遺伝子検査をして先祖が暮らした場所へ旅する「ヘリテージ旅行」が人気に

Luxury Travel Magazineは、2020年にはヘリテージ旅行がホットな旅行トレンドの1つになると予想している。

Luxury Travel Magazineは、2020年にはヘリテージ旅行がホットな旅行トレンドの1つになると予想している。

Xurxo Lobato/Getty Images

  • Business Insiderは、遺伝子検査サイトのAncestryDNAと23andMeの売上高が減速していると報じた。
  • このような状況は今後とも続くと予測されているが、自らのルーツを訪ねるヘリテージ旅行は盛り上がりを見せている。
  • 2018年と2019年には、Airbnbやキュナードといった企業がヘリテージ旅行に参入し、遺伝子検査の結果に応じた旅行を提案している。
  • Luxury Travel Magazineは11月、ヘリテージ旅行は「2020年に急速に発展する分野の1つとなる」と予想した。
  • ヘリテージ旅行は、意義深い旅を求めている人々の選択肢の一つとなっている。

過去10年以上に渡って、多くの人々が自らのルーツを探ろうと遺伝子検査キットを利用した。

この業界をリードする23andMeとAncestryDNAは、それぞれ2007年と2012年にサービスを開始し、1000万人1500万人のユーザーを獲得した。

遺伝子検査の方法は簡単だ。キットで送られてきたチューブに唾を吐き出し、返送する。すると数週間以内に先祖に関する詳しいレポートが送られてくる。23andMeの場合は遺伝的素因についても教えてくれる。検査キットは現時点でAncestryDNAは59ドル(約6500円)から、23andMeは79ドル(約8700円)からと手頃な値段だ。

しかし、自宅でできる遺伝子検査の黄金期は終わりに近づいているようだ。Business Insiderは11月27日、この100ドルもしない遺伝子検査へのニーズが横ばいになっていることを報じた

「流行は終わった」と投資調査会社エバーコアISI(Evercore ISI)のアナリスト、ルーク・セルゴット(Luke Sergott)氏は、Business Insiderに語った。多くの人がすでに検査を受けており、次に何が来るのかを探しているところだという。また、プライバシーと倫理に関する懸念も、検査キットの売上減少の要因だろうとしている。

一方、遺伝子検査から派生したもう1つのトレンド、「ヘリテージ旅行」に減速の気配は見られない。ヘリテージ旅行とは、先祖が暮らしていた場所を訪ねる旅で、ますます盛り上がりを見せている。

2018年と2019年はヘリテージ旅行にとって重要な年だった

先祖を辿る旅は、数年前から人気が高まっている。

2017年の秋、ツアー会社のGo Ahead ToursとAncestryDNAが提携し、厳選されたホテルに泊まり、系図学者が同行するヘリテージ旅行を提供した。2018年には豪華なクルーズ船を運航するキュナード(Cunard)が、AncestryDNAとの連携のもと「系図の旅」シリーズの提供を開始した。最初の旅はイギリスのサウサンプトンからニューヨークのエリス島に行く、7泊のクルーズ旅行だった。

そして2019年5月、民泊最大手のAirbnbは、23andMeと提携してユーザーのルーツとなる国でのおすすめの過ごし方を紹介する機能を加えたことを発表した。

遺伝子検査に触発された旅行は、ますます人気が高まっている。Airbnbは23andMeと提携した際のリリースの中で、次のように述べた。

「ルーツを辿る旅でAirbnbを利用する旅行者数は、2014年から500%増加した。このうち78%はカップルあるいは一人旅で、このような旅行が自らを振り返るような体験、あるいはパートナーと共有したい大切な瞬間ととらえられていることを示唆している」

他の旅行会社もこの流行に乗り、ルーツに基づく新たな旅を提供している。少人数グループ旅行を扱うクラシック・ジャーニーズ(Classic Journeys)は、23andMe、AncestryDNA、その他の遺伝子検査機関による検査結果にマッチする旅行を提供している。豪華な旅を扱うコンテクラブ(Conte Club)もその1つで、約13万2000ドル(約1400万円)の料金がかかる数週間にわたる旅を企画している。

ワルシャワでのホテル建設ラッシュ、メイフラワー号の航海を辿るクルーズ旅行も

Luxury Travel Magazineによる今後10年の予想によると「ヘリテージ旅行は2020年代に急速に発展する分野となるだろう」としている。

Airbnbによると、ヘリテージ旅行に高い関心を示すのは、「移民の歴史をもつ」場所からの旅行者だという。アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国、イギリス、フランス、韓国、ニュージーランド、台湾、ブラジルなどだ。

多くのポーランド人が東ヨーロッパを離れた第二次世界大戦の終戦75周年を控え、ポーランドはヘリテージ旅行で訪れる人の増加に備えている。俳優のロバート・デ・ニーロが所有するノブ・ホテル新たな支店を含む12軒以上のホテルが、2020年にはワルシャワでオープンする予定だ、とLuxury Travel Magazineが報じている

一方キュナードは、別の移民に関する記念日に目を向けている。メイフラワー号の航海400周年記念だ。同社は2020年8月、イギリスの清教徒が新天地へと旅立った足跡を辿るクイーン・メリー2でのクルーズ旅行を提供する。

Airbnbによると、60代から90代の旅行者は「大多数がヘリテージ旅行を選ぶ」としている。この傾向は若い世代にも影響を与えているかもしれない。

「若い世代にとっては、家族の歴史を探るためにインターネットで調べたり、マイクロフィルムを読んだりするよりも、(家庭でできる遺伝子検査は)ずっと親しみやすい」と、アリゾナ州立大学教授でJournal of Heritage Tourismの編集者でもあるダレン・ティモシー(Dallen Timothy)氏は4月、Business Destinationsに語った

「この傾向は若い世代を惹きつけ、ヘリテージ旅行の市場を拡大させるだろう」

ヘリテージ旅行で旅の意義を探求する

旅行者が旅先で求めることは、その地域ならではの体験を得ることから、自らを根本的に変える体験をすることに変わってきていると、サファリでの豪華ツアーを提供するWilderness Holdingsのビジネス・ディレクター、クリス・ロシュ(Chris Roche)氏は、Business Insideに語った

「“体験型(Experiential)”は、5年前まで流行っていたが、それがここ2年ほどは“変革型(transformational)”に移り変わってきている」とロシュ氏。

このように旅の意義について考えることが、旅行の定義を変えていると、Business Insiderではグローバルウェルネスサミットでの2018年版トレンドレポートを引用しながら指摘した。

AncestryDNAには、多くのユーザーから遺伝子検査の結果を活かしたいという声が寄せられていると、Go Ahead Toursのビジネス・ディベロプメント及びパートナーシップ・ディレクター、ロビン・ハウク(Robin Hauck)氏は2018年冬、NBCに語った

「自分のルーツとなる場所と、そこで祖先がどのように暮らしていたのかを鮮やかに思い描けるようにすることは、非常に大切だ。それによって自らが確立される感覚を得ることができる」

旅行誌コンデナスト・トラベラー(Conde Nast Traveller)によると、コンテクラブのレベッカ・フィールディング(Rebecca Fielding)CEOは、ハウク氏の言葉に同意し、ヘリテージ旅行は自らのアイデンティティに深く入り込んでいくことだと指摘した。

「自らの過去への旅は、複雑で感傷的なプロセスになるかもしれないが、何よりも意義深い旅となるだろう」


[原文:The golden age of at-home genetic testing may be over — but it's still a critical part of one of the biggest trends in how people will be traveling in 2020

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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