地球温暖化が早産を招く…乳幼児の健康にも懸念、アメリカで毎年6万人以上の予測も

地球温暖化が早産に影響しているかもしれない

ihorga/Shutterstock

  • 新たな調査によると、暑さと早産の増加に関係があるという。
  • 1969年から1988年の間に、アメリカでは2万5000人を超える暑さに関連する早産があったことがわかった。
  • 早産児および低体重児は、呼吸器系などの健康への悪影響との関連性が疑われている。
  • 地球温暖化が続くと、極端な気温の日数が増加することが予想され、早産も増えると予測されている。

非常に暑い日が続くと、早産が増える。

これは「Nature Climate Change」誌に掲載された研究結果だ。この研究によると、アメリカの出産率は、気温が華氏90度(摂氏32度)に達した日に5%増加した。

研究の主執筆者で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の環境研究者でもあるアラン・バレッカ(Alan Barreca)氏によると、地球が温暖化し、極端な暑さの日が頻繁になるにつれて、早産が増える可能性が高いという。

1969年から1988年の間に、毎年平均2万5000人の子どもが暑さのために早産で生まれていた。バレッカ氏はBusiness Insiderに対し「気候変動の影響で、アメリカでは2100年までに年間4万2000人が早産が増えると予想される」と述べた。今世紀末まで早期産児の数は毎年6万7000人に達することになる。「最も驚いたのは、この毎年影響を受ける出生数だ」と彼は言った。

低体重児や早産児は、呼吸器系疾患のリスクが高く、乳児および小児の健康上の問題と関連している。

未熟児で生まれた赤ちゃん。

未熟児で生まれた赤ちゃん。

Shutterstock/Kristina Bessolova

早産数の急上昇と急降下

この研究では、バレッカ氏と共同執筆者は1969年から1988年の間にアメリカで生まれた5600万人の子どもを調べ、その誕生日と場所を近隣の気象現象と比較した。その結果、気温が華氏90度を超える日には、出生率が5%上昇することがわかった。その後、その数値は、数日および数週間のうちに直ちに低下した。

「急上昇と急降下は2週間のスパンで起こる。これは分娩が2週間早まることを示している」とバレッカ氏は言う。

ヒトの妊娠期間は平均して40週である。しかし、研究によると、1969年から1988年の間に2万5000人の女性が、40週以前に出産していた。アメリカの赤ちゃんが子宮の中で過ごすべきだった妊娠期間の損失は、合計すると15万日になる。

憂慮する科学者同盟」によると、二酸化炭素の排出量が減らなければ、アメリカの大半の地域では、数十年以内に気温が華氏90度(摂氏32度)を超える日が毎年20日から30日増えるという。別の研究では、気温が華氏100度(摂氏38度)を超える日が、2065年までに20世紀末と比べて倍になると予測している。つまり、早産が増えるということだ。

「今世紀末までに、100人に1人以上が早産になると予測している」とバレッカ氏は言う。

彼らは、極端な暑さが早産の増加を引き起こす理由として、妊婦が脱水状態になり、オキシトシン(出産の開始を調節するホルモン)の濃度が上昇すること、暑さが母親の循環器系にストレスを与えることの二つを挙げている。

超音波検査の準備をしている妊娠中の女性。

超音波検査の準備をしている妊娠中の女性。

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2016年のアメリカ国立衛生研究所による研究でも、妊娠期間中に極端な暑さにさらされた女性は早産する傾向が強いとされている。

早産は子どもの健康へ悪い影響がある

早産児や低体重児は、後年、健康と発達に問題を抱えるリスクが高くなる。 2017年の調査によると、37週より前に生まれた赤ちゃんは、注意欠陥多動性障害(ADHD)を発症する可能性が3倍になるという。

妊娠が2週間少なくても、赤ちゃんの体重が「低体重」のカテゴリーに含まれないときもあるが、それでも健康への悪影響につながる可能性があるとバレッカ氏は言う。

2017年の研究は、妊娠の最後の2週間が赤ちゃんの肺の発達にとって重要であることを明らかにした。37週または38週に生まれた赤ちゃんは小児期に呼吸器の問題を抱える可能性が高くなる。アメリカ産科婦人科学会によると、37週または38週に生まれた乳児は、40週以降に生まれた子どもよりも全体的な健康状態が劣っているという。

ニューヨーク市の暑い午後、ワシントン・スクエア・パークの噴水の近くで暑さをしのぐ人々。2019年7月17日。

ニューヨーク市の暑い午後、ワシントン・スクエア・パークの噴水の近くで暑さをしのぐ人々。2019年7月17日。

Drew Angerer/Getty Images

エアコンは有効な対策だが

化石燃料の燃焼による温室効果ガスは多くの熱を吸収し、地球の表面温度を上昇させる。地球の温度範囲をベルカーブで描くと、気候変動はその曲線全体を上の方に向かってシフトさせる。そのため、猛暑の日が多くなる。

「これまで見てきたように、摂氏1度の温暖化は、例えばニューヨーク市では華氏100度(摂氏38度)の日の頻度を10倍増加させる可能性がある」と、気候科学者のマイケル・マン(Michael Mann)氏はこの夏、ニューヨーク・タイムズに語っている

Climate Centralによると、今年はすでに記録上3番目に暑い年になりそうなペースだ。2018年は2016年(最も暑い)、2015年、2017年に次いで、4番目だった。2019年7月は史上最も暑い1カ月だった。

エアコンを設置している。フロリダ州マイアミ。

エアコンを設置している。フロリダ州マイアミ。

Jeffrey Greenberg/Universal Images Group/Getty

バレッカ氏によると、ある1つの簡単な方法が、妊婦の早期陣痛のリスクを低下させる可能性がある。彼の研究によると、エアコンを利用することで、極端な暑さが早産率に与える影響を75%減らすことができるという。

「エアコンはすでに実績があり、非常に効果的なソリューションだ。すべての妊婦はエアコンとその電気代を支払うのに十分なお金を持っておいた方がいい」

しかし、この選択肢には明らかな問題がいくつかある。まず、世界中のすべての女性がエアコンを利用できるわけではない。第2に「エアコンを動かすのは高くつく」とバレッカ氏は述べた。

「経済的な負担が大きいためにエアコンが使えない場合は、極端な暑さに耐えなければならず、妊婦の健康に悪影響を及ぼしかねない」

そして3つ目の問題は、空調システムの稼働に必要な電力を発電すると温室効果ガスが発生することだ。これが地球の気温上昇の一因となっており、早産のリスクを高めている。

[原文:Hotter weather is causing babies to come early. Nearly 70,000 US moms could go into early labor each year by 2100, a study predicts.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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