米中貿易戦争の最中でもファーウェイは業績を伸ばしている。
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アリババの「独身の日」セールが過去最高額の2684億元(約4兆1000億円)の売り上げを記録した11月11日、中国のネット上でそれ以上にバズっていたネタがある。
トランプ政権が排除の包囲網を敷き、米中貿易戦争の焦点となったIT大手ファーウェイ(華為技術)が、「アメリカの制裁に負けず奮闘している」社員たちに総額20億元(約300億円)の臨時ボーナスを支給するというニュースだ。
ファーウェイは、臨時ボーナス支給の事実を認めたが、「金額など詳細はコメントしない」としている。
SNSに流出したファーウェイの社内文書とされる画像
微博より
11日にネット上に流出したファーウェイの「社内文書」は、同日付で件名は「奮闘特別ボーナス」。本文には「アメリカ政府の輸出規制リストに入った5月16日以降、社員全員が奮闘し、素晴らしい業績を上げることができた」「貢献した社員たちに奮闘特別ボーナスを支給する」と記載されている。
文書は瞬く間にSNSで拡散。続いてファーウェイ社員の名で、詳細が次々と投稿された。
総合すると、ボーナス総額は20億元、支給日は11月15日か12月初め(複数の説がある)。
トランプ政権が発動した輸出規制によって従来の部品やサービスが使えなくなり、代替品の開発に奔走した部署の約2万人が対象だという。具体的には半導体製造子会社「ハイシリコン」、部品の調達部門、グーグルのOS・Androidの代替も視野にいれた独自OS「ハーモニーOS(鴻蒙)」プロジェクトなどが含まれる。
単純計算すると1人あたりのボーナス支給額は10万元(約160万円)だが、文書には「ボーナスは1カ月の基本給をベースに他の要素を加味して決定する」と記載されている。
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SNSでは、ファーウェイ社員のアカウントと思われる「会社を愛している」という文章や、「アリババへの面接が進んでいたが、今会社を離れると逃亡兵になってしまう。次の面接を辞退する」というメッセージなども投稿され、「独身の日セール」一色となった中国で、異色の存在感を放った。
ファーウェイはアメリカから排除包囲網を敷かれ、2019年の業績悪化が予想されていたが、実際には1−9月の決算で、売上高が前年同期比を24.4%上回る6108億元(約9兆4000億円)となり、成長を維持。スマートフォン出荷台数も10月22日に2018年より2カ月以上前倒しで2億台を達成。想定外の好調さで市場を驚かせている。
(文・浦上早苗)