経済学者に聞いた、アメリカが南北戦争以来初めて"不況のない10年間"を過ごせた理由

トランプ、オバマ

アメリカのトランプ大統領とオバマ前大統領。

Reuters/Carlos Barria (Trump), Larry Downing (Obama)

  • 南北戦争の直前から、アメリカ経済は10年に1度は不況に陥ってきた。
  • だが、2020年を前に、アメリカ経済はここ約170年で初めてこのトレンドに抗うことになりそうだ。
  • エコノミストは、非常にゆっくりとした回復、人々が絶え間なく仕事を探していることなどがその助けになっているとBusiness Insiderに語った。

南北戦争の直前から、アメリカ経済は10年に1度は不況に陥ってきた。

直近では2007年12月から2009年6月まで18カ月の間、大量の失業や住宅差し押さえを引き起こした。これが世界金融危機の引き金となり、一部専門家は国際社会における独裁政治やポピュリスト指導者の台頭に貢献したと指摘している

だが、2020年を前に、アメリカ経済はここ約170年で初めてこのトレンドに抗うことになりそうだ。

大不況のあと、オバマ前大統領が崩壊寸前の経済の舵を取り、再び軌道に乗せ、それがトランプ政権下でも続いている。

なぜ2010年代は不況に陥らなかったのか、Business Insiderでは3人の経済学者に話を聞いた。

不況を回避した2010年代

ペンシルベニア大学の経済学助教、イオアナ・マリネスク(Ioana Marinescu)博士は、アメリカが不況を回避した大きな理由として、直近の不況があまりにひどく、10年間を通じて成長する余地しかなかったと話している。

「2010年代の回復は、1930年代以来最悪の不況に続くものでした」と、マリネスク博士はBusiness Insiderに語った。

「そのため、大きな副作用なしに成長する余地がありました」

だが、直近の不況の影響は、富の不平等の加速、ミレニアル世代やその他若い世代の雇用状況の悪化といった形で現在も残っていると経済学者は指摘する。

ジョージ・ワシントン大学の経済学准教授、タラ・シンクレア(Tara Sinclair)博士は、「わたしたちはひどい不況を経験し、本当にゆっくりと回復してきました」と、Business Insiderに語った。

「3度の不況、好況期はありませんでした」

シンクレア博士は、失業率は現在の歴史的な水準へとゆっくり推移し、実質賃金は不況後、これまでの世代が経験してきたほどには上昇していないと指摘している。

「こうした雇用の大幅増は、まだ仕事を必要としている人がいるということです」と、シンクレア博士は11月の雇用統計に触れた。12月6日に発表された同統計では、非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と、予想を超えて増加した

ハーバード大学の経済学教授で、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の客員研究員でもあるロバート・バロー(Robert Barro) 博士のように、他の経済学者もオバマ政権、トランプ政権下で雇用者数が増えたことに注目している。

トランプ大統領

トランプ大統領。

Andrew Burton/Getty Images

「実質GDPの成長率が極めて安定しているため、不況に陥らなかった」と、2010年以降の平均2%というパフォーマンスに触れ、バロー博士はEメールでBusiness Insiderに語った。

だが、バロー博士は、「クレイジーな貿易戦争」が経済の「妨げ」になっていると言い、これが2019年の足を引っ張る大きな要素の1つで、2020年の景気低迷の可能性を引き上げていると指摘する。

次の不況を回避するには、経済学者は政府に正しいツールで備えさせることにフォーカスすべきだと、シンクレア博士は話している。同博士の研究によると、専門家の不況予想はこれまであまり成功していないという。

「経済学者が不況の兆候を予想できるという一貫した証拠はありません。わたしたちはそうしたことを見抜く力や水晶玉を持ってはいないのです」とシンクレア博士は言う。

「ただ、経済学者は不況に入ったかどうかは分かります。そしてその時こそ、わたしたちはそのインパクトを減らすためにすぐに実行可能な政策があるかどうかにフォーカスできるのです」

[原文:For the first time in US history, a decade will pass without the country falling into a recession

(翻訳、編集:山口佳美)

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