体の収益性や新規顧客を確保するという取り組みだ。

(文・写真、三ツ村崇志)

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