中国でiPhone 11好調、9、10月の出荷1000万台突破。高価格路線見直しと新色奏功

iPhone

iPhone 11は中国で好調をキープしている。

REUTERS/Stephen Lam

iPhoneの中国での出荷台数が、9、10月の2カ月で1000万台になった。アメリカ政府のデータから、ブルームバーグが算出して報道した。

中国情報通信研究院によると、同期間の中国のスマホ出荷台数は6930万台で、前年同期比5%減少したが、iPhoneは6%伸ばした。市場調査会社のCanalysによると、2019年7-9月の中国でのスマホマーケットシェアはファーウェイが42.4%で圧倒し、アップルは5位の5.2%だった。だが、9、10月はiPhoneが約15%のシェアを獲得した計算となり、その好調ぶりが鮮明となった。

アップルにとって中国はアメリカに次ぐ重要市場で、会社の業績を左右する。

北京

中国でiPhone 11が発売された9月20日、北京のアップルストアで開店を待つ人々。

. REUTERS/Jason Lee

2018年9月に発売されたiPhone XSシリーズは中国市場で「これといったイノベーションがないのに高すぎる」と酷評され、米調査会社IDCによると10〜12月の中国でのiPhone出荷台数は前年同期比2割近く減少した。

2019年年明けには中国での不振を理由として、2019年10〜12月の業績を下方修正。アップルが四半期決算発表前に売上高見通しを下方修正するのは2007年のiPhone発表以来初めてで、市場に「アップルショック」を引き起こした。

iPhoneを製造する世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)も業績不振に陥り、大規模リストラを余儀なくされた。

iPhone 7と8のユーザーが買い替えに動く

2019年に入っても、米中貿易摩擦でアメリカの規制を受けたファーウェイに同情が集まり、iPhoneからファーウェイに乗り換えるユーザーが続出するなど、中国市場でアップルへの逆風は続いた。

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だが、9月に発表したiPhone11シリーズは2018年発売のiPhone XSシリーズと価格が同水準かむしろ割安で、中国のアップルユーザーにとって、買い替えの絶好機と映った。

北京の会社員男性(24)は、「自分の周りでは、iPhone XSには手が出なかったiPhone 7とiPhone 8シリーズのユーザーが一気に動いた」と話した。

特に新色となったiPhone 11 Proのミッドナイトグリーンは予約段階から人気が殺到し、在庫切れが起きるほどだった。

11月11日の独身の日セールでもiPhone 11シリーズの人気は持続し、アリババのECサイト天猫(Tmall)のアップル公式ストアによると、開始10分で前年の1日分の7倍が売れたという。

Canalysは10月30日に公表したレポートで、「アップルはこの数年の中国での不振を経験し、より真摯に市場ニーズに対応するようになった。中国人ユーザーが重視するカメラ機能の特色を打ち出し、何よりも値ごろ感を訴える作戦に切り替えた」と分析している。

iPhone 11シリーズは5G非対応であることが販売の足かせになるとも懸念されたが、実際にはまだ5Gが使えるエリアはごく一部であり、さして問題にならなかった。

(文・浦上早苗)

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