Oskar Falck/Inter IKEA B.V.
- イケアのデザイナーが、火星での生活をシミュレーションするために作られた火星砂漠研究基地で数日間生活した。
- イケアが当初デザインしたのは、基地という狭い空間に合う家具だった。
- 現在では、同社のさまざまな家具を使い、基地内部の改装に協力している。
ユタ州の砂漠の奥深くにある小さな建物で、科学者たちが火星での生活をシミュレーションしている。そこで使われている家具は、我々がよく知っているメーカーのものだ。
イケア(IKEA)の発表によると、同社は火星砂漠研究基地(Mars Desert Research Station)と協力して、この2階建ての住居に、将来的に火星の植民地でも利用できる空間効率のいい家具を提供する。
この基地には、6人の科学者チームが常駐しており、2週間は食糧、水、酸素を外部から補給することなしに生活できる。彼らは全地形対応の探査車を使って、基地周辺を詳しく調査したり、石のサンプル収集や大気の測定など、火星探査の「最終リハーサル」を行っている。
イケアは2年前から、同基地を運営する火星協会(Mars Society)と提携していて、同社のインテリア・デザイナー、クリスティーナ・レベンボーン(Christina Levenborn)が基地で数日間生活した。彼女はそこで過ごした体験を基に、狭い空間向けの家具をデザインした、とファスト・カンパニー(Fast Company)は伝えている。
イケアは現在、未来の火星居住者の生活をイメージするため、さまざまな家具を提供し、研究基地内部の改装を行っている。その内部を写真で見てみよう。
研究基地は直径わずか8ヤード(約7.3メートル)。火星の気候に耐えられる素材でできている
Oskar Falck/Inter IKEA B.V.
「動かしやすいキャスター付きの製品、座席にもテーブルにもなるスツールや重ねられる椅子といったスペースの節約ができる製品を持って行った」とイケアのインテリア・デザイナー、クリスティーナ・レベンボーンはコメントした
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研究者が目指しているのは、この施設で過ごす2週間の間、あたかも火星に住んでいるかのように活動し、持ち込んだ食料のみで生き延びること
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「フレキシブルで多機能な、狭い空間での生活環境に合った製品を使ってみた」とレベンボーンは言う
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この施設には研究室もあり、収集した石や大気のサンプルを調べることができる
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レベンボーンによると、軽くて丈夫な家具の必要性と同様に、丸みを帯びた壁はデザイン的な課題になったという
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「限られた空間で多くの人が作業しなければならない場合、重要なのは、立って仕事をするか、座ってするかに関わらず、全員のニーズに合わせて調節できること」
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火星で生き延びるための食料を栽培する温室もある
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施設を離れる際には、酸素ボンベを使う
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「クルー全員が寝起きのサイクルを同じにしなくてはならない。共有空間を最大化するためには必要なことだ。一人になりたい時には、ベッドに行って本を読めばいい」と火星協会のロバート・ズブリン(Robert Zubrin)会長は声明で述べた
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「ごく限られた空間での暮らしと、そこでの我々の製品の生かし方について、さらに学びたい」とレベンボーンは述べた。「火星における欠乏に備えてみることで、当たり前にある地球上のものが、実はごちそうだということに気づく」
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[原文:Ikea redesigned a tiny research station meant to simulate life on Mars — see inside]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)