日産・内田新社長「できないことを“できる”と言わせる」負の企業文化の一掃誓う

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日産自動車の内田誠社長。12月1日付けで就任。

撮影:伊藤有

日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)が12月2日、神奈川県横浜市の日産自動車本社でCEO就任会見を開いた。

1日付けで就任した内田社長は冒頭、10分以上に及ぶ、決意表明をスピーチした。

ゴーン体制への反省、批判ともとれる言葉が多数あり、フランス自動車大手ルノーと三菱自動車とのアライアンスについても「お互いに利益がでるアライアンスでないといけない」と強調。日産を完全に傘下に収めたいとされるルノーへのけん制を匂わせる発言をした。

日産が11月12日に発表した上期決算(2020年3月期)では、営業利益が前年同期比85%減の316億円、最終利益654億円(同73.5%減)と大幅に落ち込んだ。1年前にカルロス・ゴーン元会長が逮捕され、2019年9月には西川廣人元社長も役員報酬問題で引責辞任と、立て続けにトップが離れた。

消費者イメージも決して良くない。内田新体制は流行語大賞にもなったラグビーワールドカップ日本代表の標語「ONE TEAM」を持ち出し、社員一丸となって、逆風に立ち向かうことを誓ったが、茨の道なのは確かだ。

不祥事続き、業績も厳しい現状

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日産自動車の内田誠社長。

撮影:大塚淳史

内田社長は冒頭、「まずこの1年、当社は大きな混乱をきたし、世間の皆さまをお騒がせしましたことを、厳粛に受け止めております」と詫びた。

2003年に商社から転職して入社した内田社長は、倒産寸前とも言われた日産が、2000年に社長に就任したゴーン元会長の下で、業績が急回復していた時期を体験している。

「アライアンス(提携関係)という経営面での新たなブレークスルーを起こし、1990年代の経営危機を乗り越え、再び成長軌道に戻すことに成功しました。決して経営戦略、事業戦略などに誤りがあったとは思いません」

「ゴーン氏の日産のリバイバルの考え方は、間違ってはいないと思う。昨今に関しては、経営とは別のことだと思っています」

「ゴーン時代」や「ルノーとの提携」そのものは否定しなかった。その一方で、

「しかし、その運営過程において、企業文化に関わる問題が生じてきたのではないかと私は思っています」

「 目標設定において、できないことを“できる”と言わせてしまう文化を、いつの間にか作り上げてしまった」

と、旧経営体制がもたらした負の企業文化に関しては、ストレートな表現で批判した。痛烈な反省、と言える。

内田新体制はグプタCOO、関副COOとの“トロイカ体制”

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左から、日産自動車の内田誠社長とアシュワニ・グプタ代表執行役COO兼CPO。

撮影:伊藤有

日産を取り巻く難局に対し、1日付けに発足した新体制は3トップで意思決定を進める“トロイカ体制”で取り組む。

アシュワニ・グプタ代表執行役COO兼CPOや関潤執行役副COOと論議しながら、業績立て直しやルノーとの提携関係についても取り組む。

特に、ルノー、三菱自動車との3社によるアライアンスは、内田社長が経営再建と同時に取り組む必要のある大きな課題の1つだ。日産を傘下に収めたいルノー側との駆け引きが今後も続くとみられる。

アライアンスについては質疑でも質問が相次いだが、内田社長は「日産の利益、三菱自動車の利益、ルノーの利益、お互いにとってメリットがあるような形でないといけない」と釘を刺した。

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左から、日産自動車の内田誠社長と関潤副COO。

撮影:伊藤有

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内田社長は前職の総合商社時代に、日産のフェアレディZに乗っていたとも語った。会見場にはたまたま、同車種が展示されていた。日産関係者によると、マニュアルミッション派のクルマ好きでもあるという。

撮影:伊藤有

「部下を信頼し、権限委譲を進め、役員・従業員全員が会社の方向性を自分のこととして捉えて取り組む、『ONE TEAM』の風土を醸成し、社員にとって透明性の高い業務運営を行います」

内田社長は、新経営体制の決意をこうした言葉で表現した。日産は果たして一丸となってスクラムを組んで、ラグビー日本代表同様に快進撃できるのか。連結従業員数約14万人のチーム日産を率いる内田「監督」の手腕が問われる。

(文・大塚淳史)

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