女性だけメガネ禁止・パンプス強制はハラスメント。厚労相「均等法に合わない」と言及

女性たちが職場でヒールを強制されたり、メガネを禁止されていることについて、加藤勝信厚生労働相が初めて言及した。

「個々のケースについては一概には言い難い」と留保をつけながらも、「男女が同じ仕事内容の場合、男性はよくて女性はダメだというのは男女雇用機会均等法の趣旨に合っていない」とした。

政府がここまで踏み込んだ発言をしたのは初めてだと専門家は評価する。

同じ仕事で女性のみの身だしなみルールはNG?

加藤勝信

質問に答える加藤勝信・厚生労働相。

出典:参議院ホームページ

11月19日、参議院の厚生労働委員会で福島瑞穂議員(社民党)の質問に答えたかたちだ。

福島議員は百貨店の受け付け、化粧品会社の美容部員、日本の航空会社の客室乗務員などの例をあげ、「職場で女性にだけメガネ禁止令を出しているところがあります。外国のエアラインは禁止をしていないんですね。大臣これどう思われますか」と質問。

加藤厚労相は「一部の企業で女性にのみメガネを禁止している、そうした報道がなされたことは承知している」とし、次のように答えた。

「なかなか個々のケースについて一概には言い難いと思います。安全上メガネをかけてはいけないとか。ただそうであれば男性女性問われないということになるんだろうと思いますので、男女雇用機会均等法(均等法)の趣旨に照らせば、同じ職務に従事して、同じ状況で、同じ仕事をして(いる場合は)、少なくとも男女において、男性は良くて女性はダメだというのは、これは趣旨に合っていないと思います」

「明らかに変」から「社会通念」まで

福島みずほ

「メガネを禁止されている女性への連帯」として、メガネを着用して質問する福島みずほ議員(社民党)。

出典:参議院ホームページ

続けて福島議員は「これは個人の問題ではない。職場で女性が見た目で判断され、強制をされている」と指摘。

メガネ禁止に関する海外での報道や反響、また連合の調査で、女性の履くパンプスについて約2割(19%)がヒールの高さに「決まりがある」と回答していること、女性は化粧をしなければならないという決まりがあることなどを紹介し、次のようにたずねた。

「これは明確にジェンダー差別、性差別です。均等法6条は性別を理由として差別的取り扱いをしてはならないとしていますが、服装規定はありません。はっきりジェンダー差別を禁止することを明記するべきではないですか。イギリスもアメリカも諸外国もそうしています。いかがですか」(福島議員)

これに対し、加藤厚労相は以下のように答えている。

「『明らかに変だよね』というものから『社会的通念からみてそういうこともあるよね』というものまで、いろいろあるんじゃないかと。なので一律に制限をしていくのはなかなか難しいんじゃないかと思っております。

それぞれの現場でおかしいものは是正をしていただき、そうした積み重ねの中で出てきたものを我々も受け止めさせていただくことが大事じゃないかなと」(加藤厚労相)

例えば靴については「女性にパンプス、男性に黒の革靴というのがあるところもあると承知をしておりますので、それぞれの状況を見ながら判断していく必要がある」とした。

これに対し、福島議員が「パンプスを強制することはパワハラにあたりうるとした根本前厚労大臣より後退している。女性にだけパンプスを強制したりメガネを禁止することは、ハラスメントじゃないですか」と問うと、

「確か根本大臣は同じトーンでお話をされていたんじゃないかなという風に思いますけれども。例えばあまりにも極端な強制であればおかしいということになりますけれども、それが社会通念に照らして業務上必要があるかどうかで判断をしていくと。

ただ先ほども申し上げたように、明らかに同じ仕事を男女が同じようにしている場合は、やっぱりおかしい。それはそう(ハラスメント)だと思います」(加藤厚労相)

と答えた。

「国がここまで述べたのは初めて」と専門家

メガネ

GettyImages/JGI/Jamie Grill

労働法制、特に職場のハラスメントに詳しい労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員は言う。

「職場におけるパンプス強制やメガネ禁止については、

・個々のケースについては一概には言いがたい

・業務上必要か否かで考える

としながらも、女性のみにそれが指示されているのは、男女雇用機会均等法の趣旨に反したり、ハラスメントにあたりうると答弁したということです。

国が、一方の性別への服装の指示について、どのような場合に均等法の趣旨に反するかについて述べたのは初めてであり、意義があります」(内藤さん)

6月、根本匠前厚労相がパンプスやヒールの強制を「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲か」によって判断するとした答弁が話題になった。

内藤さんは根本前厚労相の答弁は「ハイヒールやパンプスの着用指示が許されるかどうかはパワハラの判断基準に沿って判断する、つまりこうした強制はパワハラに当たりうるという内容」と指摘。

今国会で企業にパワハラ防止策を義務づけるよう法改正されたが、職場のパワハラの定義は、

  1. 優越的な関係に基づく
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
  3. 労働者の就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与え ること)

となっている。

今回の加藤厚労相の答弁は、パンプスやヒールの強制、メガネの着用禁止がハラスメントにあたりうるというのは根本前厚労相と同じだが、ハラスメントに該当する例が根本前厚労相の場合は「ケガをした労働者にパンプスを強制する場合」だったのに対し、加藤厚労相は「男女が同じ仕事をしているのに、女性のみに強制したり禁止したりする場合」に変化したという違いがある。

「加藤大臣の言うように、今後は少なくとも、男女が同じ仕事をしているにもかかわらず、一方の性別のみにパンプスを指示したりメガネを禁止したりすることは避けなければならないということです。こうした点は、これから施行されるパワーハラスメントの措置義務を事業主が履行する際にも十分注意する必要があるでしょう」(内藤さん)

(文・竹下郁子)

※「職場のハイヒール・パンプス着用、緊急アンケート」には、これまで2700人以上から回答をいただきました。ありがとうございます。靴以外についてもおたずねしていますので、引き続きご協力をお願いします。

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