【今日は国際男性デー】男性の生きづらさは「大黒柱バイアス」定年まで正社員で稼ぐ苦しさ

イベント会場

国際男性デーの記念イベントには約70人が集まった。

撮影:横山耕太郎

11月19日は「国際男性デー」。

国際男性デーは男性の健康に目を向けて、ジェンダーの平等を促す目的で、1999年にトリニダード・トバゴで始まったとされる。育休など男性の権利が注目され、日本でも男性の生きづらさをテーマにイベントが開催されるなど近年、注目が集まっている。国際男性デーの今日、男性が抱える問題を考えてみたい。

国際男性デーの記念イベントを開催したのは、女性支援団体「Lean In Tokyo(リーン・イン東京)」。2年前にもイベントを開催したが、2019年はTwitterでも数多くリツイートされるなど、関心の高まりを感じているという。

父親が家事をしない家で育ったイクメンの苦悩

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「子育てのロールモデルとして自分の親を考えると、時代と価値観がずれてしまう」と塚越さんは指摘する。

撮影:横山耕太郎

男性の育休義務化が議論は少しずつ進んでいるが、相変わらず育休取得率は低い。厚生労働省によると、2018年度の男性の育休取得率は6.16%。しかも取得日数も5日以内が36%で、81%が1カ月未満となり、女性に比べてかなり短期間だ。

11月17日、東京都港区内でのイベントで講演した東レ経営研究所のチーフコンサルタント・塚越学さんは、3児の父でもある。塚越さんは、昭和と平成では子育て世代を取り巻く環境は激変したにもかかわらず、子育てに関しては、昔の価値観を引きずっていると指摘した。

「昭和の親の役割は、男が稼ぎ手で、専業主婦世帯が過半数だった。しかし、平成になると、昔のように男が稼ぐことができなくなり、共働き世帯が過半数になった。平成や令和の父親は、稼ぐという役割だけでなく、子どもの世話などの役割も果たすことが求められている」

1993年には中学校で技術家庭科が男女共修化。共修になった世代から育児に携わる父が増えている一方で、自分の父親の姿をモデルとして考えてしまうことから、葛藤を抱える父親もいるという。

「母親が専業主婦で、父親が家事をしなかった家庭に育ったイクメンの中には葛藤している父親もいる。それは、『もともとこれは母親の仕事だ』と思ってしまうから。

新しい価値観を持つためには、どこかの世代が苦しみを味わわないといけない。子どもたちにどんなバトンを渡すのか。私たちの世代が一歩進んでやらないといけないと思っている

大黒柱バイアスから解き放たれるべき

西村さん写真

育休取得などの問題点について西村さんは、「企業文化は地層のようなもの。簡単に変えることはできない」と話す。

撮影:横山耕太郎

リーン・イン東京が10月に実施した「男性が職場や学校、家庭で感じる『生きづらさ』に関する意識調査」(男性309人が回答)によると、男性が感じる生きにくさとして、「男性は定年までフルタイムで正社員で働くべきという考え」「一家の大黒柱でいなければならないというプレッシャー」が上位に入り、男性は経済的にも精神的にも、家庭を守らないといけないという重圧を感じている人が多かった。

3児の父でもある、副業研究家でHARES CEO・西村創一朗さんは、次のように話す。

「仕事をして子ども養うべきという男性の生きづらさを『大黒柱バイアス』と呼んでいるのですが、このバイアスから解き放つことが大事です。今の時代は、仕事も育児もやりたい人がやりたいだけやるべきだと思っています。

男性は『父だから』や『大黒柱だから』という生きづらさを抱え込まずに、ここが苦しいとパートナーに伝えてほしい。それは会社の上司に対しても同じで、言っていかないと変わりません」

海外に目を向けると見えてくる日本の遅れ

松尾ポストさん写真

デートで男性が多く払う風潮について、松尾ポストさんは「平等と思える関係にしたい。割り勘でもいいですかと聞くのもいいのでは」と話す。

撮影:横山耕太郎

前出のアンケートでは「デートで男性が多く負担したり、女性をリードすべきという風潮」が20代の1位だった。価値観の多様化が進んでいるものの、「男だからこうあるべき」という風潮はまだ根強く残っている。

アメリカや香港で勤務経験があり、アメリカ人の妻を持つWeWorkJapan合同会社の松尾ポスト脩平さんは、日本のジェンダー意識の遅れを感じると話す。

「妻と結婚して名字に妻の名『ポスト』も入れたんです。アメリカではそんなに珍しいことではなく手続きも簡単でした。

日本でも同じように名前を変えようとしたら、何度も家庭裁判所に行ったりして結局8カ月もかかりました。パスポートやマイナンバーなど変更に手間がかかって面倒だった。日本ではこれを全て女性にやってもらうのが一般的なのに、話題にならない。ジェンダーを考えるきっかけになりました」

海外に目を向けると、日本の現状を知ることができるという。

「香港で働いていた時に、夫が専業主夫となりフルタイムで育児するパパと知り合い、一緒にマラソンの練習をしていました。初めてだったので最初は驚きましたが、素敵な家族を作っていました。また北欧では、男女が言葉使いから平等であろうという姿勢を感じました」

男性と女性の活躍は車の両輪

男性写真

撮影:今村拓馬

国際男性デーという日を知っていた人はどれくらいいただろうか?

国際女性デーは有名だが、国際男性デーについては記者も取材を始めるまで知らなかった。男性の権利やジェンダーが見直される背景について、前出の西村さんはこう話す。

「女性活躍の流れの中で、家事や育児を誰がやるのかという問題が注目されてきたことがあると思います。女性の活躍と男性の活躍は車の両輪の関係なんです

国際男性デーを機に「男だから」という生きづらさを見つめ直し、新たな方向へと歩き出すことは、男女関係なく「生きやすい」社会につながるはずだ。

(文・横山耕太郎)

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