映画「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーン。
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- ティファニーはLVMHに162億ドル(約1兆7800億円)という記録的な金額で買収された。
- ティファニーは、1837年に高級宝飾品や文房具の販売店として創業して以来、2世紀近くにわたってアメリカの文化と社会に愛されてきた。
- ティファニーがその地位を築いていく様子を写真で振り返る。
アメリカで最もスタイリッシュで影響力のある人々に、2世紀近くに渡って装飾品を提供してきたティファニーが、世界最大のファッション企業体のLVMHに買収され、歴史に名を残すことになった。
LVMHは11月25日、ティファニーを162億ドル(約1兆7800億円)という途方もない金額で買収する契約を結んだと発表した。今月初めにLVMHが145億ドル(約1兆5900億円)の買収提案を行い、ティファニーが受け入れるかどうかをめぐって憶測が飛んでいた。これは高級宝飾品部門で競合するケリング(Kering)とリシュモン(Richemont)に対する競争力を高めるため、ティファニーをLVMH傘下のブランドに加えるという戦略的買収だ。
ティファニーは1837年にニューヨークの文具・雑貨店として創業し、エイブラハム・リンカーン、メアリー・トッド・リンカーン大統領夫人などアメリカの歴代大統領御用達の宝石商となった。今日のダイヤの婚約指輪を贈るという慣習は、1886年にティファニーが提案したものだ。
やがてティファニーは贅沢なライフスタイルの代名詞となる。その後、「ティファニーで朝食を」のような映画や、ハリウッドのエリート層に愛された赤いじゅうたんの飾りなど、大衆文化に欠かせないものへと進化した。現在、同社は世界中に200以上の店舗を持ち、熱狂的なファンを抱えている。
ティファニーが今日のような高級ブランドになった経緯を詳しく見てみよう。
ティファニーは、25歳のチャールズ・ルイス・ティファニーとジョン・B・ヤングによって1837年に設立された。ティファニーは父親から1000ドルを借りて店を開いた
1899年のティファニー。
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Source: Tiffany & Co.
ティファニーは銀製品に特化し、純度92%のイギリスの標準的な製法でその華やかな製品を生産していることで知られた
ティファニー製の高級銀製品が置かれたドレッシングテーブル。
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初期の新聞広告
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1867年のパリ万国博覧会で銀職人の技能の大賞を受賞した最初のアメリカ企業になった後、有名になっていった
1867年パリ万国博覧会でのティファニーの展示を描いた絵。
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Source: Tiffany & Co.
ティファニーは1878年に世界最大のイエローダイヤモンドを手に入れて、引き続き注目を集めた
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ティファニー・ダイヤモンドと呼ばれるこの宝石は、南アフリカのキンバリー鉱山で発見され、宝石学者のジョージ・フレデリック・クーンツ(George Frederick Kunz)博士によって287.42カラットから82面カットの128.54カラットにカットされた。
Source: Tiffany & Co.
ブルーブックは、アメリカ全土に配布された最初のカタログであり、ティファニーのブランドカラーの起源だ
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1886年、ティファニーは婚約指輪にダイヤモンドを贈る提案をした
1936年発行のヴォーグ誌。モデルはティファニーの婚約指輪をしている。
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Source: Tiffany & Co.
ヴォーグ誌の別のモデルがティファニーの婚約指輪を披露している
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1900年代初頭には、ティファニーはすでに政治家や有名人の間で愛されていた
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フランクリン・ルーズベルトは、1904年に妻エレノアへの婚約指輪をティファニーで購入した。それはたちまち、ヴァンダービルト家、アテスター家、ホイットニー家といった有名な上流家庭の必需品となった。
Source: Tiffany & Co.
その後の数十年間で、ティファニーは世界中の貴重な宝石を顧客に紹介することで「世界のダイヤモンド権威」としての地位を確立した
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5番街の店はマンハッタンの人気スポットになった
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ティファニーはまもなく、著名なコラムニストで編集者のダイアナ・ヴリーランドらアメリカのファッショナブルな女性の象徴になった
1955年、写真家のリチャード・アヴェドン(Richard Avedon)とダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)が、ティファニーで撮影をしている
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まもなく、雑誌でティファニーの宝石に身を包んだモデルを見ない日はなかった。ティファニーは至るところにあった。グラマー誌から…
1958年の「グラマー」に掲載されたティファニーのジュエリーを身につけたモデルたち
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…マドモワゼル誌まで
1963年発行の「マドモワゼル」で、俳優のショーン・コネリーと一緒にティファニーでポーズをとるモデル。
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ティファニーはまた、ファーストレディのジャクリーン・ケネディのお気に入りで、写真では、ジョン・F・ケネディ大統領が息子の誕生に際してプレゼントしたティファニーのブローチをつけている
Leonard McCombe/The LIFE Picture Collection via Getty Images)
この作品はジャン・シュルンベルジェ(Jean Schlumberger)によってデザインされ、現在ボストンのジョン・F・ケネディ・ライブラリーに所蔵されている。
Source: InStyle
ティファニーは、1961年の映画「ティファニーで朝食」で大衆文化の象徴となった
Paramount Pictures
トルーマン・カポーティ(Truman Capote)原作、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)主演の「ティファニーで朝食(Breakfast at Tiffany's)」は、ホリー・ゴライトリー(Holly Golightly)の社交界での生活を描いたロマンチックコメディーだ。
映画化を記念して、創設者チャールズ・ルイス・ティファニーのひ孫であるヘンリー・B・プラットは、オードリー・ヘプバーンにティファニーのネックレスをつけた
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「ティファニーで朝食」の題名通り、店舗の内外がいくつものシーンで登場する
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ティファニーはミア・ファロー主演のスリラー映画「ローズマリーの赤ちゃん」(1967年)にも出演している。このシーンでは、ファローがティファニーを訪れ、誕生カードを注文する
ティファニー店内のセットで、ミア・ファロー(Mia Farrow)が打ち合わせをしている。
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1967年、ティファニーはNFLスーパーボウルの勝者に贈られるビンス・ロンバルディ・トロフィーのデザインを依頼された。以来毎年、トロフィーを作っている
Joe Schildhorn/Patrick McMullan via Getty Images
その後の20年間で、ジャン・シュルンベルガーをはじめとする、ジュエリーデザインに独自の輝きをもたらす新しいデザイナーたちが活躍した
仕事中のジャン・シュルンベルガー(Jean Schlumberger)。1971年のヴォーグ誌。
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エルサ・ペレッティは1970年代に参加し、「自然な形に基づく上品で簡素さのあるデザイン」をもたらした
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Source: Tiffany & Co.
パブロ・ピカソの末娘、パロマ・ピカソは1980年代にティファニーにやってきた。大胆で派手な作品でよく知られていた
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1980年代、ティファニーは香水などの新しい分野に進出し始めた
1987年、モデルのキム・アレクシス(Kim Alexis)がティファニーの香水をマスコミに発表した。
Yvonne Hemsey/Liaison
2000年代にも、ティファニーはヴォーグ誌の編集者アナ・ウィンターをはじめとするファッション界のエリートの間でスタンダードな存在であり続けた
アナ・ウィンター(Anna Wintour)は、2005年のニューヨーク・ファッション・ウィークにティファニーで行われたショーに出席した。
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ハリウッドでも依然として存在感を保っている
ビバリーヒルズで行われた2006年のティファニーのイベントでのエレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres、左)とポーシャ・デ・ロッシ(Portia de Rossi)。
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2012年、ティファニーは創業175周年を迎えた
REUTERS/Carlo Allegri
今日でもティファニーは、レッドカーペットの上でティファニーのデザインを身につけているところを常に見られるハリウッドスターを始めとしたアメリカ人から愛され続けている
Dimitrios Kambouris/Getty Images for Tiffany & Co.
現代では、ティファニーも、カフェ併設店などの新しい形態を試みている
Stefanie Keenan/Getty Images for Tiffany & Co
加えて、ティファニーは、エル・ファニングのようなハリウッドの新しいスターでブランドをアピールしている
Nicholas Hunt/Getty Images for Tiffany & Co.
LVMH傘下となったティファニーの将来を語るのは難しいが、この有名な宝飾店には少なくともあと100年はその輝きが期待できるだろう
REUTERS/Arnd Wiegmann
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)