ファーウェイの子会社、ハイシリコン(Hisilicon)が設計したCPU「クンペン(Kunpeng) 920」の、Hi1710 BMC管理チップ。深セン、ファーウェイ本社に展示。
Reuters
- 中国政府は官公庁に対し、2022年までにコンピューター機器やソフトウェアを含む外国産テクノロジー製品を廃止するよう指示している。フィナンシャル・タイムズが報じた。
- 外国製品への依存を減らすためで、デル(Dell)、ヒューレット・パッカード(HP)、マイクロソフト(Microsoft)といった企業に影響が出ることになりそうだ。
- この新たな指示は、2017年に施行されたサイバーセキュリティ法に基づくもの。
- この動きが、トランプ政権が今年初めに官公庁からのファーウェイ製品排除を検討していたことに対する報復かどうかは分かっていない。
- 中国製のパソコンも、部品の多くはアメリカないし韓国製だ。そのため、2022年という期限内に部品を含むすべてを外国製品から国内製品に置き換えることは難しいだろう。
中国政府は官公庁に対し、2022年までにコンピューター機器やソフトウェアを含む外国産テクノロジー製品を廃止するよう指示している。フィナンシャル・タイムズが報じた。
外国産テクノロジー製品への依存を減らすことを目的とした動きの一環であるとされる。これにより、中国にあるデル、ヒューレット・パッカード(HP)、マイクロソフトといったアメリカ企業は、打撃を受けることになりそうだ。
この動きが、トランプ政権が今年初めに官公庁からファーウェイによるシステムの排除を検討していたことに対する、報復かどうかは分かっていない。中国はこれまでも、2017年のサイバーセキュリティ法で外資系企業への依存を減らすよう取り組んできたが、アメリカのファーウェイに対する制裁が、これを加速させている可能性もある、とコンサルティング会社、ユーラシア・グループ(Eurasia Group)のポール・トリオロ(Paul Triolo)氏はフィナンシャル・タイムズに述べた。
直近では、ファーウェイはアンドロイド(Android)端末向けのGoogle Playストアへのアクセスを禁じられ、同社のスマートフォンはグローバル市場から事実上追放された。それまで同社は、世界第2位のスマートフォン・メーカーとしてもてはやされていた。
China Securitiesのアナリストによると、パソコンその他のコンピューター機器、2000万から3000万台が置き換わると見られ、2020年までに30%、2021年までにさらに50%、残りの20%を2022年までに置き換える予定だ。
外国製のパソコンを中国製の物に置き換えること、例えば、デルを中国のレノボ(Lenovo)に置き換えることは可能だ。だが、中国政府がその指示をどの程度まで実施するのかは明らかになっていない。また、レノボのパソコンは確かに中国製だが、それを動かす重要な部品の多くは外国製だ。例えば、プロセッサーはアメリカのインテル(Intel)社製、メモリは韓国のサムスン(Samsung)社製だ。
中国にも、SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)など半導体メーカーはあるが、アナリストによると同社は、外国の競合他社に比べて数年遅れている。
ソフトウェアの問題もある。アプリケーション・ソフトウェアのほとんどはWindowsやmacOS向けに設計されているのでWindowsを使わないとなると、ソフトウェア開発者たちはKylinといった中国製OS用にアプリを開発しなければならなくなるだろう。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)