日本の職場6割が身だしなみルールあり、始末書・減給処分も。「最低限でいい」労働者とギャップ

日本の職場の約6割が服装や身だしなみについての決まりを設けている一方で、こうした決まりが「あった方がいい」と考えている労働者はわずか14%。5割以上が「最低限で良いと思う」と回答したことが分かった。

しかし、決まりに従わない場合は「始末書提出」「減給」「解雇」などの処分を設けている会社も複数あり、労働者にとっては息苦しい状況だ。

6割が服装や身だしなみの決まりアリ、最も多い業界は

ビジネスパーソン

職場の身だしなみルール、どう思いますか?

撮影:今村拓馬

調査を行ったのは、日本労働組合総連合会(連合)。全国の20歳~59歳の有職者1000名を対象に、インターネットを通じてアンケートを行った(期間:2019年10月2日から10月4日)(以降は、小数点以下切り捨て)。

自身の勤め先に服装や身だしなみについての決まりが「ある」 と回答したのは57%と、約6割を占めた。最も割合が高かったのが「宿泊業、飲食サービス業」(86%)。次いで「金融業、保険業」(71%)、「卸売業、小売業」(65%)だ。

企業側がこうした決まりを設ける意図として、“客”や“周囲の目”を意識してのことが多いように思うが、服装や身だしなみの決まりがあると回答した人のうち、「社外の人に会う機会がある」人は60%、「ない」人は52%とそれほど大きな差はなかった。

身だしなみ

服装や身だしなみについて決まりがある業種。

出典:「社内ルールにおける男女差に関する調査 2019」(連合)

また、その決まりは何で規定されているか聞いたところ、「就業規則」(45%)が最も多く、「服務規程」「服装規定」がそれぞれ約2割ほど。「口頭説明」 (18%)「慣習」(10%)という回答もあり、明文化されない上司の指導などの影響も伺える。

さらに服装や身だしなみの決まりに従わない場合、何らかの処分があると回答した人の割合は19%で、処分の内容は「始末書提出」(9%)が最も多く、「降格、減給」(5%)「解雇、契約打ち切り」 (5%)もあった。

男性はズボンと水色、女性はスカートでピンク?

ビル

撮影:今村拓馬

こうした服装や身だしなみの決まりがあると回答した571人のうち、22%が「服装に関する決まり」には男女で異なるものがあると回答。

今年、職場で女性がヒールやパンプスを指定されることに異議を唱える#KuTooが大きな注目を集めた。調査でも、19%と約2割が女性が履くパンプスについて、ヒールの高さに「決まりがある」と回答している。「決まりはない・決まりがあるか わからない」は 80%だった。

女性が回答した高さの決まりで最も多かったのは、「3〜5センチ未満」。前出の#KuTooは、グラビア女優・ライターの石川優実さんが葬儀場で働いたとき、登録していた派遣会社から「ヒールの高さは5〜7センチ程度を目安に」と書かれた小冊子が配布されていたことを理由に声を上げたことがきっかけだ。石川さんと同じように「5〜7センチ未満」の決まりがあったという回答もあった。

他にも男女で異なる決まりとしては以下のような声があり、ジェンダーステレオタイプが浮き彫りになっている。

男性は長ズボン、女性はスカート」(男性30代、公務)

男性はネクタイとジャケット必須、女性はジャケット着用任意」(女性30代、卸売業・小売業)

制服のシャツの色が男性は水色、女性はピンク」(女性40代・金融業・保険業)

ジェンダーに配慮すべきと考える人は少ないのが現状

オフィス街

撮影:今村拓馬

こうした現状について、労働者は否定的だ。決まりがある人もない人も全員に服装や身だしなみの決まりについて思うことを聞いたところ、「あったほうがよい」としたのはわずか14%5割以上が「最低限でよいと思う」 と回答している。

男女別にみると、「最低限でよいと思う」と答えた割合は男性が49%、女性が60%と女性の方が高かった。女性の身だしなみに関しては、パンプス・ヒールの指定の他にも、メガネが禁止されたり化粧を強制されるなど、いわゆる「清潔感」だけではなく「美しさ」が求められる背景もある。

一方で、服装・身だしなみの決まりが男女で異なることに関しては「仕方ないと思う」 (36%)が最も高く、「LGBTの人に配慮するべきだと思う」と考える人は6%しかいなかった

10月、携帯電話大手のKDDIが一般社員に一律に設けていた服装規定を廃止したことが話題を呼んだ。今後は各部署ごとに業務内容に応じて対応するそうだが、会社として「根拠が希薄な服装を強制しない」「男女の公平性やLGBTへの配慮などから、性別によって服装を指定しない」ことを指導していくという。

変わり始めた企業もある。労働者自身も現在の決まりに合理性はあるか、誰かを排除していないか、考えてみるべきだろう。

(文・竹下郁子)

※「職場のハイヒール・パンプス着用、緊急アンケート」には、これまで2600人以上から回答をいただきました。ありがとうございます。靴以外についてもおたずねしていますので、引き続きご協力をお願いします。

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