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熊本発「農家ハンター」 広がる獣害を解決し、農家を幸せに

3ショット

写真左から、楽天のサステナビリティ部シニアマネジャーの眞々部貴之さん、「農家ハンター」を立ち上げた花農家の宮川将人さん、楽天技術研究所未来店舗デザイン研究室シニアマネジャーの益子宗さん。

農家の担い手の減少、温暖化による野生動物の爆発的繁殖......人間と野生動物の領域のバランスが崩れかけている今、全国で獣害が広がっている。宮川将人(まさひと)さんは、熊本・天草の島々に近い戸馳島でラン栽培に取り組む花農家。それが2016年からは「農家ハンター」として獣害の解決に取り組んでいる。

「農家ハンター」がユニークなのは、画像解析の技術などITを活用して野生動物の見える化やSDGsの活動にも取り組んでいるところ。どのような活動をし、何を目指しているのか。宮川さんと、その活動をサポートする楽天技術研究所未来店舗デザイン研究室シニアマネジャーの益子宗さん、楽天のサステナビリティ部シニアマネジャーの眞々部貴之さんに話を聞いた。

地域と畑を守る「サイバー」×「ファーマー」×「ハンター」

宮川将人さん

宮川将人さんは、熊本・天草の島々に近い戸馳島でラン栽培に取り組む花農家。地元のイノシシ被害を知り、2016年から「農家ハンター」として獣害の解決に取り組んでいる。

──農業大学を卒業後、オランダやアメリカにも留学して「花き栽培」を学ばれたそうですが、どういう経緯で獣害対策に取り組まれるようになったのでしょうか。

宮川将人さん(以下、宮川):僕は花農家の3代目なんですが、留学先がシリコンバレーの近くで、ITの風を感じたこともあって(笑)、熊本の田舎の島から全国を相手に楽天市場でネット販売を始めたんです。はじめはなかなか売れなかったのですが、2009年に「息子が生まれました」と誕生祭をやったのがきっかけでブレイクしました。

2011年の母の日に、僕らが育てた「母想い」という特別なランが楽天市場の総合ランキング1位になったんですよ。2位は人気アーティストのベストアルバムでしたから、すごい事件です。ところが、計画の何倍も注文を受けたせいでパンクして、クレームが発生。対応に追われるうちに体調を崩しまして。34歳の時でした。これを機に、「ああ俺、金のことしか考えてなかった」と思うようになり、「社会のために自分は何が残せるんだろう」と真剣に考え始めたんです。

それから2016年の2月でした。地域のミカン農家のおばちゃんが「ミカン農家辞めようと思う」と言うんです。「イノシシの被害がひどくて」と。正直、僕はそれまで、イノシシが出ることも被害が出ていることも知らなかったんですが、調べてみると、猟師の数は半減しているのに、イノシシの数は倍増している。放置していたら、農業被害に留まらず、人との接触事故が多発するようになると危機感を持ちました。

そこで思いついたのが「農家ハンター」です。僕はたまたま楽天市場への出店をきっかけにITを利用している「サイバー農家」だったので(笑)。この「サイバー」と「ファーマー」、そして「ハンター」を組み合わせたら、イノベーションが生まれるのではないか。火災や災害から地域を守る消防団のように、地域と畑を守るために農家が立ち上がろう。それで「農家ハンター」を立ち上げることにしました。

4日遅れていたら実現していなかった

宮川将人さん

──農家ハンターの活動はどのようにして始まったのでしょうか。

宮川:2016年の4月10日に「イノシシ合宿」というのをやりました。農業高校時代の同級生をはじめ、熊本県内各地から農家ばかり25人集まったんですが、被害を受けていたメンバーはたった2人。自分のことじゃなくても真剣に、地域のためにと理念に共感できる人たちが集まったんです。

ただ、合宿があと4日遅かったら、今のようにはなっていなかったかもしれない。直後の4月14日にあの熊本地震が起こりましたから、奇跡的なタイミングだったんです。震災のときは、合宿の仲間で避難所に農産物を持ち込んだり、いろんな活動ができました。

農家ハンターの活動では10回以上の講習会を開催して獣害について学ぶ場を作ったり、柵を設置して畑を守ったりしてきましたが、何より一番難しいのは捕獲すること。イノシシを捕まえるのは体力的にも精神的にも容易ではありません。私たちがどんな大義を持っていても人間都合で彼らの命を奪うわけですから。

ピンチを救ってくれた、楽天のスペシャリストたち

益子宗さん

楽天技術研究所未来店舗デザイン研究室シニアマネジャーの益子宗さん

──「ファーマー」が「ハンター」も担うようになったということですね。「サイバー」はどう関わっているのでしょうか。

宮川:僕らの本業は農業ですから、ハンターだけでなくファーマーもやらなくてはいけない。熊本県の三角町だけでも狩猟用の罠は200基もあるので見回るのが大変です。そこで罠にIoTを実装しました。動くものを撮影してスマホに転送するシステムです。ところが、猫や鳥、タヌキなどの画像も撮ってしまうので、年間4,000枚の画像のうちイノシシはたった800枚という効率の悪さでした。

そんな中、2017年の12月、楽天が大学で行う寄付講座を通じて大学で講義させてもらう機会があって上京しました。そのときにたまたまタクシーで同乗したのが益子さんで、イノシシの話をしたんです。「今イノシシが増えすぎていて、大変なんですよね」って。

益子宗さん(以下、益子):当時は4万5000ほどある楽天市場に出店する店舗様と何か新しいことができないかと考えていたころでした。ちょうどAIやディープラーニングを使って、出品したい商品を撮影するとそれが何かを認識してくれるシステムを開発した頃だったので、宮川さんの話を聞いて、そのシステムが使えるのではないかと話しました。翌4月に改めて東京で会議をしました。

眞々部貴之さん(以下、眞々部):今も思い出深い会議ですよね。私はその4月の会議に、「元マタギ」という枠で呼ばれまして。昔、屋久島のヤクシカや北海道のエゾシカの調査をやっていたので「マタギ」のようだと(笑)。ちょうどサステナビリティの担当として、楽天の技術やサービスなどを使って地域のために何かできないかと考えているときでした。

北海道では罠にかかったエゾシカの写真を撮ってツイッターにアップするというIoTの機械を作ったことがあったのです。それを使えるのではないかということになりまして。益子もAIを使えば「イノシシの判別ができますよ」と。

Twitter画像

「農家ハンター×楽天技術研究所イノシシAI」のTwitterから

益子:1週間後には、非公開のツイッターシステムが出来上がっていました。宮川さんから「これはすごい!助かります!」と言われ、2018年11月から一般にも公開し始めました。

農家ハンターの新たなステップとさらなる野望

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楽天のサステナビリティ部シニアマネジャーの眞々部貴之さん。

宮川:なぜこれを楽天とやったのかというと、熊本は、熊本地震で電気が止まったりと本当に大変な被害を受けた。そのときすぐに来て取材して、熊本の様子をちゃんと伝えてくれたのが楽天だったんです。

楽天が掲げている「エンパワーメント」という言葉が僕は好きなんですが、あのとき楽天がITを使って地方をエンパワーメントするというのは「本気なんだな」と感じました。アイディアでも貰えたらと相談したら、農家の僕には想像できないようなテクノロジーで解決してくれる。この技術開発も楽天が主体で動いてくれました。それだけ、僕らに寄り添ってくれているんです。

眞々部:これまでもNPOさんや社会起業家さんと社会課題解決に取り組んだりはしてきたのですが、宮川さんを含め、楽天市場の店舗様のパワーとスピード感、テクノロジーへの感覚はすごいです。もしかするとネットショップが社会課題解決を担っていく時代が来たのではないか、なんて思うこともあるくらいで。

益子:私も新卒で楽天に入社したときからエンパワーメントという言葉が好きで。実は私がこの農家ハンターでやりたかったのはIoTのカメラのシステム開発ではなく、それを通じた新しい買い物体験を作ること。モノがどこから来て、だれが作ったのか、そしてそのストーリーがわかるような。それがこのシステム、このメンバーならできる。かなり新しい形だと思うのです。

──農家ハンターの活動は、これからどう展開していくのでしょうか。

宮川:今では地域の仲間たちと年間約1000頭のイノシシを捕獲しています。捕獲したイノシシを無駄にしないために、ジビエ肉として販売することを考えたのですが、それには衛生管理をパスした施設が必要でした。そこで施設建設のために会社を作って融資を受け、さらに楽天市場のクラウドファンディングで資金(合計約600万円)を集めることができました。おかげで先日、念願のジビエファームという施設が落成しました。年末までにはジビエ肉として出荷ができるようになると思います。ここでは農家ならではの循環型モデルを作り、全国に広げていくことを計画しています。

こうした取り組みも、続けられなくては意味がないんですよね。実はこの活動に一所懸命になりすぎて、自分の口座がすっからかんになりかけたんです。それで、僕自身もサステナブルでなければと痛感しました。

社会貢献とビジネスを両立させていくために、会社を立ち上げ、ジビエファームを作り、また楽天市場に「農家ハンターSHOP」という店舗を構えました。他での出店を考えなかったのは、商品を売るだけでなく、そこに至るまでのストーリーや農家の想いも伝えたかったからです。ただの買い物ではなく、こうして届いた肉、守られたミカンを食べることで、地域を守ることの一助になると思って買ってくださるお客様がいてくださるんですよね。

眞々部:チャリティではなく、社会課題を解決するには新しいテクノロジー、ビジネスが必要だと考えているのがこのメンバーです。ジビエのお店でお肉を買うことと、地域の農家さんが幸せになることの間がこれまでは繋がりにくかった。しかし、この「農家ハンター」の取り組みを通じて、山の可視化や被害を受けている人のストーリー、肉のトレーサビリティをテクノロジーで繋ぐことができたのではないかと思います。

宮川:田舎で洋ラン栽培をしながらイノシシと向き合う。これだけでもユニークですが、インターネットの恩恵を受けながらこうして共感してくださる人たちと繋がり、応援してもらえる今の時代は本当にありがたいなと思います。


熊本の小さな島で花を栽培しながら、農業仲間を巻き込んでイノシシの捕獲に奔走する宮川さんと、IT企業、楽天の従業員である益子さんと眞々部さん。並んで座り、まるで古くからの友人のように笑いを挟みながらリズムよく会話をするお三方の姿をみているとネットショップが社会課題の解決に一役買う、すぐそこにある未来の姿を目の当たりにしているようであった。

「農家ハンターSHOP」について詳しくはこちら。

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