ジェームズ・ディーンが新作映画に出演…近年の映像に見る視覚効果の進歩

ジェームズ・ディーン

ジェームズ・ディーン

John Kobal Foundation/Hulton Archive/Getty Images

  • 1955年に亡くなっているジェームズ・ディーン(James Dean)が、新作映画にキャスティングされている。
  • これはハリウッド映画における視覚効果の進化の最新章であり、業界で最も象徴的な人物であるジェームズ・ディーンが第二幕を迎えようとしている。
  • 『Finding Jack(邦題未定)』の監督は、ハリウッド・リポーター誌に対し、過去の映像や写真を使い、ディーンの全身CGを作ると語った。
  • 製作会社は遺族の許可を得ているが、俳優のクリス・エバンズなどハリウッドの大物らの反発を招いている。
  • 視覚効果や若返り技術を使った最近の作品を振り返り、映画業界がいかにしてここまでに到達したのかを見てみよう。

遅かれ早かれ、こうなったことだろう。

ここ10年のハリウッド映画におけるコンピューター生成画像(CGI:computer-generated imagery)の進歩には目覚ましいものがある。CGIは、ジェームズ・キャメロン(James Cameron)監督の『アバター』 の世界観を拡大し、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でのターキン総督や『ブレードランナー 2049』のレイチェルといった登場人物をスクリーンによみがえらせ、最近では 『ジェミニマン』『アイリッシュマン』そして『ターミネーター:ニューフェイト』で、歳を重ねた俳優陣を数十歳若返らせて見せた。そして今、スクリーンで最も象徴的な俳優の1人(半世紀以上前に亡くなっている)が、この技術のおかげで新作映画にキャスティングされている。

11月6日(現地時間)、『Finding Jack(邦題未定)』という映画で、ジェームズ・ディーンを準主役で起用すると発表された。ディーンは1950年代、『理由なき反抗』『エデンの東』『ジャイアンツ』などに出演し、スターの座を築いたが、1955年、交通事故のため、24歳で亡くなった。その死は、まさにこれからというディーンのキャリアに劇的に幕を降ろし、彼を伝説へと変えた。

『Finding Jack』の監督、アントン・エルンスト(Anton Ernst)とタチ・ゴリハ(Tati Golykh)は、遺族からディーンの肖像の使用権を得たとハリウッド・リポーターに語った。この映画は、同名の小説が原作で、ベトナム戦争の終戦時に遺棄された、1万匹以上の軍用犬をめぐる物語で、ディーンが演じるのは、ローガンという名の登場人物だ。

ディーンをキャスティングするというニュースに対し、ソーシャルメディア上ではファンやハリウッドの重鎮たちからの批判が相次ぎ、俳優のクリス・エバンズ(Chris Evans)はツイッターで「それならコンピューターにピカソの新作を描かせてもいいことになる。ジョン・レノンの新曲を書かせるとかね」と述べた。

エルンストはハリウッド・リポーターに対し、自身とゴリハには「マーケティングに利用するつもりはまったくない」と語った。

「ローガンは心情の変化が非常に複雑な役どころで、完璧に演じることができる人物を求めて、あちこち探した。数カ月探した末、ジェームズ・ディーンに決めた」

視覚効果制作会社のImagine EngineとMOI Worldwideがチームを組み、過去の映像や写真を使って全身CGIのディーンを作り、ディーンに声の似た俳優がアテレコを行う。

映画は、2020年11月11日(復員軍人の日:Veterans Day)に公開予定。実際にどのような映像になるのか、我々が自分の目で確認できるまでもう少しかかる。

この数年で業界をここまで導いた、最近のCGIの進歩を振り返ってみよう。

『ローグ・ワン』(2016年)でよみがえったターキン総督

グランド・モフ・ターキン

Disney

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の最大のサプライズは、グランド・モフ・ターキンの登場だ。ターキン総督は1977年(日本では78年)公開の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に登場する宇宙要塞デス・スター(Death Star)の邪悪な司令官で、1994年に亡くなったピーター・カッシング(Peter Cushing)が演じた。

ターキンが必要なシーンで、監督のギャレス・エドワーズ(Gareth Edwards)は イギリス人俳優、ガイ・ヘンリー(Guy Henry)を声優として起用 。だが、それだけにとどまらなかった。ヘンリーはターキンの衣装をまとい、ターキンとしてすべてのシーンを演じた。撮影では、モーション・キャプチャー用のドットを顔中に付け、ヘッド・カメラを装着し、すべての顔の動きを捉え、撮影後、CGIのカッシングの顔をヘンリーの顔の上に貼り付けた。

こうしてできたのが、印象的なカッシングの複製だ。同作には、CGIで若返った、レイア姫役のキャリー・フィッシャー(Carrie Fisher)も登場する。

レイチェルが『ブレードランナー 2049』(2017年)にカメオ出演した

レイチェル

Warner Bros.

『ブレードランナー 2049』終盤で、ジャレッド・レト(Jared Leto)演じる悪役のニアンダー・ウォレス(Niander Wallace)が、ハリソン・フォード(Harrison Ford)演じるリック・デッカード(Rick Deckard)から情報を引き出そうとするシーンがある。物陰から現れたのはレイチェル。『ブレードランナー』の第1作で、デッカードの恋人だったレプリカント(Replicant)だ。その顔は、1982年にレイチェルを演じた当時の、女優ショーン・ヤング(Sean Young)そのもの。デッカードはウォレスの罠にはかからないが、観客には忘れられないシーンだ。

このシーンの撮影には1年かかった。オスカーを受賞した視覚効果監督のジョン・ネルソン(John Nelson)は、これまで若返り分野でなされたすべてを超えようと決意。デジタル・スカル(頭蓋骨)を作り、ボディダブルを使い、『ブレードランナー』第1作の映像でヤングの顔のあらゆる特徴を捉えた。その結果、ネルソンとチームにオスカーをもたらした。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ではおなじみの、若返り

サミュエル・L・ジャクソン

『キャプテン・マーベル』

Marvel Studios

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』など、MCU(Marvel Cinematic Universe)では若返り技術はおなじみだ。中でも予想以上の成果を挙げたのが、今年初めに公開された『キャプテン・マーベル』だ。「若い」サミュエル・L・ジャクソン(Samuel L. Jackson)演じる ニック・フューリー(Nick Fury)は、不自然な感じもなく、非常に良くできていた。

『ジェミニマン』(2019年)のウィル・スミス対ウィル・スミス

ウィル・スミス

Paramount

若返り技術は、今年の新作『ジェミニマン』で飛躍を遂げた。ウィル・スミスが「若い頃」の自分と対決するシーンは素晴らしい。さらに、映像の粗があるとわかりやすくなるハイ・フレーム・レートで撮影しているというから驚きだ。

『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019年)にはジョン・コナー(John Connor)とサラ・コナー(Sarah Connor)が『ターミネーター2』当時の見た目で現れる

ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)とサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)

TriStar Pictures

『ターミネーター』シリーズは、常に既成概念の枠を超えようとしてきた。そして最新作『ニューフェイト』のオープニングは、若返りの技術がいかに進化しているかを示している。

『ターミネーター2』での出来事から1年。ジョン・コナーと母のサラが、ビーチサイドのバーで寛いでいるところから物語は始まる。若返らせられた2人は、1991年当時の彼らそのものだ。監督のティム・ミラー(Tim Miller)が使ったのは、『ブレードランナー 2049』のレイチェルのシーンと同様の方法。ボディダブルと、リンダ・ハミルトン(Linda Hamilton)およびエドワード・ファーロング(Edward Furlong)のデジタル・スカルを使った。

今のところ、若返り技術のトップは『アイリッシュマン』(2019年)

ロバート・デ・ニーロ

Netflix

若返り技術は今年、新たな金字塔を打ち建てた。ネットフリックス(Netflix)の『アイリッシュマン』だ。

3人の主演俳優、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)、アル・パチーノ(Al Pacino)、ジョー・ペシ(Joe Pesci)を数十歳若く見せている。しかも、撮り方が非常に上手く、途中から合成であることを忘れてしまうほどだ。

俳優陣にとっても、邪魔にはならないようだ。 レイ・ロマーノ(Ray Romano)はBusiness Insiderに対し、デ・ニーロと向き合って演じていても、モーション・キャプチャーのドットが付いていることに気付かないことすらあったと語った。

テクノロジーは演技の未来にとって何を意味するのか

ジェームズ・ディーン

ジェームズ・ディーン。

Getty

実際のところ、現代の映画によみがえるジェームズ・ディーンは、今後、業界の新常識となる可能性があり、始まりに過ぎないかもしれない。出演する映画の視覚効果のために、自分たちの顔をデジタルでキャプチャさせる俳優は増えている。舞台裏では、完成度の高いCGIでキャリアを数十年延長することができるよう、契約に関する話し合いが行われている可能性もある。

『アイリッシュマン』の撮影で若返りを経験することについて尋ねられたロバート・デ・ニーロは笑いながら、「もしそれが完璧にできるようになったら、あと30年は働けるね」とBusiness Insiderに語った。とてもジョークとは思えない。

[原文:64 years after James Dean's death, the actor will star in a new movie. Some in Hollywood are horrified but the advances in visual effects could make it commonplace.

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

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