相次ぐ性被害に学生専用「ひま部」もサービス終了へ「つらいけれど続けられない」

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「ひま部」のブログには、「運営が行う対策も、やがてつながり自体を生みづらくするものにせざるを得なくなっていきました」などと、サービス終了の理由が語られている。

撮影:横山耕太郎

SNSが原因となり、10代が犯罪に巻き込まれる事件が連続している。2018年に犯罪につながったSNSで最も多かったのがTwitterだったが、2番目に多かったのは学生限定のSNS「ひま部」だ。

「ひま部」は約800万人が登録するサービス。2019年12月31日に運営を終了すると発表した。決断の背中を押したのは、性被害が起きる犯罪の温床になっていたという事実だ。

「ひま部」を運営する会社ナナメウエは、Business Insider Japanの取材に応じ、「知らない人がつながれるサービスは重要だが、このまま運営を続けるのは難しかった」と話した。

「ひま部」は2015年5月にサービスを開始。中学生以上の学生が対象で、日々の出来事などを投稿するタイムライン機能に加え、1対1で会話ができるチャット機能、自分の趣味に応じたグループを作成する機能などがあり、毎日の投稿は600万回を超える。

学生証で年齢認証

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チャット機能は、学生証などを撮影して行う年齢認証を行わないと使用できない。

撮影:横山耕太郎

「『ひま部』で多くの人の人生をポジティブに変えられた。対策を続けてきたので、サービス終了の決定は悔しいし、つらい。犯罪に利用した人たちに怒りを感じている」(ナナメウエ広報)

同社によると、「ひま部」では約2年前からサービスが健全に運営されるよう体制を整備してきた。不適切な投稿を削除するために、現在はAIに加えて40人体制で監視を行っている。

犯罪につながるリスクのある1対1でのチャット対策も強化した。2019年5月から、学生証などの証明書類を撮影する年齢認証を導入した。新規登録の際だけでなく、すでにあるアカウントも年齢認証をすでに終え、今後、犯罪の抑止力になるはずだったが、12月末でサービス終了を決めたという。

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警察庁のまとめでは、2017年、2018年にSNSでの被害児童が多かったのは、1番がTwitter、2番が「ひま部」だった。

出典:警察庁少年課「平成30年におけるSNSに起因する被害児童の現状」

「事件が起きているのは事実で安全性の向上は必要。年齢確認は最後の砦だった。これ以上やるとなると、1対1の会話まで監視することになるが、プライバシーの面でもコスト面でも難しい。できる限りの対策をしてきたが、『ひま部』だけでなくSNS全体で犯罪被害が増えていることもあり、サービスを終了することにした」(ナナメウエ広報)

「ナイフのようなもの」

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女児の誘拐事件でTwitterが使われたことが分かり、SNSの悪用に注目が集まった。

撮影:今村拓馬

SNSの規制については、必要性が求められている一方で、知らない人同士をつなぐ機能は多くの人に受け入れられてきた。

知らない人とつながれるSNSは重要だと思っている。実際に多くの学校でいじめが起き、悲しいことですが、自殺してしまう子どももいる。ネットの世界など、学校以外の外の世界で出会った人に助けられることも多い。

SNSはナイフのようなもので、使い方によっては悪用できてしまう。これまで対策を講じてきたが、犯罪が起きてしまったことに憤りを感じている」(ナナメウエ広報)

「ひま部」を終了した後には、18歳以上と、18歳未満のユーザーがコミュニケーションを取れない仕組みのSNSの開発を考えているとナナメウエはいう。

「学生たちの居場所を作りたいというコンセプトは全くあきらめていない。『ひま部』は一度閉鎖するが、新しく日本の実情に合わせたSNSサービスを始めたい」(ナナメウエ広報)

安全に使えるルール議論を

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golfcphoto/Getty Images

2019年9月から「ひま部」内に「不登校・高校中退悩み相談室」を設置していた、認定NPO法人「D×P(ディーピー)」の入谷佐知さんは話す。

「『ひま部』はリアルでは言えないような思いも伝えられる。10代のデジタルネイティブにとって、リアルだけではない関係を安心して作れる『ひま部』は一つの居場所になっている。

例えばLGBTの悩みなど、特に地方では情報が限られてしまいますが、SNSでは同じ境遇の人と出会うこともできる。学校でも家族でもSNSでも、複数の居場所があればいいと思っています」

ナナメウエによると、「ひま部」のユーザーの3割が不登校状態や高校中退の経験があることから、通信制や定時制の高校生の支援活動を行う同NPOと相談室を立ち上げた。これまでに約170人が相談室に登録し、家出についてや、退学の悩みなどを相談したという。

「学校や家庭に悩みを抱えた10代が、より匿名性の高いSNSに流れ、犯罪が増えてしまわないか心配している。年齢認証の導入など、SNSを安全に使えるルールについて議論する時が来ているのではないでしょうか」(入谷さん)

(文・横山耕太郎)

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