「人生100年、うれしくない」が7割の日本。「生きがいは1日15分の使い方で見つかる」

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ボーク重子

撮影:今村拓馬

BIGLOBEが20〜60代の男女1000人を対象に行った「お金に関する意識調査」によれば、「人生100年時代をどう思うか」という質問に対して、7割以上が「あまりうれしくない」「うれしくない」と回答。特に20代ではその理由として、「未来が楽しそうではないから」と答えた人が実に4割にのぼった。

この現状に対し、「全米最優秀女子高生」の母で、現在はライフコーチとして活躍するボーク重子さんは「人生は自分で楽しくしないかぎり、誰もあなたの人生を楽しくはしてくれない」と指摘する。

では、人生を楽しく「する」ためにはどうしたらよいのか、詳しく話を聞いた。

清水の舞台から飛び降りるスキル

——ボークさんは、30歳を目前にして恋人にフラれたことがきっかけで人生を見直し、かねてからの夢だったアートの世界へ飛び込むために仕事を辞めてロンドンへと旅立ったそうですね。しかし多くの場合、「いつかやりたい」というパッションはあっても、背中を押されるような出来事が起きないためになかなか一歩を踏み出せないものです。

そうですね。まず、期限のない夢には具体的な期限をつけること。そうでなければ「いつか」は永遠にやってきませんから。

でも実は、転機によって突き動かされるのは、いってみれば「瞬発力」でしかないんです。大切なのは、転機となる出来事が起こった後に、どう行動するか。

例えば、清水の舞台から飛び降りたら「なりたい自分」になれるとします。そこで勇気をもって舞台の端まで行ってみる人はきっとたくさんいるでしょう。でも、ほとんどの人がそこでやめてしまうんです。飛び降りたら怪我をするかもしれないし、最悪の場合は死んでしまうかもしれませんからね。

ボーク重子

何かをやる際、必要なのは「勇気」だけではなく「スキル」。ライフコーチの役目はその「スキル」を教えること。

撮影:今村拓馬

そこで必要なのは、勇気だけじゃなくて「スキル」。清水の舞台からどうやって降りて、確実に着地するのか。その方法が「スキル」なんですよ。

何かをやりたい、こういう自分になりたいと思った時に、意思の力だけでできることは限られています。今の私の仕事である「ライフコーチ」というのは、端的に言うと、その「スキル」を教える仕事なんです。

まずは「3週間の習慣づけ」を

——日本ではライフコーチという存在にまだ馴染みがありませんが、どういった存在なのでしょうか。

たとえて言うなら、ジムのパーソナルトレーナーのような存在です。自分1人で筋トレをするよりは、トレーナーと相談しながら目的に合わせてプログラムを組む方が確実に筋肉がつきますよね。

私はライフコーチになる前は、子育てをしながらアートギャラリーの仕事をしていました。自分1人でやっていたので、朝も晩も関係ないような働き方をしていて、子育てはお手伝い状態。仕事は好きで成功もしていたけれど、「私はいったい何のために結婚して、母親になったんだろう」という迷いのせいで、仕事に対する満足感はありませんでした。

そこで試しに、ライフコーチにお世話になってみたんです。そして分かったのが、「自分が求めているもの」と「得ようとしているもの」がまったく違ったということ。

ギャラリーの仕事では、「売り上げを増やす」「ナンバー1になる」といった、どうしても数値的なことに目が行きがちでした。でも私にとって本当に大事だったのは、自分が楽しいと思える「自分の時間」「家族との時間」「友達との時間」であって、お金や社会的名声ではなかったということに気づきました。

ボーク重子

自身もライフコーチにお世話になり、「自分が求めているもの」と「得ようとしているもの」の相違に気がついたという。

Shutterstock

——ライフコーチが教える「スキル」とは、どのようなものなのですか。

例えば、大きな夢や目標にたどり着くまでの道のりを細分化する。自分でできることで小さく夢を見て、小さな成功を重ねるというのもスキルです。

それと、自分自身に対する話しかけ方もスキルの一つ。私たちは“言い訳と自分いじめの天才”なので、「できない」と言うのは簡単なんです。でもそこで、自分に向けて「何か方法があるはず」など、否定語から肯定語に話しかけ方を変えてみる。

このようにいろいろなスキルがあるわけですが、スキルなのでやはり習慣化しないと身につきません。初めの3週間は意識的にやる必要があります。でも3週間続けるとだんだん習慣化されてきて、3カ月経つ頃には「やらないと落ち着かない」と思えるくらいになります。朝起きたら歯を磨かないとなんだか気持ち悪いでしょう? それと同じ。

やればやるほど、経験を重ねるほどに熟練していくもの。自分自身を教育し直して、思考回路を変えていくことが重要です。

「孤独は怠惰」と一緒

ボーク重子

この先も長く続く人生。パッションを見失いそうになったときはどうすればいいのだろう。

撮影:今村拓馬

——「人生100年時代」と言われていますが、長い人生の中では、これまでパッションを持てていたことに、それほどの気持ちが持てなくなってしまうこともあると思います。そんな時はどうすればよいのでしょうか。

「これまで好きだったことに興味がなくなってしまって、何をしたらいいかわからない」。これもよく聞く悩みですね。

私の友人がとてもうまいことを言っていて、「孤独は怠惰だ」と。「孤独だ」と思ったら、家族や友だちに電話をするとか、SNSでつながってみるとか、外に出てみるとか、孤独でなくなる方法はいくらでもある。それなのに、何もやらずに「孤独だ」と言っているのは結局、何もやっていないだけだって。

それと同じで、次のパッションを見つけるにも、まずは自分で行動しなければいけません。自分で見つけるぞと思わなかったら、誰も見つけてはくれませんから。自分を助けてあげられるのは自分だけなんです。だから、パッションがなくてつまらないな、寂しいなと思ったら、やはり自分で探しにいくしかありません。

私がパッションを見つけるうえですごく重要だと思うのは、誰か新しい人に会ってみたり、どこか新しいところに行ってみたり、今までやってなかったことをしてみること。

ライフコーチの仕事では、「やりたいことを20個書き出してください」と、よくアドバイスしています。5個くらいなら誰でも簡単に思いつきますが、20個となると、常識や固定概念の枠を外さないと思い浮かびません。そうやって考えていくと、意外とその中に面白い答えが見つかって、やってみようという気になります。

人生は自分で楽しくするもの

ボーク重子

パッションを見つける第一歩は、1日15分の「自分の時間」を確保すること。

撮影:今村拓馬

——パッションを見つけるために一番大切なこととして、ご著書の中で「まずは1日15分、自分の時間を確保する」というアドバイスをされていますね。日々忙しくしていると15分さえもなかなか確保しづらいものです。

15分の自分時間を確保するうえで一番いいのは、「習慣化」してしまうことですね。それが一番やりやすいのは、実は朝なんです。夜に15分の時間を確保するのはけっこうハードルが高いんですよ。人との予定もあるでしょうし、疲れていることもありますからね。だから、今より朝15分早く起きて、同じ時間、同じ場所に行って15分過ごす。これがお勧めです。

特にお母さんたちがよくおっしゃるのは「その15分すら確保できない」と。お母さんって、自分の時間をすぐ誰かに差し出してしまうんですよ。でもそれではダメ。これからは「ママは行方不明」を標語にして、とにかくその15分だけはいなくなってください(笑)。大丈夫、人は慣れる生き物なので、「ママはいつもこの時間帯にいなくなる」となれば、子どもも慣れますから。

——人生100年時代。幸福感に満たされて最期を迎えるためにも「今」できることは何でしょうか。

最近、BIGLOBEの「お金に関する意識調査」の結果を見て驚きました。20〜60代の男女1000人を対象にした調査で、「人生100年時代をどう思うか」という質問に対して、7割以上が「あまりうれしくない」「うれしくない」と。特に20代の4割が「未来が楽しそうではないから」と答えていることが気になります。

図表1

(出所)BIGLOBE「お金に関する意識調査」(調査期間:2019年9月4日~9月9日)調査結果より

図表2

(出所)BIGLOBE「お金に関する意識調査」(調査期間:2019年9月4日~9月9日)調査結果より

でも、人生は自分で楽しくしないかぎり、誰もあなたの人生を楽しくなんかしてくれないものです。そして人生を楽しんでいない大人を見て育った子どもたちも、「人生なんて楽しくなさそうだな」と思ってしまうでしょう。

——なるほど、誰かに「楽しくしてもらう」ではなくて、自分が「楽しくする」んですね。ボークさんのお話を伺っていると、すべてのことは自分自身がコントロール可能なんだと気づかされます。

そう、すべてのことは自分でコントロールできるんです。だから今この瞬間に、仕事にしろプライベートにしろ、何かしら楽しいと思えることを見つけてほしいですね。

パッションがなかったら、100年の人生は長くてつらい苦役になってしまう。すべての人が自分なりの「パッション」を見つけて、それを大切に育んでいってほしいです。

(完)

ボーク重子

撮影:今村拓馬

(構成・岩本恵美、取材/編集・常盤亜由子)


ボーク重子:作家、ICF会員ライフコーチ。福島県出身、米・ワシントンDC在住。30歳目前に渡英、サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートにて修士号を取得。南仏の語学学校でアメリカ人である現在の夫と出会い、1998年渡米、出産。2004年にはワシントンDCにてアジア現代アートギャラリーをオープン。現在はライフコーチとして活躍中。一人娘は2017年「全米最優秀女子高生」コンテストで優勝している。

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