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- アメリカでは、ニューヨークやワシントンD.C.、デンバー(コロラド州)といった主要都市でネット通販の商品の15%が最終的な届け先に到達していないと見られている。ニューヨーク・タイムズが報じた。
- ニューヨークでは、1日あたり9万個以上の荷物が消えていて、小売業者や配達業者を悩ませている。
ニューヨークやワシントンD.C.、デンバーといったアメリカの主要都市では、行方不明になる荷物の割合が増えていて、アマゾンなど小売業者にとって大きな問題となっている。
ニューヨーク・タイムズによると、都市部ではネット通販の商品の15%が途中で盗まれたり、物流の問題で最終的な届け先に到達していないと見られている。ニューヨークだけでも、1日あたり9万個以上の荷物が「説明なしに消えている」という。2015年から20%増えた。
アメリカ全体では毎日170万個以上の荷物が姿を消していて、その損失は2500万ドル(約27億円)相当にのぼると、同紙は報じている。
店側はオンラインで購入し、店頭で商品を受け取るオプションを提供したり、アマゾンなど小売業者は受け取り専用のロッカーサービスを導入するなどしているが、荷物が消えてなくなるのを防ぐには十分でないようだ。購入者側も、カメラ付きのインターホンを取り付けたり、届け先を職場や他の商業スペースに変更するなど、荷物が盗まれないようさまざまな戦術を使っているという。
途中でなくなったり、盗まれた荷物にどう対応するかは、企業によって異なる。だが、行方不明になった商品の補償は、間違いなくオンライン・ビジネスを手掛ける企業にとって、コスト面で頭痛の種になっている。また、商品の返品も店側にとっては痛手だ。コンサルティング会社、アリックスパートナーズ(AlixPartners)のレポートによると、オンラインの返品コストは、店頭での返品の2倍だという。
クリスマス商戦のピークを前にUPSは、12月中は1日あたり100万件の返品対応が生じるだろうとの見込みを示した。小売業者にとってはさらにストレスが増えそうだ。同社は、返品が1月2日に190万個に達するだろうと見ている。これは前の年より26%多い。
UPSのチーフ・マーケティング・オフィサー、ケビン・ウォーレン(Kevin Warren)氏は11月、「繁忙期のホリデーシーズンに向け、小売業者は準備を始めているが、返品対応もそのビジネスプランに入れておくべきだ」とプレスリリースの中で述べている。
もちろん、小売業者は荷物を盗まれないように身を粉にして働いているが、確実に荷物を受け取るために第3者のサービスを利用する客も増えている。ニューヨークでは「お金を余計に払ってでも、受取人の知り合いに荷物を届けてくれる」スタートアップが登場していると、ニューヨーク・タイムズは報じている。
(翻訳、編集:山口佳美)