連載ロゴデザイン・星野美緒、画像・編集部作成
「会計」や「ファイナンス」に苦手意識を持っている人は少なくないでしょう。けれど、数字を読み解くスキルは「仕事ではもちろん、キャリア形成や日常生活においても役に立つ」。そう語るのは、大手金融機関勤務を経て現在はスタートアップ企業のCFOを務める村上茂久さん。
本連載では、日々の経済ニュースや実際の決算データを事例にしながら、村上さんに「会計とファイナンスを同時並行で学ぶエッセンス」を解説していただきます。
ファイナンスは意外なところで役に立つ
みなさんは「会計」や「ファイナンス(※1)」にどのようなイメージを持っていますか?
「関連本を読んでみたことはあるけれど、いまひとつ理解しきれなかった」「数字が苦手だから、目を背けるようにして生きてきた」……一部の専門家でもないかぎり、「大好きです!」と胸を張っては言えない方が多い分野ではないでしょうか。
大丈夫、この連載は、そんな苦手意識を持つあなたのためのものです。
私は社会人としての最初の12年間強、金融機関でストラクチャードファイナンス業務を中心に、証券化、不動産投資、不良債権投資、プロジェクトファイナンス、そしてファンドへの出資業務に従事してきました。金融機関を退職した後は、スタートアップ企業のCFOを務めながら、大企業の新規事業開発や複数のスタートアップ企業を財務的な側面から支援しています。
会計とファイナンスにどっぷり浸かった実務経験の中でしみじみと実感するのは、こうした知識は、仕事ではもちろんキャリア形成や日常生活においても、何かと役に立つということです。
数字を使ってファクトベースで物事を考えられるようになると、例えば個別株投資では他社に比べて相対的に過大に評価された割高株をつかまずにすみますし、転職先として考えている会社が本当に転職するに足る会社かどうかを、ある程度見極めることができます。会計やファイナンスの知識は、身につけておくにこしたことはないのです。