アンドリュー・ヤン氏。
AP Photo/Jacquelyn Martin
- 2020年の米大統領選に向け、民主党の候補指名獲得を目指すアンドリュー・ヤン氏は、テック業界に対する規制について自身の計画を発表した。
- ヤン氏の最優先課題は、人々に自らの個人データに対する所有権を与え、自身のデータを企業と共有することで稼げるようにすることだ。
- これは、ユーザーのデータを企業が完全に所有する現状からの大きな転換だ。現状では、個人データがどう使用されるかについて、ユーザーにはほとんど権利がない。
- ヤン氏は他にも、テクノロジー倫理、偽情報、アルゴリズミック・バイアス、政府の規制機関の最新化といった問題にも取り組みたいと考えている。
- テック業界に対する規制の強化は、民主党の候補指名獲得を目指す候補者の間で重要なテーマの1つになっている。
2020年の米大統領選に向け、民主党の候補指名獲得を目指すアンドリュー・ヤン氏は11月14日(現地時間)、テック業界に対する規制について自身の総合計画を発表した。
ヤン氏の最優先課題は「財産権としてのデータ」を確立することだ。そうすることで、人々の自らの個人データに対するコントロールを高め、こうしたデータを企業が商品やサービスのために使うときに人々が稼げるようにしたいと考えている。
これは、ユーザーによって生み出されたデータを企業が所有している現状からの大きな転換だ。現状では、自身の個人データへのアクセスを規制するユーザーの権利は制限されているし、個人データを使って稼ぐこともできない。
ヤン氏が「財産権としてのデータ」というアイデアを最初に提案したのは、10月のことだ。人々が日々の暮らしの中でいかに大量のデータを生み出し、それを企業がどのようにして収益化してきたかに触れ、「わたしたちのデータは今や、石油よりも価値がある」と語った。
11月に発表した総合計画の中で、ヤン氏は「データ収集や収益化のプロセスの透明性を向上させるための手段を講じることで、個人が自分のものに対するオーナーシップを取り戻すことができるようになる」としている。
ヤン氏が引用したレポートによると、アメリカ人の個人データの収集及び使用は1980億ドル(約21兆円)規模の産業になっていて、ヤン氏はユーザーが十分な見返りを得ていないと主張する。
ヤン氏は他にもいくつかの提案をしている。
- 人々(特に子どもたち)への「現代テクノロジーが及ぼす健康面での影響」を最小限にするための政府組織を作る
- デジタル広告への課税、ボット活動の規制、偽情報の拡散をよりコストの高い難しいものにするためのアルゴリズムの規制
- フェイスブック(Facebook)やユーチューブ(YouTube)といった「パブリッシャーとプラットフォームの間のグレーゾーンへの取り組み」
- 規制に対する政府のアプローチの最新化(そうすることで、新興テクノロジーによりしっかり対応できる)
自身の考えについて、ヤン氏はサンフランシスコで開いた集会でさらに詳しく説明した。イーロン・マスク氏といったテック企業の幹部たちも、業界にはさらなる規制が必要との見方で一致していると語った。
テック業界に対する規制の強化は、民主党の候補指名獲得を目指す候補者の間で重要なテーマの1つになっている。
[原文:Andrew Yang wants you to make money off your data by making it your personal property]
(翻訳、編集:山口佳美)