【独占】Sansan創業者・寺田親弘に聞く「ウイングアーク社49億円出資」の理由

Sansan創業者・寺田親弘社長

Sansan創業者の寺田親弘社長。過去最高の50億円の出資額で資本業務提携した理由と、今後のM&A方針についてもこたえた。

撮影:伊藤有

Sansanが11月1日、ウイングアーク1stに約49億円を出資し、資本業務提携すると公表した。狙いについて、Sansan創業者の寺田親弘社長が、Business Insdier Japanの独占インタビューに答えた。

Sansanはこれまでも、Webアンケートツール「クリエイティブサーベイ」(社名は同名、東京港区)といった企業に出資してきているが、49億9800万円という出資額はズバ抜けて大きい。もちろん、過去最高の出資額だ。

「ウイングアーク1stは、日本の独立系ソフトウェア会社では非常に強い(ビジネス基盤を持っている)会社。売上高約172億円でうち(Sansan)より全然大きい。以前からすごく良い会社だという認識があった」(寺田氏)

広い意味では同じソフトウェアの会社の経営者としての視点から、ウイングアーク1stに着目していたと語る。

ウイングアーク1stが展開する代表的な「帳票」と「データ分析」ビジネスのなかで、寺田氏はデータ分析事業との相乗効果を見込んで出資を決めた。

「(ウイングアーク1stのデータ分析事業は)データ分析をするMotionBoard、それらのデータをためるDr.Sumなど、日本の国産ソフトのなかでは一番使われているデータ分析ツールだという認識。

似たようなサービスは作れそうに見えるかもしれませんが、データのハンドリングは一朝一夕にいかないことは(Sansanの事業を通して)痛いほど知ってます。受け入れられている商品にはそれなりの理由がある、と」(寺田氏)

Sansanにとってデータをいかに価値あるものとしてユーザー企業に提供できるかはビジネスのキーだ、というのは、これまで折に触れて発信してきた寺田氏の理念だ。

「データ連携という意味では、すでに帝国データバンクさんとも提携していますし、直近だとリフィニティブ社と“反社チェック”機能の連携もしました。

経営に資する情報をいかに見せていくかというのは、(Sansanのビジネスにとって)非常に大きな点」(寺田氏)

Sansan

ウイングアーク1st社との資本業務提携を伝えるSansanのプレスリリース。

出典:Sansan

Sansanもエンジニア、データサイエンティストを多数抱える会社ではあるものの、MotionBoardと同水準のサービスを開発するとなれば「開発できないとは言いませんが、年単位の時間がかかる」(寺田氏)。その時間を短縮し、ライセンス契約といった一般的な形より踏み込んでSansanの一機能のように取り入れるための“49億円出資”、という位置付けだ。

すでに公表されているとおり、寺田氏はウイングアーク1stの次の株主総会で社外取締役候補として付議される予定。そのまま社外取締役就任する可能性が高い。

ビジネスモデルとしてまだまだ“売り切り”型の比率が高いウイングアーク1stにとっては、Sansanの持つSaaSビジネスの知見を得ることで、「(今後社外取に選任されたなら)事業をクラウド化していく観点で、我々の知見を使っていってもらうこともできる。ガッツリと(入り込んで)やっていきたい」(寺田氏)と、前向きだ。

「今後も出資・買収は積極的に取り組む」

Sansanの社内ロゴ

撮影:伊藤有

インタビューの中で寺田氏は、「Sansanにとって今回の出資は非常にシンボリックなものだ」とも語った。

事業の成長を進めていく中で、外部への出資による資本業務提携や、事業買収(M&A)に取り組む機会も増えていく。率直にどの程度の積極さをもって進めるのか、という質問には、ストレートに回答した。

「非常に積極的に考えています。ただし、我々は“投資”を目的にしていない。だから検討の数がそこまで多いわけではないし、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を始めるわけでもありません」(寺田氏)

重視するのは「サービスが唯一無二であること」。そして、その提携や買収が、Sansanの世界観を広げることにつながるかどうかが原則だという考えを寺田氏は持っている。

「こうしたことは、Sansanのプラットフォーム構想というなかですべて考えています。反社チェックのリフィニティブも、ウイングアーク1stも、Sansanのエコシステムをよりリッチにしていけるか。

(サービスが持つ)“質感”を保てるかが大事なんです。ただのごった煮になっては、いけない」(寺田氏)

(文、写真・伊藤有)

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