調査:「キャッシュレス決済」本丸のスマホ決済に“不安”。クレカが人気という皮肉

スマホ決済

写真はイメージです。

撮影:小林優多郎

顧客満足度調査をしているJ.D. パワーが、「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」を発表している。

調査対象は20代から60代の男女400名で、直近1カ月以内のキャッシュレス決済利用実態や、スマートフォン決済に対するイメージなどを中心に調査したものだ。

キャッシュレス決済の利用実態では、「クレジットカード」、「電子マネー」、「QR・バーコード決済サービス」、「デビットカード」、「Apple Pay/Google Pay」、「仮想通貨」と6つの決済方法について、「1ヶ月以内に利用したキャッシュレス決済方法」と「今後(今後も)利用してみたいと思うキャッシュレス決済」それぞれでアンケートを行っている。

どちらの質問でも、「クレジットカード」、「電子マネー」、「QR・バーコード決済サービス」の3つの決済手段がほかの3つを大きく引き話している。特に「QR・バーコード決済サービス」は1ヶ月以内に利用したキャッシュレス方法では24%だが、「今後(今後も)利用してみたいと思うキャッシュレス決済」では40%となっており、利用の有無にかかわらず、注目されている結果となった。この1年でQR・バーコード決済がテレビCMやニュースなどに登場し、一般のユーザーにも浸透した結果と言える。

図1、図2

キャッシュレス決済のうち、QR・バーコード決済サービスの利用者が増えている。

出典:J.D. パワー「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」(2019年8月実施)

ちなみに同じくJ.D. パワーはキャッシュレス決済のうち、最近注目を浴びているQR・バーコード決済サービスに焦点を当てた「2019年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査」の結果を今年9月に発表している。それによると、総合満足度第1位はPayPay(638ポイント)で、第2位メルペイ(624ポイント)、第3位LINE Pay(621ポイント)だった。

ただし、市場シェアという観点ではこの順位は異なる。MMD研究所の「2019年9月 スマートフォン決済に関する実態調査」における「最も利用しているスマホ決済」では、PayPayが1位で26.7%というのは同じだが、2位はLINE Payが12.1%。メルペイはコード決済が1.7%と少なくタッチ決済と合わせても4.1%しかない。メルペイは利用者数こそ少ないが、満足度は高いという結果とも読める。

顧客満足度ランキング

J.D. パワー調査によるQR・バーコード決済サービスの顧客満足度ランキング。PayPayとメルペイが全体平均をうわまわるポイントとなった。

出典:J.D. パワー 2019年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査(J.D. パワーによるQR・バーコード決済サービスの顧客満足度ランキング)

メルペイの満足度が高い理由のひとつとして推測されるのは、メルカリでの売上金を支払いに利用できることだ。

売り上げを自分の銀行口座に入金する場合手数料がかかるケースがあるが、メルペイへのチャージは手数料が無料。売上金をおトクに使えるわけだ。

さて、再び「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」に話を戻したい。「1ヶ月以内に(QR・バーコード決済サービス」を含めた)スマートフォン決済を利用したか」という質問では、「利用した」と回答したユーザーは39%と4割を切っている。

キャッシュレス利用者の多くはクレジットカードやSuicaの物理カードを使うケースが多く、スマートフォンを使ったモバイルSuicaやiDなどの非接触決済型の電子マネーやQR・バーコード決済は、まだまだ浸透していない結果となっている。

図3

スマートフォン決済に限定すると、利用者は4割以下になっている。

出典:J.D. パワー「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」(2019年8月実施)

スマホ決済が浸透しない理由の1つは「ネガなイメージ」

スマートフォン決済が浸透しない大きな理由も「スマートフォン決済機能に対するイメージ」を見るとよくわかる。「不正利用される不安がある」が50%、「個人情報漏洩の不安がある」が42%と、安心して使えないのではというネガティブなイメージが根強いのだ。

図7

スマートフォン決済機能に対するイメージはネガティブなものが強い。

出典:J.D. パワー「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」(2019年8月実施)

このあたりは「7pay」の騒動も大きく影響していそうだ。実際、7payでは不正利用された事実はあるが、ユーザーに対しては補償も表明している。現金と比べて利用履歴などが追跡できるスマートフォン決済のほうが不正利用などのトラブル時の追求はしやすいはずだが、こういったイメージは一度ついてしまうと払拭するためには時間がかかる。

スマートフォン決済は、現在各サービスが利用できる店舗を拡大しており、それをアピールポイントとしている。しかし「店舗や施設を選ぶ際におけるスマートフォン決済対応の影響度」では、全体で68%の人が、スマートフォン決済の対応にこだわらず、使いたい店舗を選ぶと回答。特に女性のほうが79%とその傾向は顕著だった。

多くのユーザーは、「スマートフォン決済が使えるかどうかは気にせず、利用したい店舗や施設を選んでいる」という、なんとも皮肉な結果になっている。

店舗や施設を選ぶ際におけるスマートフォン決済対応の影響度

スマートフォン決済ができるからその店舗を選ぶというユーザーは全体で3割。

出典:J.D. パワー「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」(2019年8月実施)

ではユーザーはスマートフォン決済の何に期待をしているのか。その指標となるのが「スマートフォン決済利用の際に求めるメリット」という質問だ。

「スマートフォン決済機能の種類やブランド・事業者をなるべく1つにまとめたい」と「キャンペーンなどでお得になるスマートフォン決済機能の種類やブランド・事業者を都度選びたい」の選択で、前者が58%となっている。

スマートフォン決済利用の際に求めるメリット

おトクさより利便性を求めているユーザーのほうが多い結果に。

出典:J.D. パワー「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」(2019年8月実施)

つまり利用店舗の拡大やキャンペーンでおトクといったサービスよりも、まず「シンプルで手軽に使いたい」というわけだ。

現在のように、各社のQR・バーコード決済が乱立していては、「どこでなにが使えるのか」をユーザーが把握するだけでもかなり面倒だ。

スマートフォン決済を当たり前に浸透させるためには、ユーザーの持っている不安を払拭する施策と同時に、「どこでも使えることが当たり前になる」施策がセットで必要になるのではないだろうか。

(文・中山智)

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