パナソニックと「タップル誕生」が異色タッグした理由。「入国ゲートの顔認証技術」のAPI提供開始

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タップル誕生のユーザーは21歳〜24歳の利用が多いという。

撮影:伊藤有

恋活アプリとパナソニック コネクテッドソリューションズ(CNS)との「異色のタッグ」が実現した。

趣味を通じた出会いを支援する恋活アプリ「タップル誕生」の運営元マッチングエージェントは11月25日、パナソニックCNSの顔認証技術APIを導入することを発表した。

タップル誕生は、会員数500万人を抱える大手マッチングアプリのひとつ。ユーザーがより安心、安全に使うために、パナソニックCNSの持つ顔認証技術を活用する。12月中盤から、遅くても1月中には、顔認証APIが組み込まれたアプリとなる。

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会員数500万人を抱える恋活アプリ「タップル誕生」は顔認証技術を活用した本人認証を導入する。

タップル誕生のホームページより

マッチングエージェントはサイバーエージェントの100%子会社。関係者によると、本人確認認証を導入を検討するなかで、同社の合田武広社長がパナソニックCNSの顔認証技術に興味を持ち、パナソニックCNSへ話を持ちかけた結果、導入が決まったという。

そもそもパナソニックCNSの顔認証技術は既に空港の入出国ゲートに取り入られるなど実用化されている技術。パナソニックCNSとしても「より広く顔認証技術を使用してもらいたい」という狙いがあり、API提供サービスの第一弾としてタップルとの取り組みが決まった。

なお、パナソニックCNSは11月25日から正式に顔認証技術のAPI提供を開始している。

入出国ゲートの「顔認証技術」で成りすまし防止

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提供:パナソニックCNS

タップル誕生は、人気恋活アプリのひとつで、21歳から24歳がボリュームゾーンという。

顔認証の仕組みとしては、ユーザーがタップル誕生で登録する自動車免許証など「公的身分証」の写真と、「アプリ内でセルフィー(自撮り)をする」ことで本人確認する。既存のユーザー、新規ユーザーいずれも本人確認認証をできるようにするが、まずは任意での本人認証の形をとる。

顔認証による本人確認を行うと、アプリ内のプロフィールにマークがつく。これによって、互いに連絡をとりあう人物が成りすましではなく本人である、という安心感を確保する。

なお、本人認証マークがあることでマッチングの際に優位性が生じるかというと「それはないです(笑)」(担当者)。あくまで、より安心した雰囲気作りのための導入だ。顔認証は本人確認登録の時のみで、アプリ使用のたびのログイン認証では使われない。

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提供:パナソニックCNS

また、顔認証の際に撮った顔画像のデータは、サイバーエージェントのセキュア空間で保存し、一定期間後に削除する。パナソニックCNS側にも顔画像データは送られる。ただ、顔の特徴だけを抽出し保存はするが、顔画像自体は一定期間で削除する。

マッチング社の担当者によると、既に公的身分証の確認や沖縄にあるコールセンターでの24時間監視・管理を行うことで、問題のあるメッセージの監視や、成りすましなどを取り締まっている。

タップル誕生には通報機能があるが、そういった取り締まりを行っても、通報機能による件数全体のうちの10%は実際に本人ではない、成りすましだという。そこで、ユーザーが安心して使える環境づくりのため、顔認証導入を決めた。

今後は金融決済アプリでも?パナソニックCNSの顔認証技術

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パナソニックの江坂忠晴コネクティッドソリューションズ社副社⾧兼イノベーションセンター所⾧(左)とマッチングエージェントの合田武広社長。

提供:パナソニックCNS

いわゆる出会い系、マッチングアプリへの技術提供は、パナソニックCNSとしても珍しい取り組み。とはいうものの、社内で論議は呼ばなかったという。

パナソニックCNSにとって、API提供のビジネス的側面は、利用側から顔認証の際の登録数や認証回数に応じて料金を受け取る形(基本料金は不要)。「他社の半額以下で安く導入できる。まずは使ってもらうことが重要。使ってもらうことで市場も広がる」(担当者)ようにすることで、より顧客を増やしていく。

今回の恋活アプリでの使用だけでなく、今後考えられる業界として、金融業界での導入が考えられる。

中国の決済アプリ大手「Alipay(アリペイ)」は顔認証による決済を既に導入している。パナソニックCNSの担当者は、日本の決済アプリでの導入について「いろいろなお客様からお声がけはある」と否定はしなかった。

(文・大塚淳史)

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