木星の衛星エウロパで水蒸気を検出…生命の存在を確認するために探査機を打ち上げ

NASAの探査機エウロパ・クリッパーの想像図。

NASAの探査機エウロパ・クリッパーの想像図。

NASA/JPL-Caltech

  • NASAは、木星の衛星エウロパの表面で初めて水蒸気を検出した。
  • エウロパは、氷の下の海で生命を宿しているかもれない。エウロパは地球の2倍の水を保持している可能性がある。
  • 今後、NASAの探査機がエウロパを訪れ、地球外生命体についての手がかりを探すことになる。
  • 以下は、エウロパとその海、そして地球外生命の可能性についてわかっていることだ。

氷に覆われた木星の衛星は、ますます生命をその海に宿しているように見える。

11月18日、NASAはエウロパと呼ばれる木星の衛星で、水蒸気を初めて、公式に測定したと発表した。この発見は、エウロパが生命に適した材料をすべて備えていることを示している。適切な物質と火山活動を考えると、エウロパの地表下の塩水の海の奥深くに生命が誕生する、あるいはすでに誕生している可能性はある。科学者たちが宇宙の生命を探すためにエウロパに注目している理由はここにある。

NASAは初めてエウロパで水蒸気を測定したことを発表した

1990年代後半にNASAの探査機ガリレオによって撮影されたエウロパ。

1990年代後半にNASAの探査機ガリレオによって撮影されたエウロパ。

NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が水蒸気を初めて観測したのは2013年で、間欠泉から噴出した可能性がある。しかし、これまで直接測定した者はいなかった。

この発見は、エウロパに生命が存在する手がかりの一つだ

エウロパから噴出する水蒸気の想像図。

エウロパから噴出する水蒸気の想像図。

NASA/ESA/K. Retherford/SWRI

「生命に必要な3つの要素のうち2つ、元素(炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄)とエネルギー源は、地球以外にも太陽系のいたるところに見られる。しかし3つ目の液体の水は地球以外では見つからない」と、研究を主導したNASAの惑星科学者ルーカス・パガニーニ(Lucas Paganini)は、プレスリリースで述べた。

「科学者は、まだ液体の水を直接検出していないが、その次の最良なもの、水蒸気を発見した」

科学者たちは長い間、エウロパが表面の氷の下に海があるのではないかと疑ってきた

科学者たちは、エウロパの海は地球の2倍の水を含んでいると考えている。

科学者たちは、エウロパの海は地球の2倍の水を含んでいると考えている。

Jenny Cheng and Skye Gould/Business Insider


液体の水はありそうだが、それだけでは十分ではない。 生命が発生するためにはいくつかの化学元素とエネルギー源が必要だ

氷の下の海を探索する水中ロボットの想像図。

氷の下の海を探索する水中ロボットの想像図。

NASA/JPL-Caltech


必要な化学物質は豊富にあるようだ。科学者たちは、エウロパが炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄で形成されていると考えている

1000km離れたクレーターからやってきた氷の粒子で覆われたエウロパの地殻。 水蒸気に含まれた鉱物は表面を赤褐色にする。この写真の色は、視認性のために強調されている。

1000km離れたクレーターからやってきた氷の粒子で覆われたエウロパの地殻。 水蒸気に含まれた鉱物は表面を赤褐色にする。この写真の色は、視認性のために強調されている。

NASA/JPL/University of Arizona

小惑星の衝突は、さらに多くの、生命を生み出す要素をもたらした可能性がある。

6月、科学者たちはエウロパの氷の表面に塩化ナトリウム(食塩とも呼ばれる)を発見した。これは、エウロパの海が以前考えていたよりも地球の海に近いことを示している

エウロパの地殻の想像図。

エウロパの地殻の想像図。

NASA/JPL-Caltech

この塩と海底の岩石との化学反応によって、生命の形成に不可欠な窒素化合物が生成される可能性がある。

しかし大きな問題がある。生命を育む太陽光がエウロパでは地球の25分の1しかない

おそらく凍っているであろうエウロパの表面の想像図。

おそらく凍っているであろうエウロパの表面の想像図。

NASA/JPL-Caltech

最も極端な条件に適応した、地球上で最も耐久性のある生物でさえ、エウロパでは生き残れないだろう。

木星の周りを回る楕円形の軌道のおかげで、エウロパの海は地表よりもずっと暖かいかもしれない

NASAのボイジャー1号は1979年2月13日、木星と、その2つの衛星、イオ(左)とエウロパ(右)を撮影した。

NASAのボイジャー1号は1979年2月13日、木星と、その2つの衛星、イオ(左)とエウロパ(右)を撮影した。

NASA/JPL

我々の月と同じように、エウロパは同じ側が常に木星に向いている。エウロパが楕円軌道を進むにつれて木星からの距離が変化するため、エウロパの両側の重力は規則的に大きくなったり小さくなったりする。この変化は潮汐と呼ばれる。

潮汐はエウロパを引き伸ばして、氷を砕き、内側から暖める摩擦を起こす

エウロパの断面図。木星によって両側で不均等に引っ張られ、潮汐が生じる様子を示している。

エウロパの断面図。木星によって両側で不均等に引っ張られ、潮汐が生じる様子を示している。

NASA/JPL

これがエウロパの地表下の海が凍るのを防いでいる。

潮汐によってエウロパのマントルが割れ、熱水噴出孔が形成される可能性がある。地球上では、このような噴出孔が熱を発生し、分子を引き裂き、化学反応を引き起こす

熱水噴出孔。

熱水噴出孔。

OAR/National Undersea Research Program (NURP); NOAA

地球の熱水噴出孔は、海水が地殻に染み込み、高温になって噴出している場所だ。

地球の生命はこの噴出孔の周りで誕生している。これらの生命は生きるために日光を必要としない

熱水噴出孔から出る液体は、ミネラルと硫化物が多く含まれているため、黒い煙のように見える。エビやカニが集まっている。

熱水噴出孔から出る液体は、ミネラルと硫化物が多く含まれているため、黒い煙のように見える。エビやカニが集まっている。

NOAA Office of Ocean Exploration and Research, 2016 Deepwater Exploration of the Marianas

陸上の食物連鎖は日光を糖に変換する植物に依存している。しかし深海の食物連鎖では、微生物が水素を糖に変換する。この過程では、光を必要としない。

エウロパの海に噴出孔があるかはまだ誰も知らない。NASAはエウロパ・クリッパー計画でこの疑問について調査する予定だ

NASAの宇宙探査機エウロパ・クリッパーのイメージ図。

NASAの宇宙探査機エウロパ・クリッパーのイメージ図。

NASA/JPL-Caltech

この探査機は、エウロパを45回周回する予定だ。NASAは2025年中の打ち上げを計画している。

探査機は、エウロパの水蒸気プルームを通過して、海に何があるかを分析する予定だ

木星の衛星エウロパの氷で覆われた地殻から塩水が噴出している様子の想像図。

木星の衛星エウロパの氷で覆われた地殻から塩水が噴出している様子の想像図。

NASA

レーダーで氷の厚さも測定し、エウロパの地表から25kmぐらいまで接近したときに地表下の水をスキャンする。

この調査は、将来、探査機をエウロパの表面に着陸させ、氷の下を調べる準備をするのに役立つかもしれない

探査機を着陸させる構想を描いた図。

探査機を着陸させる構想を描いた図。

NASA/JPL-Caltech

将来の探査機は、深海の生命体の痕跡を探すために、エウロパの地表から10cm下を掘削し、分析用のサンプルを採取する。

編集部より:初出時、エウロパ・クリッパーについて「NASAは2020年中の打ち上げを計画している」としておりましたが、正しくは「NASAは2025年中の打ち上げを計画している」です。お詫びして訂正致します。 2019年11月25日 9:20

[原文:NASA just detected water vapor on a moon of Jupiter — yet another clue that Europa's hidden ocean could hold alien life

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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