小6女児がSNSで声をかけられ誘拐されたことを受け、総務省は電気通信事業に携わる業界の4団体に対して、青少年のインターネット利用に対して必要な措置を講じるよう要請する文書を送ったという。
撮影:今村拓馬
大阪市で小6女児がSNSで声をかけられ誘拐された事件を受けて、総務省では電気通信事業に携わる業界の4団体(電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟)に対して、高市早苗総務相名義で青少年のインターネット利用に対して必要な措置を講じるよう要請する文書を送った。
業界団体に所属する企業の幹部は「顧客に対して、ネットを安全に使うように促すのは可能だが、接客時間が伸びるなどコストの負担は増す。しかし、子どもが被害に遭っている以上、避けては通れない」と語る。
この4団体は、キャリアやプロバイダー、ネットサービス企業など多岐にわたる企業を取りまとめている。すでにキャリアショップでは、利用者が未成年の場合はフィルタリングを設定するなどの対策を講じているが、完璧な対策を打てるものでもない。
業界4団体にはTwitter社は含まれない
大阪での誘拐事件で、容疑者と女児はTwitterのダイレクトメッセージ機能で連絡を取り合っていたとされるが、総務省では「Twitter社に要請を出す予定はない」としている。
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今回、総務省は業界団体に要請文書を送ったものの、肝心のTwitter社に対しては特にアクションを起こしていないようだ。
大阪での誘拐事件では、容疑者と女児はTwitterのダイレクトメッセージ機能で連絡を取り合っていたとされる。そもそも、Twitterは規約で13歳未満の利用はできないが、現実問題として、本人確認がきちんと行われていというのも問題だ。
総務省では「Twitter社に要請を出す予定はない」(担当者)としており、Twitter社が自主的に本人確認の強化など改善するのを待つしかない。
子どもを持つ親としては、いつでもどこでも連絡が取れるということもあり、子どもにスマホを持たせてもよいとは思いつつも、一方で「SNSで危険な目に遭うのも怖い」と心配な面もある。
やはり、自分の子どもの安全は、親が守るしかない。
「禁止」だけではない、スマホを使う子どもの親ができる対策・設定
スクリーンタイム機能で、子どもがどれくらいiPhoneを使っているかの確認や利用してもいい時間帯やアプリなどの設定ができる。
スクリーンタイム機能のスクリーンショット
自衛策として、子どもにスマホを持たせている親ができることは「禁止」以外にもいろいろある。
まずiPhoneの場合。個人的に使うべきだと思うのが、iOSの「スクリーンタイム機能」の活用だ。iOSの標準機能のため、iPhoneやiPadユーザーなら無料で、誰でも簡単に使える。
スクリーンタイムは本来、「iPhoneを使いすぎないよう、自分がどれくらいiPhoneを使っているか」「どんなアプリを熱心に使っているか」を可視化できる機能だ。毎週、日曜日の午前中あたりに1週間、どれくらいiPhoneを使ったかのレポートが通知されてくるので、ご存知の人も多いだろう。
実は、このスクリーンタイム機能は自分だけでなく、子どもがどれくらいiPhoneを使っているかの確認や利用してもいい時間帯やアプリなどの設定もできるようになっている。
例えば
- iPhoneを使っていい時間帯(夜間の利用を制限する)
- 利用していいアプリの設定
- アプリそれぞれを1日あたり利用していい時間
- コンテンツの購入
- ウェブサイトへのフィルタリング
といった制限をかけられるのだ。
ただ禁止にするだけではなく、1週間、子どもがどんなアプリを熱心に使い遊んでいたかの確認が、親の手元にあるiPhoneで遠隔で確認できる。SNSやゲームにハマっているようなら、注意すればいい。
「あなたがiPhoneをどのように使っているか、気にかけている」と普段から子どもに伝えていくことは、親が子どものSNS利用に無関心にならないことの第一歩だ。
子どものiPhoneにスクリーンタイムを設定する
出典:アップル
子どものスクリーンタイムを見られるようにするには、当然のことながら、親と子供がどちらもiPhoneを使っていることが前提となる。
- まず、親のiPhoneの設定画面からiCloudのメニューを選び、子どものアカウントを「ファミリー共有」に追加
- 続いて、設定画面の「スクリーンタイム」からファミリーを追加する項目で、子どものアカウントを設定
- あとは、スクリーンタイムから子どものアカウントを選ぶと、子どもの利用状況を把握できる
ファミリー共有によって、子供が新たにアプリをインストールする際には、親のiPhoneの承諾を求める通知が飛ぶようにもなる。隠れてアプリをインストールしてしまうという心配もない。
Androidユーザーならば「ファミリーリンク」活用を
グーグルが無料提供しているアプリ「ファミリーリンク」を保護者と子どものそれぞれのスマホにインストールすることで、子どもの利用状況を保護者が確認できる。
GooglePlayより
Androidスマホの場合も対策がある。
標準搭載の機能としては提供されていないが、グーグルが「ファミリーリンク」というアプリを無料提供している。このアプリを保護者と子どものそれぞれのスマホにインストールすることで、子どもの利用状況を保護者が確認できる。
ファミリーリンクでも、子どものスマホ利用時間に制限を設けることが可能だ。また、子どもがどこにいるかの位置情報も知ることができる。アプリのインストールに関しては、遠隔で通知は来ないが、保護者が子どものスマホに自分のパスワードを入力しないことにはインストールできなくなっている。
スマホで子どもを守るサービスは有償のものが多いが、アップルやグーグルでは無償でかなり充実した機能を提供している。
これから来春の卒業や進学のシーズンを迎え、スマホデビューする子どもも多い。子どもにスマホを持たせ始めるなら、ぜひとも活用すべき機能と言える。
(文・石川温)