2019年6月12日、香港での抗議活動。
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- 動画共有アプリTikTokは、中国政府の要請を受けて政治的な動画などのコンテンツを検閲しているとの疑いに対して釈明した。
- ニューヨーク・タイムズのインタビューで、TikTokの責任者は、「政治的議論」のためではなく、「創造的で楽しい経験」に沿ったものである限り、そのようなコンテンツは許可されると述べた。
- ここ数カ月の間に、TikTokが「文化的に問題のある」コンテンツを削除したり制限したりしているとの報道が出ているが、TikTokは、中国に拠点を置く親会社のByteDanceからは独立していると主張している。
TikTokが中国政府を怒らせるような動画を検閲しているという非難の声が上がる中、TikTokの責任者は、政治的コンテンツは「創造的で楽しい」限り許可されると述べた。
TikTokは、インターネット上のミームやバイラル動画、Z世代が愛するコメディー動画などを発信するプラットフォームとして、アメリカでも非常に人気がある。しかし、アプリのダウンロード数が15億を超え、中国で開発されたことや中国政府との関係から、TikTokが中国政府に不快感を与えると見なされるコンテンツ(社会的、政治的な話題を扱った動画など)を検閲しているのではないかという懸念が生じている。
ニューヨーク・タイムズのインタビューで、TikTokの責任者は、同アプリの「創造的で楽しい経験」という方針に沿ったコンテンツであれば、許可されると述べた。
しかし、ここ数カ月、TikTokが中国の親会社であるByteDanceからそれほど独立していないという報道が出ている。TikTokの元従業員6人がワシントン・ポストに語ったところによると、中国の従業員がどのコンテンツをブロックするか、あるいは制限するかについて「最終決定」をしているという。アメリカの従業員によると、2019年春には「キスをしたり挑発的なダンスをしたりするもの」「社会的、政治的な話題」といった内容を削除するよう指示されたという。
2019年の初めに香港で民主化を求める抗議運動が起きたとき、奇妙なことにTikTok上に騒然とした様子はなく、代わりに美しい映像がアップされていた。
ガーディアンは、管理者に中国政府を怒らせる可能性のある「非常に議論の多い話題」、すなわち、天安門事件などの政治や歴史的出来事に対する中国のスタンスを批判するビデオを検閲するよう指示したTikTokの内部文書についても報じている。
しかしTikTokは、同アプリは中国以外の国でしか利用できないため、中国からは独立していると一貫して主張してきた。責任者はNYTに対し、中国の習近平国家主席からの要請があり、ユーザーデータへのアクセスや動画の削除を求めたとしても拒否すると述べた。
TikTokが中国にルーツを持つことから、中国政府がTikTokに投稿されたコンテンツを何らかの形で管理しているのではないかという懸念が、アメリカの議員や国家安全保障担当者、ユーザーに生じている。報道によると、アメリカ政府は現在、国家安全保障上の懸念からByteDanceを捜査しているという。
ウォール・ストリート・ジャーナルは11月18日、TikTokがByteDanceと距離を置く方法についてブレーンストーミングを行っていると報じたが、TikTokは、同プラットフォームのブランド変更や本社を移転する計画はないと述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)